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老後マネー運用術・「金」投資を考える

kage

2012/07/31 (Tue)

当ブログのネタ元としてすっかりおなじみになった感のあるBSジャパンの経済情報番組「NIKKEI×BS LIVE 7PM」ですが、昨日放送されたテーマは「老後マネー運用術・「金」投資を考える」でした。この時期に「金」といえば、ロンドンオリンピックの金メダルを連想される方も多いと思いますが、投資対象としての金には私も大いに興味がありましたので再びブログネタに使わせていただきたいと思います。なお番組の公式サイトに掲載されていた放送内容は下記のとおりでした。

老後マネー運用術・「金」投資を考える

7月30日(月)マンデーマネーは「老後マネー運用術・「金」投資」。
欧州債務危機の長期化する中、株も債券も当てにならないから「安全資産」として「金」を持ちたいという人が増えているといいます。
実際「金」の価格も高騰を続けています。
しかし「金」というのは本当に安全な資産なのでしょうか?
「金」投資にはどんなメリットがあるのでしょうか?
意外と知らないことが多い「金」の基礎と、投資のはじめ方、さらには今後の市場の見通しについて“金の第一人者”豊島逸夫さん(マーケット・アナリスト 豊島逸夫事務所代表)をゲストにお招きして徹底的にトークします!
ゲスト:
豊島逸夫(マーケット・アナリスト 豊島逸夫事務所代表)


なお今回も解説者として日本経済新聞電子版・マーケット兼マネー編集長の鈴木亮さんがトークに参加しておられました。

豊島さん「これ(=スタジオに用意された1kgの純金地金)は時価430万円だが11年前は100万円より安い95万円だった。なぜこの11年で4倍の値段になったのか?そしてこれからさらに4倍になるのか?という話を今日はしていきたい。」

豊島さん「金鉱石1トンから採れる金は平均で3グラム。これ(=スタジオに用意された1kgの純金地金)を採るためには300トンの金鉱石が必要になる。金鉱石を掘り出すコストも高いしそもそも金鉱石は枯渇しつつある。これから有望なのは海底。」

豊島さん「金の特長は腐食しないこと。(エジプトの)ツタンカーメンの時代から掘られているが必ず世界のどこかにそのままの形で残っている。それでも世界中で有史以来採掘された金の量はオリンピックで使用される50メートルプール3.5杯分のみ。この希少性が金のそもそもの価値。」

豊島さん「金の採掘量は減っている。海底は有望だがコストが高く、現在1,600ドルの価格が10,000ドルになっても採算が合わない。」

豊島さん「ただし金の生産は続いており、一度生産された金は腐食せず半永久的に残るので世界中にある地上在庫は徐々に増えている。日本では金・プラチナ買い取り店が繁盛しているが、これだけ値段が上がればタンスの肥やしになっていた金が市場に戻ってくる。」

豊島さん「日本の金生産量は10トン程度だが通関統計を見ると輸出量は100トンを超えている。どこからその金が出てくるかというといわゆる都市鉱山(携帯電話やパソコンに使われている部品に含まれる金)。金鉱石1トンから採れる金は3グラムだが都市鉱山1トンから採れる金は200グラム。しかも3,000メートルの地下から掘る必要もない。」

豊島さん「日本はデフレなので金を買い取ってもなかなか買い手が現れない。だから輸出するしかない。その輸出をすべて買い取っているのが中国。」

金価格の推移
金価格の推移

(筆者注:豊島さんが使われていたフリップです。前回に引き続き言葉で説明できないグラフはテレビ画面を撮影しました。)

豊島さん「1980年ごろの国内価格と国債価格に大きな開きがある理由は為替(筆者注:当時は1ドル=250円前後でした)。この時は1970年代にオイルショックが2回あり、アメリカの金利は15%なのに物価上昇率は16%と、(実質マイナス金利という点では)現在と同じ環境だった(筆者注:金の最大の欠点は金利が付かないことです。しかしドルが実質マイナス金利なら相対的に長所に変わります)。1990年代は海外で金価格が上がっても円高で相殺され、逆に国内価格は安くなっていた。」

豊島さん「金の国際取引に使われる単位はトロイオンス。1トロイオンスは31.1035グラム。商習慣でこの単位が使われている。」

米国マネタリーベースの推移
米国マネタリーベースの推移

豊島さん「これはアメリカ政府がどれだけドルをばらまいているかを示すグラフ。リーマン・ショック後は棒状に激増している。QE(=量的緩和)でドルの供給量が急激に増えている時も金の生産量は増えていない。金の量は増えないのにドルの量が増えてしまうと結果的にドル建ての金価格は上がるしかない。私たちの実感は金価格の上昇ではなくドルの価値の希薄化。」

鈴木さん「今は無国籍通貨として金が評価されている。今まで一番評価が高かったドルの信頼が薄れてしまったためその代替として買われている。例えば機関投資家はドルの短期国債を売って金に乗り換えたりする。金価格の高騰は色々な資金が一気に入ってきたため起こった。」

