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マイナス金利のカラクリ

kage

2012/08/03 (Fri)

ギリシャ問題を発端にして欧州債務危機が深刻化して以来、経済関連ニュースの中で「マイナス金利」という単語を見かける機会が増えています。昨日も下記のロイターの報道で見かけました。

米四半期定例入札は720億ドル、マイナス金利導入検討=財務省

ワシントン 1日 ロイター:米財務省は1日、来週実施する四半期定例入札(クオータリー・リファンディング)で総額720億ドルの3年・10年・30年債を発行すると発表した。新規調達額は178億ドル。内訳は3年債が320億ドル、10年債が240億ドル、30年債が160億ドル。

財務省はまた、財務省短期証券(Tビル)入札でマイナス金利での応札を可能にすることを検討していると明らかにした。これにより、米財務当局が低金利環境が非常に長期間続くとの認識を持っていることが示された。将来的に変動利付き債(FRN)を発行する方針も示したが、発行は少なくとも1年先になるとした。また、政府は2012年末ごろに法定債務上限に達する見通しだが、13年初めまでは十分融通が利くとした。


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マイナス金利の導入はまだ決定されてはいないものの、財務省は市場関係者に対し、Tビル入札で落札金利がマイナスとなることで生じる運用上の問題があれば報告するよう求めている。米国では前年末から今年始めにかけて、Tビルに対する需要が高まったことを受け、流通市場で一時利回りがマイナス圏に低下する事態が発生。また4週間物Tビル入札では、落札利回りがゼロ%となったこともある。債務危機に見舞われている欧州では、ドイツとフランスで最近、金利がマイナスとなった。米財務省がマイナス金利の導入を検討していることで、米国と欧州も、日本型の低インフレ下での低成長期に向かっているとの懸念が出てきた。(後略)


ところで「マイナス金利」とは具体的にどのような状態を指すのでしょうか?銀行にお金を預けると金利を取られることになるのでしょうか?それとも住宅ローンなどでお金を借りると毎月お小遣いをもらえることになるのでしょうか?もしそうであれば、今すぐ全力で借金を申し込まなければなりませんね。

マイナス金利が生まれるカラクリについてはブルームバークの下記の記事が良い例題になると思います。

10年利付国債入札、最低落札価格は100円23銭か-予想中央値

8月2日(ブルームバーグ):この日実施の10年利付国債(324回債、8月発行)の入札に関して、市場参加者の間で最低落札価格(足切り価格)は100円23銭が有力視されている。結果発表は東京時間の午後零時45分。

新発10年債の最低落札価格について、ブルームバーグ・ニュースがプライマリーディーラー14社に聞き取り調査したところ、9社が100円23銭と予想し、最も多かった。次いで、3社が100円22銭、1社ずつが100円24銭、100円21銭と回答した。これらを集計した結果、予想中央値は100円23銭となった。

財務省は午前、10年利付国債の価格競争入札を実施した。前回324回債と銘柄統合されるリオープン発行で、表面利率(クーポン)は0.8%。発行額は前回債と同額の2兆3000億円程度。発行日は8月6日、償還日は2022年6月20日。


以前「金利が上がるとなぜ債券価格は下がるのか」にも書いたとおり、一般的な債券は「額面100円、年利2%、償還までの期間5年」というような条件で発行されます。これを上記記事の例にあてはめれば「額面100円、年利0.8%、償還までの期間10年」ということになるわけです。ところが世界的なリスクオフの流れから日本国債の人気が高まり、額面100円の国債が100円23銭で売れる状況になっています。額面100円で年利0.8%の国債を100円23銭で買った場合の直接利回りは0.8(%)÷100.23(円)×100=0.798%となります。さらに債券の人気が高まれば、利回りは低下し、反対に購入価格は上昇することになります。極端な例を挙げれば、直接利回りゼロ%の債券を額面どおりの100円で買えば償還時の収支はプラスマイナス・ゼロになり、101円で買えば償還時は元本割れすることになります(101円で買っても100円しか返ってこないため)。このように償還時に元本割れするような状態が「マイナス金利」です。

それではなぜ元本割れすることが分かっているのに一部の債券が買われるのでしょうか?その理由のひとつはリスク回避です。例えばユーロという通貨の信用力は加盟17ヵ国の信用力に大きな影響を受けます。実際にギリシャや スペインの財政不安がユーロの下落圧力になっています。それならば例え「マイナス金利」という不利な条件であっても、ユーロを現金で保有するより、ユーロ圏の優等生であるドイツの国債を買う方がリスクを低減できるという判断になるわけです。

もうひとつの理由は、必ずしも損をするとは限らないことです。償還時に元本割れが確定しているのになぜ?と思われるかも知れませんが、既発債(発行済みの債券)は債券市場で自由に売買されていますので、リスクオフの動きがさらに高まれば、自分が101円で買った債券を102円出しても買いたいという人が現れる可能性があるのです。もちろん値上がりを期待して積極的に「マイナス金利」の債券を買う投資家は少数派だとは思いますが、「侮ってはいけない国内債券」でも書いたとおり、債券投資では利回りだけでなく値上がり益も考慮すべきことを忘れてはいけませんね。

言うまでもなく「マイナス金利」は異常な状態です。欧州債務危機が解決して世界経済が正常に戻れば、いずれ解消されるはずです。異常がいずれ正常に戻ることが明らかならば、積極的にその歪みの修整を利用する投資を行うことも選択肢のひとつとなるのですが、具体的にそれはいつになるのかは誰にも分かりませんし、今よりさらに状況が悪化する可能性も十分にあることが投資判断を困難にさせています。このエントリーが「今では信じられない状況だ」と思われるようになるのは果たしていつになるのでしょうか?



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