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銀行預金のマイナス金利が現実に

kage

2012/12/23 (Sun)

今年の8月に立てたエントリー「マイナス金利のカラクリ」の中で私は以下のように書きました。

ところで「マイナス金利」とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか?銀行にお金を預けると金利を取られることになるのでしょうか?それとも住宅ローンなどでお金を借りると毎月お小遣いをもらえることになるのでしょうか?もしそうであれば、今すぐ全力で借金を申し込まなければなりませんね。


お読みいただければお分かりいただけたと思いますが、この文章は冗談半分で書いたものです。しかし世界を見渡してみると、混迷を続ける世界経済を背景に預金口座にマイナス金利を導入する銀行が実際に現れ始めています。まさにこれは「事実は小説よりも奇なり」の良い例ですね。

ちなみに現実に預金口座にマイナス金利を導入すると発表した銀行とはスイスの金融大手UBSとクレディ・スイスです。

スイスUBS、21日からスイスフラン建て預金に手数料徴収へ

チューリヒ 11日 ロイター:スイスの金融大手UBSは21日から、他の金融機関のスイスフラン建て預金に追加手数料を課す。料金は明らかにされていない。

ロイターが入手した顧客向けの声明でUBSは「通常の現金決算需要を考慮し、顧客にはスイスフラン建ての残高を可能な限り少なく維持するよう勧める」と呼びかけた。

そのうえで「各金融機関がチューリヒのUBSに持つスイスフラン建て現金決済口座の信用残高に対し、2012年12月21日から手数料を課す」とした。

先週には、クレディ・スイスが金融機関のスイスフラン建て預金の一部にマイナス金利を適用する方針を明らかにしている。

同日の外為市場では、UBSの方針がスイスフランを圧迫。1113GMT(日本時間午後8時13分)時点で、スイスフランは対ユーロで0.3%安の1.2108フランで取引されている。先週にはクレディ・スイスがマイナス金利適用の方針を明らかにしたことで、スイスフランは10週間ぶり安値をつけていた。

ロイターがまとめたエコノミスト調査によると、スイス国立銀行(中央銀行)は13日の会合で、スイスフランの上昇を抑制する政策を確認すると予想されている。


ご覧のとおり、UBSやクレディ・スイスが導入するのは厳密にはマイナス金利ではなく口座管理手数料の徴収です。しかしスイスフラン建ての銀行口座に預金をすると資産が目減りする点では両者は同じです。UBSは声明文で堂々と「スイスフラン口座にはお金を預けないでくれ(意訳)」と言っています。なぜこのような異常事態になったのでしょうか?

スイスの銀行が預金口座にマイナス金利を導入するという異常事態の背景にあるのは欧州債務危機(ユーロ危機)です。ご承知のとおりスイスは欧州にありながらユーロ圏には加盟せず、独自の通貨「スイスフラン」を維持しています。このため欧州債務危機で通貨ユーロの信用が低下したことが相対的にスイスフランの魅力を高め、為替市場ではユーロ売り/スイスフラン買いの動きが鮮明になりました。歯止めが効かないスイスフラン高に困惑したスイス国立銀行(スイスの中央銀行)はついに異例の対応策に踏み切ります。1ユーロ=1.2スイスフランを上限に設定して、それ以上のスイスフラン高になれば無制限に為替介入(ユーロ買い/スイスフラン売り)を行うと発表したのです。

債券の人気が高まれば本体価格は上昇し、反対に金利は低下します。通貨もこの相関関係は同じです。スイス国立銀行の涙ぐましい努力にも関わらず通貨ユーロに対する不安の方が依然として大きく、ついに金利がマイナスに突き抜けてしまったということなのでしょう。債務危機に揺れるユーロ圏内でも経済状態の良いドイツの一部の国債はマイナス金利で発行しても買われていますので、銀行のスイスフラン口座にマイナス金利を導入しても「それでも大切な資産はスイスフランで保有したい」と考える人は一定数いるのかも知れませんね。

ご承知のとおり日本の政策金利は事実上ゼロです。このため日本の金融政策では金利の引き下げは事実上不可能で、量的緩和(=市場に資金をジャブジャブに供給する)に軸足が移っています(この状況はアメリカも同様です)。実際の可能性は低いとは思いますが、日本やアメリカの銀行がマイナス金利を導入することになった場合、私たちはどのような対応をすべきなのでしょうか?頭の体操としていろいろと想定しておくことは決して無駄にはならないと思います。なおマイナス金利への対応策の一例を冒頭に紹介したエントリーに引き続いて立てた「マイナス金利時代を生きる知恵」に書いていますので、よろしければご参照ください。

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