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積み立て投資は損か得か

kage

2011/11/23 (Wed)

定期定額積み立て投資(いわゆるドルコスト平均法)が損か得か(有利か不利か)についてはさまざまな意見があります。しかし結局のところは、「メリットとデメリットがあるため損でも得でもない」という結論に至るのが一般的であろうと思います。私も定期定額積み立て投資を実践している一人ですが、正直なところ長期投資を前提とするのであればデメリットの方が大きいのではないかと思っています。なぜなら長期投資が合理的である前提条件が、世界経済が(短期的な波はあっても)長期的には右肩上がりに成長を続けることであるためです。言い換えれば期待リターンがプラスであるからこそ長期投資を行っているわけで、その効果を最大限に生かそうとするのであれば、一刻も早くフルインベスト状態にすることが合理的であるといえます。

とはいえ一括投資では運悪く高値で買ってしまうリスクを負うことになります。これに対して積み立て投資で投資機会を分散すれば高値で買うリスクを回避できます。しかしこれも反対に見れば一括投資には安値で上手く拾えるチャンスがあるわけで、積み立て投資ではこのチャンスが希薄化されてしまいます。結局のところ「絶好の買い場」は誰にも分からないのですから、一括であろうと分割であろうと投資タイミングを気にするだけ無駄という結論になるのではないでしょうか?もしそうであれば、プラスの期待リターンを最大限享受するためには、一刻も早くフルインベスト状態にすることが有利というのが私の意見です。

この件については以前こちらのエントリーでレポートしたセミナーにおいて、山崎元氏(経済評論家、楽天証券経済研究所客員研究員)がズバリと結論を語っておられましたので、ご参考までに再掲させていただきます。

山崎:時間分散に意味はない。いつが適切な投資タイミングであるかは分からない。期待リターンがあるから投資するのであるからできるだけ早く自分が適切と考えるアセットアロケーションを構築する方が良い。私が駆け出しのファンドマネージャーだったころある先輩から「安くなった銘柄を上手に買え」とアドバイスされた。それでどの銘柄が安いのか迷っていると別の先輩が「迷ってないで買っちゃえよ」とアドバイスしてくれた。安い銘柄を買えとアドバイスされたと話すと「それならそう言ったあの人は安い銘柄を上手に買っていると思うか?」と問われた。答えはNOだった。時間を分散して「安いものを上手に買う」。本当にそれが可能か?時間分散は行動心理学では後悔の事前回避に過ぎない。フルインベスト状態になるまでの時間が機会ロスになる。さらに買い付けを分散することで余計に手数料もかかる。投資はドライに行うべき。


ご覧にとおり単純明快なご意見です。個人的には機会ロスも考慮せよというご指摘が重要だと感じました。

それでは不利だと分かっていながらなぜ私が積み立て投資を実践しているのかと不思議に思われる方もいらっしゃると思います。実はそこに積み立て投資損得論争が陥りやすい行き違いの種が隠されているのです。上記の山崎氏のご意見はある質問に対する回答だったのですが、その質問とは「退職金のようにまとまった資金が手元にある場合の投資法について迷っている。時間分散すべきか?」でした。つまりこれは「リスクを取って良い資金がある程度まとまって手元にある場合は一括投資が有利」というご意見なのです。それでは手元にリスクを取って良いまとまった資金がない場合の投資法はどうすべきか?と問われれば、積み立て投資が合理的な解答となるわけです。私の場合はあくまでもハイリスク投機が主ですので、長期投資に回すお金がない(回したくない)という理由から積み立て投資を実践しているわけです。

この論理はマイホームの購入に置き換えて考えれば分かりやすいかも知れません。マイホームの購入を検討している人がもし希望物件を買えるだけの現金を保有しているのなら現金で買うのが有利です。住宅ローンを組むと金利がかかりますので。しかし現金を保有していない場合は住宅ローンが合理的な解答となるわけです。「ベストではないが合理的な解答」という意味ではインデックス運用も同じですね。そういう意味ではインデックス運用と積み立て投資は目指す方向性が似ているのかも知れません。つまり、目覚ましい成績を残すことが目的ではなく、無理なくそれなりの資産を形成することを目指しているということですね。

本当はここでエントリーを終えるつもりだったのですが、ふと思い付いたことがあるため蛇足ながら続けます。現時点でまとまった資金があるのなら一括投資が有利で、ないのなら積み立て投資が合理的であるのなら、資産の取り崩し期はどのような出口戦略が有利なのでしょうか?この場合ではすでに「ある程度まとまった資金」が手元にあるはずですよね?まず運用資産がすでに目標額に達しているのなら、直ちに全額を取り崩すべきなのかも知れません(=運用をやめる)。もし運用を続けるのであれば、取り崩しをなるべく先送りする方がプラスの期待リターンを享受できる分だけ得ということになりますね。つまり毎月の定額解約とか定率解約とかにこだわらず、必要になった時に必要な分だけ取り崩すという方法が合理的なのかも知れません。ちなみに上記でご紹介したセミナーでも山崎氏はこのようなご意見を述べておられました。

・投資は中身が増減する財布を持っているようなもの。財布なのだからお金が必要になった時は迷わず引き出せば良いし当面使う予定のないお金があれば入れておけば良い。運用への対応はそれくらいドライで良い。


ただし出口戦略で注意しなければならないのは、リーマンショックや欧州債務危機のような要因で保有資産が大幅に毀損してしまった時に、回復を期待する時間的な余裕がないということです。資産の取り崩し期(出口戦略)に入った時には、長期投資の観点を捨てて短期投資の視点に切り替えることが、実はもっとも重要なことなのかも知れませんね。



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