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公的年金の運用成績が2年ぶりにプラス転換

kage

2012/07/07 (Sat)

下記のロイター通信の報道によると、昨年度の公的年金の運用成績は2年ぶりにプラス転換となったそうです。その主な理由は、世界的なリスク回避の動きで日本国債が買われて国内債券の運用成績が好調だったことと、昨年末に欧州中央銀行(ECB)が行ったLTRO(長期資金供給オペ)をきっかけに1-3月が世界的な株高になったことのようです。いずれにせよ公的年金の運用成績は全日本国民に大きな影響を及ぼしますので、今回の運用成績プラス転換を素直に喜びたいと思います。

11年度運用収益率は+2.32%、2年ぶりにプラス転化=GPIF

東京 6日 ロイター:公的年金資金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は6日、2011年度運用収益率がプラス2.32%になったと発表した。前年度のマイナス0.25%から改善し2年ぶりにプラスに転じた。

主要中央銀行による追加緩和策に加えて、日本をはじめ、米国、ドイツの長期金利が低下基調を示すなど良好な債券運用環境が収益改善に寄与した。


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11年度末(12年3月末)の運用資産額は前年度末比2兆7059億円減の113兆6112億円となった。11年度の総合収益額はプラス2兆6092億円と前年度(マイナス2999億円)から改善。収益額の資産別内訳は国内債券(財投債含む)が1兆9175億円、外国債券が4516億円、国内株式が1754億円、外国株式が619億円、短期資産が28億円となった。また、自主運用を開始した01年度から11年度までの累積収益額は13兆9986億円。

財投債を含めた運用資産の構成は、国内債券が63.30%、国内株式が12.50%、外国債券が8.74%、外国株式が11.46%、短期資産4.00%となった。

GPIFは、08年度までは財政融資資金預託金の償還に伴う新規マネーの流入があったことで、市場では「買い手」の立場だったが、08年度に預託金償還が終わり、09年度からは「売り手」に転じている。発表資料によると、11年度の国内債券の償還・売却額は市場運用分で2兆4628億円に上った。外国株式の売却額は801億円。


昨年度の国内債券の運用成績がいかに好調だったかは、多くのインデックス投資家に支持されているSMT国内債券インデックス・オープンのチャートを見れば一目瞭然です。下記チャートはいつものようにYahoo!ファイナンスからお借りしてきたものですが、昨年度の成績を分かりやすくするために該当部分の背景を水色にしてみました。

SMT国内債券インデックス・オープン

ご覧のとおり昨年度の国内債券運用成績はほぼ右肩上がりの状態になっています。そしてその好調さは欧州債務危機が再燃した今年度に入ってさらに加速しています。この現実を見て私は自戒も込めて「国内債券運用をバカにしてはいけない」と痛感しました。個人の資産運用においては国内債券クラスを定期預金や個人向け国債で代替する手法もありますが、定期預金や個人向け国債で得られるのは利息(インカムゲイン)のみで、債券本体の値上がり益(キャピタルゲイン)は放棄することになります。もちろんこれは値下がり損(キャピタルロス)のリスクを負わないメリットと表裏一体ではあるのですが、昨年度は結果的にキャピタルゲインの差が大きくなっていたという事実はキチンと認識しておくべきだと思います。

上記ロイターの記事内に公的年金の運用資産比率が紹介されていましたので、ご参考までに円グラフ化してみました。これを見れば公的年金の運用成績が国内債券に大きな影響を受けることが良く分かりますね。

公的年金運用資産構成

一方で今年1-3月の世界的な株高が公的年金の運用成績改善に大きく寄与した事実は下記のニュースに記されています。

年金積立金運用 2年ぶり黒字(NHK NEWSWEBより)

国民年金と厚生年金の積立金を昨年度に市場などで運用した実績は、年度末にかけて株価が上昇したことなどから、2年ぶりに2兆6000億円余りの黒字となりました。

国民年金と厚生年金の積立金を運用している「年金積立金管理運用独立行政法人」は6日に記者会見し、昨年度の運用実績を発表しました。

それによりますと、110兆円余りの積立金の運用は、市場運用の国内債券が1兆6891億円、国内株式が1754億円、外国債券が4516億円の黒字となるなど、合わせて2兆6092億円の黒字となりました。 これについて、「年金積立金管理運用独立行政法人」は、年度末にかけて株価が上昇して1万円台を回復するなどしたため、特にことし1月から3月までの運用実績が5兆5000億円の黒字となったことが、年度全体の運用実績を押し上げたとしています。

また、自主運用を開始した平成13年度以降の累積の収益も、およそ14兆円の黒字となりました。 「年金積立金管理運用独立行政法人」は「引き続き、分散投資を基本として、安全かつ効率的な管理・運用に努めたい」としています。


これは株式で過剰なリスクを取っている私のポジショントークでありますが、今年1-3月のような世界的な株高は間違いなく多くの人にメリットがあるという現実を資産運用をしていない人にもぜひ認識していただきたいと思っています。資産運用をしていない人も年金を通じてリスクを負っているのですから(事前に約束した利回りが実現出来なった場合は税金で補填されるため無関係ではいられません)。あと投資家としてはロイターの記事の最後にある日本の公的年金が市場の「売り手」に変わっていることには注意が必要ですね。ただし世界経済全体を考えれば、新興国の経済成長が進めばそれぞれの国で年金の整備が進んで新たな「買い手」が現れますので、長期的に世界経済の成長が続くのであれば過度な心配は必要ないように思います。

日々の相場解説をチェックしていると時々「下値では年金と思われる買いが入った」とか「年金と思われる売りが上値を抑えた」などという表現を目にします。年金の売買注文は信託銀行を通じて出されますので、これらの相場解説は信託銀行の売買動向を基にした推測に過ぎません。しかしこの推測はそれほど外れていないとも言われています。この推測が当たっていると仮定すると、年金の運用手法が明らかになります。それは徹底したリバランスです。リスク・オフ(リスク回避)で国債が値上がりして株価が下がれば国債を売って株を買う。反対にリスク・オン(リスク志向)で株価が上がり国債価格が下落すれば株を売って国債を買う。年金はこれを徹底的に繰り返しているのです。よく個人投資家のリバランスは1年に1度で良いと言われます。さらに一部には2年に1度や3年に1度でも良いのではないかという意見もあります。年金のように徹底したリバランスが果たして合理的なのかどうかには議論もあるとは思いますが、現実に昨年度は+2.32%を実現し、投資環境が悪かった一昨年度でも-0.25%に止まっていたことは私たち個人投資家の運用にも大いに参考になるのではないでしょうか?



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