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欧州銀行の投げ売り

kage

2011/12/09 (Fri)

前回のエントリーで「今月中には終わるはず」という観測をお伝えした欧州銀行の資産圧縮ですが、下記の読売新聞の報道によると、これからまだ1年半も継続する可能性があるそうです。

欧州銀、資産売却を加速…今後210兆円の観測

欧州の金融機関によるリストラが加速してきた。

欧州危機に伴い金融機関が持っているギリシャやイタリアの国債が値下がりしたり、景気減速の影響で財務内容が悪化したりしているためだ。金融機関は資本を増強するだけでなく、資産を売ることで、経営の健全性を示す「中核的自己資本比率」を上げる狙いがある。欧州メディアによると、今後1年半で2兆ユーロ(約210兆円)の資産が売りに出されるとの指摘もある。

アイルランド金融大手のバンク・オブ・アイルランドは、北米や欧州でのエネルギー関連などの事業向け融資(債権)の一部を、三井住友銀行に約4億7000万ユーロ(約490億円)で売却することを決めた。

欧州メディアによると、仏金融大手クレディ・アグリコルも、南アフリカの投資子会社を閉鎖する方針を表明した。南アにある外国銀行としては4番目の規模を持ち、成長も見込めたが、親会社の資産圧縮を優先せざるを得なかった模様だ。(2011年12月5日付・読売新聞より)



欧州銀行の資産圧縮に伴う投げ売りで、日本を代表するような国際優良銘柄が叩き売られたことは記憶に新しいですが、実は投げ売りの本命は国債なのだそうです。銀行が保有する有価証券の割合は株式より債券が圧倒的に高いため当然と言えば当然ですね。リスク回避の動きの中で買われていたドイツ国債や日本国債さえも売られ始めたのは、欧州銀行の投げ売りが本格化した結果だったのかも知れません。

欧州銀行が資産圧縮を求められている理由は、欧州債務危機が深刻化した際にも経営基盤が揺るがないように自己資本比率を引き上げるためです。ちなみに自己資本比率を引き上げるためには2つの方法があります。それは増資などで分母の自己資本を増やすことと、保有するリスク資産(多くが債券や株式などの有価証券)を売却して分子の資産を圧縮することです。欧州債務危機の影響で欧州銀行は増資が行えないため(増資で新規に発行する株を誰も買ってくれない)、仕方なく保有するリスク資産の圧縮に励んでいるというのが実態のようです。

ここでふと嫌な連想が浮かんで来たのですが、もし日本の銀行が国家財政悪化による金融不安の高まりで自己資本比率の引き上げを求められたらどうなるのでしょうか?これまでは株価が低迷しても何とか増資(新規株式発行)で対応できていました。しかし今の欧州銀行のように資産圧縮を余儀なくされたら、銀行が大量に保有する日本国債も叩き売られることになるのではないでしょうか?もしそうなれば間違いなく日本国債の価格は暴落ですね。

日本の国際収支は民間を含めると依然として黒字ですので国債の暴落はそう簡単には起こらないとは思います。しかし資産運用において大切なことは、万が一想定外の事態(この場合は日本国債の暴落)が起こった際に、いかに資産の「全滅」を防ぐかという視点です。昨日のECB理事会終了後にドラギ総裁がイタリア国債の買い支えに否定的な発言をしたことでイタリア株の代表的な指数であるFTSE MIBは-4.29%の大幅下落になりました。通貨ユーロも下落しました。このように国家財政が悪化すると債券(国債)、株式、通貨が揃って下落する、いわゆる「トリプル安」の状態になります。今のイタリアは明日の日本かも知れないと考えて、今の内から対応を想定しておくことは決して無駄にはならないはずです。



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