豊島さん「基本的に金も通貨と同じ扱い。世界中の主要取引所で売買が行われる。取引時間も為替と同じく24時間。」

豊島さん「日本人は円建てで金の取引をする。金の国際市場はドル建てで取引されるので必ずドル/円のフィルターを通すことになる。ある意味で連立方程式のようなもの。なので正直なところこの値動きを当てるのは難しい。」

金投資のメリット
1.資産価値がゼロにならない
2.グローバルな通貨としての価値を持つ
3.インフレ・デフレに比較的強い


豊島さん「企業が経営破綻すれば株券が紙くず(=無価値)になるが、金の地金は決して無価値になることはない。今、金に投資している投資家の多くは株式投資やFXで失敗した“手負いの投資家”。そういう人が現物投資を求めている。金は駆け込み寺のようなもの。ただし金投資もそんなに甘いものではない。FXで損をした人は金投資でも損をするよと私はいつも言っている。」

豊島さん「世界の通貨は金貨から紙幣に移行した。しかしドルは刷れるが金は刷れない。ドルはFRBが輪転機を回せばいくらでも刷れる(実際に今それをやっている)。これによりドルの信用不安が起こっている。自由に刷れない金は通貨の原点として見直されている。」

豊島さん「金は実物なのでインフレに強い(物価が上がれば金価格も上がる)。これまでデフレに対して金は弱いと言われてきたが実際にデフレを体験してみると、企業が破綻すると株券は紙くずになり、国家が財政破綻すると国債はデフォルト(=債務不履行)するため、金はデフレにも強いことが分かった。」

豊島さん「従って金価格が下がるのはインフレでもデフレでもない時(=金の出番がない時)。皆が安心してドルやユーロを持てるようになれば金の価格は落ち着いてくる。ちなみにFRBはその時期を2014年以降だろうと言っている。」

鈴木さん「金はオイルショックでも上がっているしデフレでも上がっている。つまり何か有事があると上がる。これぞまさに“有事の金”という位置付け。アメリカの金利が上がるのが2015年以降ということになれば、しばらく金は上がるのかなと思う。」

金投資のデメリット
1.利息がつかない
2.現物には紛失・盗難のリスクあり
3.為替リスクが伴う


豊島さん「金の地金を何年保有しても利息も分配金も出ない。だから私は金を買うことは投資ではなく保険のようなものだと思っている。いざという時に助けてくれる。」

鈴木さん「利息どころか保管料を取られる場合もある。買った金地金を購入店に預ける方法には特別保管と消費保管がある(筆者注:耳慣れない単語なので調べてみたところ、正確には「特定保管」と「消費寄託」のようですね)。特定保管は分別管理されるので購入店がつぶれても保護される。消費寄託は購入店に貸し出して手数料をもらう形。しかし購入店がつぶれると保護されない。(筆者注:特定保管は通常の株式の保有で消費寄託は貸株のようなイメージですね。)」

金の貸し借りはできないのか?との問いに対して豊島さん「プロの間ではできる。しかし個人の間では難しい。」

豊島さん「東日本大震災では津波で流された例がある。現物で持っていると思わぬことが起こる。」

豊島さん「日本国内では円建てで取引されるので円高ドル安になると価値が相殺される。」

豊島さん「金の売買も為替と同じで買値と売値に価格差(スプレッド)がある。これが手数料に相当する。」

株価と金価格の連動性は?と問われて豊島さん「長期では株が上がれば金価格は下がり、株が下がれば金価格は上がる。しかしリーマン・ショックやギリシャ・ショックのような大混乱時は株も金も下がる。これはいざという時はやはり現金が重要になるので。ただしあくまでもこれは一過性。いずれ元に戻る。」

豊島さん「ギリシャの再選挙の時期に北京に取材に行ったが、貴金属店は大繁盛だった。世界的にはリスクオフの流れで株も金も売って現金で持っておこうとしていた時に中国人は金を買っていた。中国の人は3,000年の歴史の中で政府が替われは゛通貨の呼称も替わることをずっと繰り返してきている。その中で共通の替わらない価値を持つものは金しかない。それが民族のDNAに刷り込まれている。彼らにしてみればギリシャもリスクオフも関係なく、安くなったから買う。現状は新興国が支える金市場。」

豊島さん「最近は金の悪徳商法も増えているので注意。特徴は本物のように巧妙に仕組まれているため投資経験者がだまされやすいこと。初心者や高齢者は難しくてよく分からないので怪しんでだまされない。」

鈴木さん「一時話題になったロコ・ロンドン取引などが代表例。」

ご参考:国民生活センター
新手の投資話「ロコ・ロンドン金」に注意!


