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最悪の事態を想定するのは難しい

kage

2012/01/08 (Sun)

遅ればせながら本エントリーが今年初更新となります。本年も引き続きハイリスク投機家の戯れ言にお付き合いいただければ幸いです。

改めて激動の2011年を振り返ってみて痛感するのはリスク管理の難しさです。私自身も東日本大震災直後に「追証発生」という大失態をやらかしてしまいました。最悪の事態は滅多に起こりませんし、できれば起きて欲しくないという心理も働くため、事前に想定して十分な対策や心構えを整えておくことは決して簡単ではありません。思えば今回の福島原発の事故にしても事前の想定が甘かったことが原因の一つに挙げられていますし、資産運用に限らず最悪の事態を想定してそれに備えることには困難が伴うようです。とはいえ2012年の世界経済や日本の状況を客観的に見れば、最悪の事態を想定しておく必要性が高まっていることもまた現実です。それでは具体的に私たちはどのような事態を想定をしておけば良いのでしょうか?

今、私たちが想定しておくべき最悪の事態とは、世界経済では欧州債務危機が拡大することにより引き起こされる第2次世界大恐慌です。私自身はもしイタリアが債務利不履行(デフォルト)に陥るようなら世界大恐慌の再来が現実味を帯びてくると考えています。実際にはそう簡単にそんな事態には至らないとは思いますが、イタリアの長期金利(10年もの国債の利回り)が危険水域とされる7%前後を行ったり来たりしていることもまた現実です。そして日本の状況で想定しておくべき最悪の事態とは財政破綻です。民間も含めた日本の経常収支は依然として黒字ですので、直ちに財政破綻や国債の暴落の心配はありません。しかしこれは昨年良く聞かれた「直ちに影響はない」と同じで、将来的に深刻な事態に至る可能性を否定しているわけではありません。そして多くの国民が、このまま日本の構造が少子高齢化に対応するような改革が進められなければ、いずれ日本もギリシャやイタリアと同じ道を歩むことになると不安を感じています。

それでは世界大恐慌や日本の財政破綻などの最悪の事態に備えて私たちはどのような対策を考えれば良いのでしょうか?私は単なるハイリスク投機家で経済や財政のプロではありませんので正確な予測はできません。ただ個人的にはそのような「最悪の事態」になれば、通貨や国債はもちろん、すべての金融商品は頼りにならなくなると思っています。もし国家財政が破綻すれば国の借金は踏み倒され、借金の証書(借用証書)である国債も最悪の場合は無価値になります。もちろん通貨も大暴落することでしょう。日本には銀行が破綻しても1,000万円までの預金は保護されるペイオフ制度がありますが、もしメガバンクが連鎖破綻するような事態になればどうでしょう?現在、日本国債を大量に購入しているのは銀行や保険会社ですから、国債が暴落すると大変なことになることは想像に難くありません。そして銀行や保険会社が国債を購入する原資にしているのが私たちの預金や保険料であることを考えると、最悪の事態下で資産を守ることはほとんど絶望的に思えてきます。

株式や投資信託などは分別管理されていますので、証券会社が破綻しても保護されます。しかしイタリアが財政破綻して世界大恐慌になるのなら日本が財政破綻しても世界大恐慌の再来は必至ですから、おそらく評価額の暴落は避けられないでしょう。さらに以前「最悪の事態を想定しておく」で指摘したように、もし証券会社が破綻したら「売りたい時に売れない」というリスクも生じます。

それなら金(Gold)を持っていれば安心か?といえば、必ずしもそうではないでしょう。財政破綻国は外国との取引の決済を自国通貨で行えなくなるため、外貨準備の一環として積み上げていた金(Gold)で支払うことになります。これが多くの国に波及すれば金価格も暴落する可能性が高まります。消費が低迷すれば当然のことながら原油価格や農産物の価格も下落することになるでしょうから、商品(コモディティ)もおそらく資産を守る役割を果たすことはできないでしょう。

これらの想定は私の単なる妄想の域を出ていないとは思いますが、非常時には平常時の常識では考えられないようなことが起きることもまた事実です。1990年代後半にアジア通貨危機が飛び火したブラジルで起こった出来事を以前こちらのエントリーでご紹介したことがありますが、改めて以下に再掲しておきます。

ハイパーインフレと聞くと私は以前ある電機メーカーの方から聞いた金融危機下のブラジルの事例が思い浮かびます。その時はブラジルの通貨であるレアルの下落がそれこそ時間単位で急速に進行したため、注文を受けて通常通り船便で送っていると製品が届くまでの間に売り上げ代金の価値が目減りしてしまうため、経費的にはバカ高い航空便を使って一刻も早く製品を届けて代金を回収し米ドルに両替する方が結果的に損失を少なくできたそうです。


非常時の想定をする際に平常時の常識、既成概念、思考パターンを用いると間違えることになります。結局のところ私は、最悪の事態を想定した対策は自給自足の態勢を整えておくか、日銭を稼げるスキルを身につけておく、くらいしか思い付きません。新年初エントリーからネガティブな内容になってしまいましたが、最悪の事態を想定しておくことは決して損にはならないはずです。とはいえいきなり最悪の事態を想定しろと言われても難しいので、もし自分の給料がユーロ建てだったら、などから練習を始めてみてはいかがでしょうか?



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