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老後マネー運用術・投資信託

kage

2012/07/17 (Tue)

このところ当ブログでたびたびネタに使わせていただいているBSジャパンの経済情報番組「NIKKEI×BS LIVE 7PM」ですが、今日放送されたテーマは「老後マネー運用術 投資信託」でした。久しぶりに投資信託の話題でしたので再びブログネタに使わせていただきたいと思います。なお番組の公式サイトに掲載されていた放送内容は下記のとおりでした。

老後マネー運用術 投資信託

7月16日(月)マンデーマネーは「老後マネー運用術 投資信託」です。
資産運用の代表格とも呼べる「投資信託」。
商品の数は国内だけで4,000を超えます。
そんな投資信託を老後の資産運用の手段として、上手に活用するために必要な知識について詳しくトーク!
さらにいま投資信託の世界で何がトレンドなのか最新事情に迫ります!
ゲスト:
深野康彦(ファイナンシャルプランナー)
竹川美奈子(ファイナンシャル・ジャーナリスト)


なお解説者として日本経済新聞電子版・マーケット兼マネー編集長の鈴木亮さんもトークに参加しておられました。

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「投資信託」よくある苦情

・投資信託を2,000万円購入したが2割近くの損失を被った。ここまで大きいリスクがあるとは説明を受けていなかった。
・「日本に戦争が起きない限り大丈夫」と言われ、投資信託を購入したが、その後元本が目減りした。


どうしてこんな事が起きるのか?との問いに対して。竹川さん「投資信託に限らず、金融商品にはどうしても売り手と買い手の利害不一致がある。買う方はどうせ運用するのなら増やしたいと思うが売る方は手数料を稼ぎたいと考える。投資信託を購入するきっかけの第1位が銀行や証券会社で勧められたからで65%くらいある。株式と比べて主体的に買う人が少ない(勧められて買う人が多い)。特に退職金をもらって、(金融機関の窓口で)どれがいいですか?と相談して買っている人が多い。」

深野さん「証券会社に人には失礼だが、銀行には昔からお金を預けていて信頼感が高い。銀行の人がまさか(おかしな金融商品を売り付けたりしないだろう)という気持ちがある。また退職金が入ると運用しなければいけないという強迫観念にも囚われる。一方で商品は常に新たな商品を出さなければいけないということで年々複雑化している。(中身が)良く分からないが(窓口で)勧められるから良いのかな?と思い、預金しても金利は雀の涙ほどなので買ってみようかという気になる。」

鈴木さん「トラブルの大半の原因は(中身を)理解しないまま買っていること。投資信託は元本割れする可能性があるという大前提を理解していなかったり。どういう商品で運用しているのかを知らなかったり。」

投資信託のしくみ
投資信託のしくみ

(筆者注:深野さんが使われていたフリップです。言葉で説明するのが難しいのでテレビ画面を撮影しました。)

深野さん「投資信託とは多くの投資家から集めた資金をひとまとめにして運用のプロへ預けて運用してもらう金融商品。すなわち共同投資をしてもらうための器(うつわ)が投資信託。預金と決定的に違う点は元本保証がないこと。国内で販売されている投資信託で元本保証があるものはひとつもない。逆に元本保証を謳ってしまうと金融商品取引法に違反する。発売以来一度も元本割れを起こしたことのなかったMMF(Money Management Fund=公社債投資信託の一種)もエンロン事件やリーマンショックで元本割れを起こした。」

2000年以降の騰落率
2000年以降の騰落率

(筆者注:2000年以降でそれぞれのアセットクラスのプラスとマイナスの最高値を並べたものです。)

なぜこんなに複雑な仕組みになっているのか?という問いに対して。竹川さん「販売会社と運用会社と信託銀行の3つが関わっていることが逆にメリットでもある。この3つのいずれかが破綻した場合でも資産は守られる。」

運用の仕方
運用の仕方

シニアにはどちらのタイプが良いですか?と問われて。深野さん「私はどちらが良いとは言い切れない。」

鈴木さん「分かりやすいのはインデックス型。」

指数はずっと低迷しているがとの指摘に対して。鈴木さん「インデックス型とアクティブ型のどちらが勝っているかを調べてみると圧倒的にインデックス型が勝っている。過去10年では3/4の確率で、過去20年になると9/10の確率でインデックス型が勝っている。」

アクティブ型はプロが運用しているはずなのに何故こうなるのか?との問いに対して。竹川さん「ベンチマーク指数に勝つような運用をしますというのはマニフェストのようなもの。目標に過ぎない。実際にそのとおりできるかどうかは別問題。指数に勝てるような運用を頑張ってやりますよと言っているだけ。」

深野さん「アクティブ型の中にはインデックス型に勝っているものもある。そちらにも目を向けるべき。」

鈴木さん「私はインデックス型の方が良い(優れている)と言っている訳ではない。」

深野さん「投資信託は毎月マンスリーレポート(月次報告書)を出している。それを見ればアクティブ型の組み入れ上位10銘柄が掲載されている。もしそれが日経平均株価やTOPIXと同じような銘柄であれば恐らくインデックス型に負けることになるだろう。リーマンショック以降、日経平均株価は低迷しているが個別銘柄では1,200-1,300が値上がりしている。そういう観点では指数採用銘柄にこだわっていないアクティブ型には注目して良いのではないかと思う。指数と同じような銘柄を組み入れるのであればわざわざアクティブ型を選ぶ理由はない。」