鈴木さん「だます方も研究している。自宅で契約するとクーリングオフが適用されるが事務所で契約すると適用外。なので事務所に連れ出して契約させる。」

金購入の心得三箇条
1.余裕資金でコツコツ購入
2.長期保有が原則
3.保有は資産の10%程度


豊島さん「金取引のプロでも金の価格を当てるのは、相撲に例えれば8勝7敗で御の字。私はスイス銀行時代に3,000回投機的な売買を行った。その結果は1,600勝1,400敗。短期的な価格変動はプロでもなかなか読み切れない。株や投信も同じだが長期的には上昇が予想されても短期的な値動きは予想できない場合は、ドルコスト平均法で毎月3,000円とか5,000円とかの定額で積み立てていくことがトレンドになっている。キーワードはコツコツ。金は安全資産と言われるが価格は決して安全ではないので。」

豊島さん「金は利息は生まないが価値の保全能力は際立って優れている。例えば今手元に100万円の預金と100万円分の金地金があった場合、10年後には金なら(絶対とは言わないが)ほぼ今と同じものが買えるだろう。しかし銀行預金の100万円はどうなっているか分からない。金保有は5年から10年単位で考えるべき。これが中国に行くと30年から50年単位になる。孫子の代まで資産を保全しようと。実は今日本でも相続のために金貨をまとめ買いする人が増えている。それは相続資産として金貨を保有していても固定資産税がかからないから。さらに小分けできるので身内で醜い争いが起こることもない。加えて金貨ならいつでも売れる(現金化できる)。相続を考えるなら中国のように30年単位で。最近私のセミナーにアラサー女性が増えている。将来の年金に不安を感じて金を持とうと考えている。」

鈴木さん「金保有はBuy & HoldではなくBuy & Forgetくらいがちょうどいい。」

豊島さん「金は新たな価値を生まないので資産運用では脇役。リーマン・ショックのような有事が起こった時に値上がりして他の資産の下落を多少なりとも補ってくれる役割。あくまでも金は守りの資産。」

金投資の種類

現物購入・積立 = 金地金/地金型金貨/純金積立

値上がり益を追求 = 金ETF/金鉱株投資信託


豊島さん「初心者におすすめなのは、現物取引なら純金積立。実は私も純金積立一筋。セミナーでこの話をすると会場の雰囲気が一気に盛下がるが(笑)。しかし過去の経験から得た結論は金相場に打ち出の小槌はないし占いの水晶玉もないということ。私の周辺でもプロほど地味。素人はレバレッジを掛けて派手にやりたがる。証券取引なら初心者には金ETFがおすすめ。これは金融機関が発行した金の預かり証を上場させて売買するようなイメージ。」

鈴木さん「金ETFは小口から取引できるので個人投資家にはおすすめ。」

豊島さん「金ETFは株と同じで一本値(売値と買値が同じ)であることも特徴。」

豊島さん「年初に今年の金価格の安値は1,350ドル/トロイオンスと予想した。しかし1,500ドルくらいになると中国やインドから強烈な買いが入ってくる。現在世界の年間金生産量は2,800トンだがその内の1,700トンは中国とインドで買い占めている。国策として国も買っているし個人も買っている。金は通貨の原点でもあるし(工業用金属として)ハイテク製品にも使える。希少資源として、また外貨準備として、備蓄している。従って1,500ドルが今年の安値の目安となるだろう。高値の目安は1,800ドル。年初は1,950ドルと予想したが中国とインドの景気減速とギリシャ危機で時々売られることを考慮した。金価格が上がればリサイクルショップで金買い取りが大繁盛になることもある。これは日本だけではない。」

豊島さん「FRBは2014年末までは有事対応のゼロ金融政策(筆者注:事実上のゼロ金利政策+量的緩和ですね)を続けると言っている。つまり2015年になると分からないということ。少なくとも2015年を過ぎれば金の出番は減るだろう。バーナンキFRB議長が上手くアメリカの経済を引っ張っていけばそうなる可能性がある。ただし10年のスパンでは有望な金鉱脈が海底にしか残されていないことや中国やインドの経済はこれから内陸部に向かって発展していくことなどを考えるとまだまだ金の需要は始まったばかりともいえる。野球に例えるならまだ2回の表くらい。」

豊島さん「スイスには子どもの成長に合わせて1年ごとに写真と金貨をファイルする習慣がある。女の子なら嫁ぐ日の前日にそれをファイルごと手渡す。25歳ならそこには25枚の金貨と成長の記録が入っていることになる。私はこれこそが金の原点ではないかと思う。」(筆者注:似たような習慣に銀のスプーンや桐の木などがありますね。)

豊島さん「将棋でも金をチョコチョコ動かすのはヘボ将棋と言われる。」(筆者注:金は腰を落ち着けてじっくりと持てということですね。)

過去にも何度か書いているとおり、私もわずかならが金に投資をしています。一番高値で買った時の価格でさえ780ドル/トロイオンスでしたので、最近の円高ドル安を考慮しても今の評価額は購入額の2倍を軽く超えています。ただし保有額が少ないため株や投資信託の含み損を補うには残念ながら力不足ではありますが。それでも保有資産の中に絶好調の金があるおかげで心理的にはずいぶん違うものです。そういう意味では豊島さんのおっしゃる「金は守りの資産」が私には身に染みて理解できます。10年後の金価格が上がっているか下がっているかは私などには分かりません。しかし、少なくとも通貨に対する不安が続く限りは金を保有する意義は大きいと感じていますので、まだしばらくストロング・ホールドを続けるつもりです。



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