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特別分配金の罠

kage

2011/12/28 (Wed)

これまでにも何度かご説明したように、基準価額が個別元本を下回っている状態で出される「特別分配金」は自分が投資した元本を取り崩して返却してもらっているだけで、いわば銀行預金を引き出しているようなものです。それなのに「分配金」という名前が付いているため、利益か利息が分配されたと誤解しやすく、しかも利益の分配ではないため非課税であることも得をしたような誤解を招く結果になっています。これも「特別分配金の罠」であることは確かですが、本エントリーで触れたいのはまた別の罠です。

特別分配金は元本の払い戻しであるため、当然のことながら支払われると個別元本がその分だけ減少します。しかし口数はそのままです。ですから払い戻された特別分配金を再投資すれば当然のことながら口数がその分だけ増加することになります。個別元本が低下していわゆるナンピン買いと同じ効果を生み、再投資で口数が増加する特別分配金はグリコじゃないが二度美味しい、という意見がありますが果たして本当なのでしょうか?本エントリーではその真相を検証してみたいと思います。

検証を分かりやすくするために、まず以下のような事例を想定してみましょう。

事例1・1口=1円で1万口買った投資信託の1年後の基準価額が1万円。

この場合の出資額は1万円で、1年後の損益はプラスマイナス・ゼロです。個別元本は1万円のままで、保有口数も1万口から変わりません。

事例2・事例1の投資信託が1,000円の分配金を出した。

利益がないのに出した分配金ですから、この1,000円は特別分配金になります。その後の状況は、個別元本は1万円から1,000円を差し引いた9,000円となり、保有口数は1万口から変わりません。損益がプラスマイナス・ゼロであることも同じです。

事例3・事例2の状態で特別分配金1,000円を再投資した。

事例2の状態では1口=0.9円ですから、1,000円で1,111口の買い付けが可能です。これにより保有口数は1万+1,111口=11,111口となりました。

ここで事例1と事例3を比較すると、前者は1口=1円で1万口保有(総投資額は1×1万=1万円)、後者は1口=0.9円で11,111口保有(総投資額は0.9×11,111=9,999円)となります。小数点以下を切り捨てたため1円の誤差が出ましたが、両者はまったく同じ条件ということになります。これでも特別分配金が出たことで個別元本が下がり、それを再投資することで口数が増加するメリットはあるのでしょうか?

それでは検証をもっと分かりやすくするために、以下のような極端な事例を考えてみましょう。

事例4・事例1の投資信託が5,000円の分配金を出した。

利益がないのに出した分配金ですから、この5,000円は特別分配金になります。その後の状況は、個別元本は1万円から5,000円を差し引いた5,000円となり、保有口数は1万口から変わりません。損益がプラスマイナス・ゼロであることも同じです。

事例5・事例4の状態で特別分配金5,000円を再投資した。

事例4の状態では1口=0.5円ですから、5,000円で1万口の買い付けが可能です。これにより保有口数は1万+1万=2万口となりました。

いかがでしょう?これで投資系ブログでよく見かける命題と同じになりました。すなわち、基準価額1万円の投資信託を1万口保有(投資金額は1万円)するのと、基準価額5千円の投資信託を2万口(投資金額1万円)を保有するのではどちらが有利か?ということです。回答はご承知のとおり「違いはない」になります。例えば事例1と事例5の投資信託が1年間でプラス10%の運用成績を上げたとすれば、前者は基準価額11,000円となり1,000円の利益、後者は基準価額5,500円となり500円×2=1,000円の利益です。もし両者とも基準価額が1,000円上がれば後者の利益は2,000円になりますが、その要因は個別元本の低下や口数の増加ではなく、運用成績が前者の2倍(20%)であるためです。

このように、個別元本の低下や口数の増加で何となく有利になりそうだという誤解を招きやすいことも「特別分配金の罠」だといえるのではないでしょうか?この検証からいえることは、最初から再投資をするつもりならば、分配金ありの投資信託を選ぶ意味はない、ということです。しかしリタイア後で資産取り崩し期に入っているのなら、「元本を取り崩して何が悪い」と堂々と特別分配金を受け取ってください。特別分配金をある程度プールしてからタイミングを見計らって再投資するという方法もあるとは思いますが、ハイリスク投機家を自認する私にしてみれば、それなら売却もタイミングを見計らって行えばいいのでは?と感じます。

しかしながら結局のところ投資手法はライフスタイルです。投資直後から徐々に売却を進めるという手法だってあって良いと思います。その手法を正しく理解して、好きでやっているのなら、他人がとやかく言う問題ではありませんよね。



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この記事へのコメント

kage

損切り、解約無料

上記の口数お件はそのとおりですが、
特別分配もよく見える点があります。
私はある時点に置いての損切り、
解約料が無料な点、
信託報酬の削減にメリットが見いだせると思います。

Posted at 15:23:20 2011/12/28 by 毎月分配型なら-のりたま

この記事へのコメント

kage

毎月分配型なら-のりたまさん

コメントありがとうございます。

特別分配金は損失確定を行いませんので
残念ながら「損切り」にはなりません。
それまでに抱えた含み損は残ったままです。

「解約料が無料」はその通りですね。
信託財産留保額が不要であることは利点です。

「信託報酬の削減」を重視するなら、
個別株投資のように損切りラインを設定して
一時撤退を行う方が良いように思います。

Posted at 19:11:57 2011/12/28 by おやじダンサー

この記事へのコメント

kage

損切りという言葉がダメなのかな?

おやじダンサーさん。

キャッシュ退避で、損失限定ができる。
という意味で、損切りと同じという効果=意味で書いているのですが。多分、言葉の使い方の問題ですかね?

Posted at 21:47:12 2011/12/28 by 毎月分配型なら-のりたま

この記事へのコメント

kage

毎月分配型なら-のりたまさん

将来の損失を限定するという意味は理解できるのですが、
一般的に「損切り」の意味は損失確定ですので、
私は違和感を覚えます。

Posted at 22:39:56 2011/12/28 by おやじダンサー

この記事へのコメント

kage

その通りですね。

おやじダンサーさん。

なるほどー、解約するまでは損失は確定しませんね。
今度から、損失限定のキャッシュ退避と言うように心がけます。

Posted at 00:45:09 2011/12/29 by のりたま5002

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kage


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