竹川さん「私は基本的にインデックス型で良いと思う。5年間の実績で見ても6-8割の確率でアクティブ型が負けている。日本の株式だけでなく世界の先進国や新興国の株式にも幅広く投資して世界の経済成長を取っていこうと考えるのであれば土台は低コストのインデックス型で固めて、プラスアルファでもう少しリスクを取ってリターンを狙いたい部分だけアクティブ型を組み合わせる。」

鈴木さん「私は今からアクティブ型を評価します(笑)。アクティブ型ではファンドマネージャーによる選別が起こる(評価する会社の株だけを買う)。ソニーは買わないが東芝は買うというように。結果的に良い会社(評価される会社)にはリスクマネーが集まる。それが投資信託の本来の役割のひとつでもあるはず。インデックス型だとソニーも東芝も日立も全部買う。」

竹川さん「アクティブ型はインデックス型に圧倒的に勝てないという事実を認識した上でどうしても買いたいアクティブ型があれば買ってもいいと思う。投資方針や投資テーマに共感できれば。」

深野さん「マーケットには自浄作用があると思う。ところがインデックス型には自浄作用が働かない部分がある。例が悪いかも知れないが東京電力はまだ指数に入っているためインデックス型から外すことができない。心情的に東京電力の株を買いたいか?と問われれば今は控えたいと思う人が多いはず。しかしインデックス型では間接的に買ってしまう。また世界の債券に投資するインデックス型であれば多くがシティグループ世界国債インデックスをベンチマーク指数にしているが、その中にはイタリア国債やスペイン国債が12-13%くらい入っている。本当にそれを買いたいですか?というジレンマがあると思う。インデックス型にはそういう縛りがあることを知った上で買うのであれば問題ないとは思うが。」

ズバリ、シニアにはどちらが良いですか?と問われて。深野さん「私は運用目的と投資対象によってアクティブ型とインデックス型を使い分けるべきだと思う。」

鈴木さん「私はシニアだったら絶対的にインデックス型だと思う。何故なら最近のアクティブ型は運用期間が短い。5年で終わってしまうものもある。突然終わりと言われても困る。」

竹川さん「私は先ほどと同じ意見になるが、ベースはインデックス型で投資理念や投資テーマに共感できて買っても良いなと思えるアクティブ型があれば一部チョイスして組み合わせれば良いと思う。」

投資信託のメリットとは何か?と問われて。深野さん「まず小口の資金から投資できること。以前は最低1万円だったが、最近はワンコイン投資と称して500円から投資できるようになった。次に投資信託を通じて個人では投資できない国にも投資できること。例えばインドやブラジルには直接投資できない。少額で分散投資ができることを考えれば個人には非常に使い勝手が良い金融商品。」

手数料がデメリットではないか?と問われて。竹川さん「まず購入する時に購入手数料(販売手数料)がかかる。これは販売会社に払う手数料。保有中も運用管理費用(信託報酬)がかかる。これは販売会社、運用会社、信託銀行にそれぞれ支払う。購入手数料は同じ投資信託であっても買う場所によって金額が変わる。店頭よりもネットの方が安いケースが多い。」

鈴木さん「店頭で買うと購入手数料3%と運用管理費用(信託報酬)2%で合計5%になることもある。つまり年間5%値上がりしないと元を取れない。」

深野さん「運用管理費用(信託報酬)2%は高いという意見もあるが、100万円で年間2万円、それを日割りにすると数百円にもならない(筆者注:54.8円/日となります)。そのコストで専門家に運用を任せることができるという考え方もある。投資に大切な時間を取られたくないのであれば専門家を雇うという発想はあって良いと思う。」

鈴木さん「専門家を雇っても損をしてしまったら頭に来ますよねぇ。(笑)」

投資信託のよくある失敗・その1

「毎月分配型」の落とし穴

Aさん(65歳)の場合
・海外株の投資信託を1,000万円購入。
・毎月3万円の分配金。
・5年後に800万円に目減りしていた。


竹川さん「分配金について覚えておいていただきたいことが3つある。まず分配金は必ずしも収益金から支払われるとは限らないこと。2つ目は分配金の一部または全部が元本から支払われることもあること。(筆者注:3つ目は結局紹介されませんでした。)」

分配のしくみ
分配のしくみ

(筆者注:分配金の仕組みについては当ブログでも以前「REITファンドの利回りが30%?」でご紹介していますのでよろしければ合わせてご参照ください。)

鈴木さん「日経ヴェリタスの調査によるとこの1年間に支払われた分配金の8割が元本を取り崩して支払うタコ足分配だった。純粋に運用益から支払われた分配金は2割に過ぎない。」

