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ファンドの損失は罪ではない

kage

2012/04/03 (Tue)

本日、参議院財政金融委員会でAIJ投資顧問の浅川和彦社長を呼んで参考人質疑が行われました。その中で民主党の蓮舫議員が行った質問に私は違和感を持ちました。

AIJ社長「だました認識は一切ない」

「AIJ投資顧問」が年金資金を消失させた問題で、参議院財政金融委員会で3日、浅川和彦社長を呼んで2回目となる参考人質疑が行われた。

民主党・蓮舫議員が「見えないバブルの自信に支えられて損失を出したということは、だましたということではないか」とただしたのに対し、浅川社長は「だましたという認識は一切ありません」と答えた。

また、蓮舫議員は、AIJの顧客である栃木県建設業年金基金・渡辺勇雄理事長に「だまされたという思いは強まったか?」と聞くと、渡辺理事長は「私どもは詐欺以外の何ものでもないと感じている」と述べた。

さらに、AIJの関連会社である「アイティーエム証券」の西村社長も「見かけ上、だましたということになると思う」と述べるなど、浅川社長との認識の違いも見られた。

また、浅川社長は「今も損失を穴埋めできると信じているのか」と問われると、「できると思います」と答えるなど、強気の姿勢を崩さなかった。(日テレNEWS24より)



上記リンク先から実際のニュース映像の閲覧ができます。そこから蓮舫議員の質問を正確に書き起こしてみました。

蓮舫議員「見えないバブルのような自信に支えられて、結果として9年で1,090億もの損失を出したということは、だましたんじゃないですか?」

この文章を素直に読めば、「損失を出した=だました」というロジックになりはしないでしょうか?そもそもファンドはリスクを負ってリターンを目指すものですから損失を出すこともあります。実際に事前の目論見に反して「結果として損失を出した」ファンドは世界中に星の数ほどあるでしょう。果たしてそれは顧客をだましたことになるのでしょうか?ファンドの顧客は元本が保証されないこと(=リスクを負ってリターンを目指すこと)を承知の上で資金の運用を任せているのですから、「顧客の期待を裏切った」という表現が適切なのではないでしょうか?

ファンドが損失を出すことは罪ではありません。AIJの浅川社長が責められるべきは虚偽の運用結果を報告していたことです。つまり投資信託でいえば運用報告書・月報・週報などの内容や日々公表する基準価額を偽っていたということです。これは上場企業の粉飾決算にも匹敵する重い罪といえます。今日の参考人質疑で栃木県建設業年金基金の渡辺理事長が「私どもは詐欺以外の何ものでもないと感じている」と述べたり、アイティーエム証券の西村社長が「見かけ上、だましたということになると思う」と述べたのは、AIJが損失を出したことに対してではなく、虚偽の運用報告をしていたことを指しているはずです。

とはいえ大多数の国民感情は蓮舫議員の質問にあるとおり、「私たちの大切な年金の運用で大損するとは何事か!だまされた!」というのが現実なのでしょう。しかし投資を実践している方なら身に染みて理解されているとおり、投資におけるリターンとは取ったリスクの報酬です。大きなリターンを求めるなら大きなリスクを取る必要があり(ハイリスク・ハイリターン)、リスクを抑えたいのであれば期待リターンも小さくなるものです(ローリスク・ローリターン)。ファンドが損失を出すことを罪とするのであれば、リターンを得ることを求めてはいけないことになります。その論理矛盾に気付かず、損失を出すことは許さずリターンだけは求める感覚が当たり前のようにまかり通っていることは誠に残念です。



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