毎月分配型に意味はあるのか?と問われて。深野さん「シニア世代は2ヵ月に一回、偶数月しか年金をもらえない。サラリーマンや公務員をしていた人にとっては収入がなくなる月があるのは不安。元本を取り崩して分配を出す事への是非の議論は私もあると思う。しかしここまで毎月分配型が売れているのは経済合理性だけでは測れない理由があると思う。リタイアした方々から話を聞くと例え少額でも毎月お金が入ってくる安心感は非常に大きい。」

鈴木さん「知らない人も多いが投資信託は定期解約もできる。分配金をもらわなくても毎月決まった額を解約すればいい。」

深野さん「自分で老後に備えて築き上げた資産を自分で取り崩すことができるか?というメンタル的要素もある。これができないという人が結構多い。そうであれば他人にしてもらうという選択肢もある。」

投資信託のよくある失敗・その2

「通貨選択型」の落とし穴

Bさん(60歳)の場合
・海外債券の投資信託を1,000万円購入。
・前年まで年利20%リターンの「通貨選択型」。
・3ヵ月後に600万円にまで目減りした。


「通貨選択型」の収益イメージ
「通貨選択型」の収益イメージ

(筆者注:エンジンが3つ付いているので前にも後ろにも大きく動きやすいということですね。しかもエンジンが多い分だけ燃費が悪い(=コストが高い)。)

竹川さん「通貨選択型はリスクが非常に高い商品が多い。新興国株式インデックス型より値動きが大きい商品もある。上がる時は上がるが、全部が裏目に出た時にはメチャクチャ下がるリスクもある。さらに通貨選択型は毎月の分配金が多いところに魅力を感じて買っている人が多いが、価格変動が激しいため元本割れするケースも多い。」

鈴木さん「(通貨選択型は)株や債券の価格変動リスクに加えて通貨(それも価格変動の激しいブラジルレアルなど)の変動リスクも負うので二次方程式のようなリスクになる。それを理解して買っている人が果たしてどれくらいいたのか。」

竹川さん「シニア世代の投資信託選びで重要なことは、1.複雑で理解できない商品は買わない。2.シンプルで手数料が安い商品を買う。3.買うのであればある程度勉強をしていただきたい。インデックス型であれば低コスト、指数との乖離が少ない、資産が増えている、の3点くらいで良いがアクティブ型を買う場合はもう少し調べなければならない。投資方針、投資のプロセス、ポートフォリオ、運用会社、運用実績などすべて理解してから買えるかどうかの判断になる。」

深野さん「竹川さんの条件に付け加えるなら、過度なリスクを取らないことが重要。もうひとつは運用の目標をしっかり持つこと。番組の冒頭でも述べたように退職金をもらったら運用しなければならないという強迫観念に囚われる人が多い。実際に詳しく話を聞いてみるとライフプランに比較して過剰なリスクを取っている人が多い。目標を明確にしてから金融機関に行くくらいの慎重さが欲しい。」

鈴木さん「私も竹川さんのご意見と同様に理解することに尽きると思う。例えば過去の実績は将来のリターンを約束したものではないことすらよく分からないまま、過去の実績が約束されると思い込んでしまう人もいる。保険も同じだが、分からないものには手を出さないことがシニアにとっては大事。」

竹川さん「公的年金と企業年金だけで生活できるのであれば無理に資産運用をする必要はない。それでもやりたいと思う人は総資産の5%とか金額を決めてやればいい。時々総資産の8割でベトナム株一点買いというような人もいるがぜひ止めていただきたい。」

深野さん「リタイア後は頭の体操として投資をされるかたも多い。最悪なくなってもいいと思える金額の2割くらいから始めてみてはどうか。」

投資信託の心得

・そもそも投資する必要があるのかをよく考える。
・自分が耐えられるリスクの範囲で投資する。
・「毎月分配型」は元本を取り崩して分配金を出すこともある。
・「通貨選択型」はハイリスク・ハイリターンのものが多い。


竹川さん「投資信託も家電や旅行と同じでキチンと比較して選んでいただきたい。」

深野さん「受け身ではなく投資家が能動的に自分から動くことが大切。」

鈴木さん「買う前によく調べて。」

野田MC「リスクマネーを扱ったことのあるところでまず買うべきだと思った。(鈴木さんからすかさず「それは銀行で買うなということか。」とのツッコミあり。)

なおこの番組のターゲットはシニア世代であるという点には注意が必要です。同じ投資信託を活用した資産運用でも資産形成期の現役世代と資産取り崩し期のシニア世代では土俵がまったく違いますので。私自身はまだシニア世代の感覚は十分に理解できませんが、資産運用に対する認識を大きく変える必要があることだけは確かなようです。投資をするシニア世代はリスクを取り過ぎ、投資をしないシニア世代はまったくリスクを取らないという二極化が進んでいることが日本の投資環境にとって大きな問題であるように感じました。あと些細なことですが、特別分配金が元本払戻金という呼称に変わったことは知っていたのですが、信託報酬が運用管理費用という呼称に変わったことは不勉強にして知りませんでした。念のため6月22日に改訂されたひふみ投信の目論見書を確認してみたところ、確かに「運用管理費用(信託報酬)」と書いてありました。当ブログでもこれからは元本払戻金や運用管理費用という呼称を使いたいと思います。



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