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アクティブファンドはなぜインデックスファンドに勝てないのか

kage

2011/01/29 (Sat)

最近相互リンクさせていただいているrennyさんのエントリーを読んでインスピレーションを受けることが多いのですが、本エントリーも本日更新された『チョクハン』の魅力を拝読して標記の命題に対する理由について思い当たるフシがあったことがきっかけで書いています。単刀直入に書くと私の脳裏に浮かんだのは3年近く前に書いたこちらのエントリーでご紹介したセゾン投信の中野社長の下記の発言でした。

前々から澤上さんや村山さんんからは聞いていたが、暴落場面で安定して資金が入ってくるありがたさや喜びが今になってよく分かった。投資の要諦は安く買って高く売ること。今安く買えるからこそ今後の運用成績向上につながる。基準価額が下落すると解約が殺到して資金が逃げていくアクティブファンドだと本当は安く買いたい時に強制的に売らなければならなくなる。これはファンドに残った人に多大な迷惑を及ぼすことになる。また販売店寄りの商品を作らなければならない多くのアクティブファンドはドンドン新商品が出てきて旧商品は売らなくなる。これでは投資する人も不幸だ。(筆者註:中野社長のお言葉です。暴落時も安定して資金が入ってくるファンドは着実に押し目買いができますが、資金の流出が続くファンドではひたすら狼狽売りを続けることになります。この資金動向は運用成績に大きな影響を与えると思われますので人気のあるファンドを選ぶことが結構重要になるかも知れませんね。またファンドは参加者全員で育てるという理屈がよく分かりました。)



よくアクティブファンドがインデックスファンドに勝てない理由の第一はコストであると説明されますが現実には上記の中野社長の発言にもあるようにファンドへの資金の出入りが運用成績に大きな影響を与えることも大きな理由のひとつであるといえます。もし伝説のファンドマネージャーが運用するアクティブファンドがあったとしても株価が急落して顧客の解約が殺到すればいくらファンドマネージャーが「ここは絶好の買い場」と判断しても否応なく組み入れ資産の売却を進めなければなりません。反対に株価が順調に上昇を続けて顧客の買い付けが殺到すれば(目論見書に「組み入れ資産は高位に保ちます」と書いてある限りは)ファンドマネージャーが今はもうバブルの領域だと判断していても否応なく組み入れ資産を増やさなければなりません。そもそもファンドマネージャーの仕事は運用であるために現金比率(キャッシュポジション)を高めると仕事をしていないと見られたりしますので。運用にこのような縛りがあればいくら伝説のファンドマネージャーでもその手腕の一部しか発揮できないのが現実なのではないでしょうか?つまりこれが本エントリーの表題とした「アクティブファンドはなぜインデックスファンドに勝てないのか」に対する私なりの回答です。

その点独立系投信の資金の出入りは明らかに違います。rennyさんのエントリーで紹介されているように定期買い付け(積み立て)を継続している顧客が多いということは市場の強弱に関係なく(=投資家心理の変動に関係なく)安定的に資金の流入が続くことを意味します。実際に私が定期買い付けを継続しているセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドひふみ投信には安定的な資金流入が続いており順調に預かり資産残高を増やしています。セゾン投信の中野社長はこれを「良質な資金に支えられている」と表現されますが上記引用で私自身が書いているようにこれは顧客全員でファンドを育てているといえるのではないでしょうか?これに対して従来型のアクティブファンドは設定時こそ証券会社の強力な営業能力を駆使してまとまった資金を集めてもその後はジリジリと預かり資産を減らすのが一般的です。そして次々に新しい投資信託を作って顧客に乗り換えを勧める。これでは顧客もファンドマネージャーも不幸です。

私が定期買い付けを継続しているひふみ投信はアクティブファンドでありながら安定的な資金流入に支えられ、ファンドマネージャーが危険と判断した時には大胆に現金比率を高める運用も可能になっています。もしかすると私たちはこれまでの日本のアクティブファンドにはなかったまったく新しい投資環境で運用されるアクティブファンドの実証実験に協力しているのかも知れませんね。その結果次第で「アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない」という常識は過去のものとなる可能性も十分にあるのではないでしょうか?

以上のことから私は本エントリーの表題に掲げた「アクティブファンドはなぜインデックスファンドに勝てないのか」という命題に対して「これまでのアクティブファンドの環境ではファンドマネージャーの腕が生かせない(=思い通りの運用ができない)ため」と回答したいと思います。明確な根拠があるわけではありませんがおそらくこちらの方がコストより大きな要因なのではないでしょうか?独立系投信の環境は明らかに従来型の投信とは異なっているという事実を前提にして考えれば、「独立」とか「直販」が大切なのではなく「顧客(仲間)の質(中野社長風に表現すれば資金の質)」の高さが重要なのだという結論になるのではないでしょうか?

<追記>
ここで書いた仮説は潔く撤回し、新たに「続・アクティブファンドはなぜインデックスファンドに勝てないのか」を書きましたのでぜひご参照ください。



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この記事へのコメント

kage

資金流入は関係ないです

さわかみファンドの「暴落場面で安定して資金が入ってくるありがたさ」に関しては立ち上げ当時から注目していましたが、
暴落場面での流入資金でその日に株を買うなら、暴落場面で資金が入らず(だから株を買えない)ファンドと、基準価格の値動き的には変わりません。
暴落場面で流入資金があったのにすぐには買わずに現金のまま保有し(つまりファンドの現金比率は高まる)もっと下がるのを待つのなら、
流入資金はないけれど、持ち株を売却して現金比率を売却して、もっと下がるのを待つファンドの基準価格の値動きは変わりません。

ファンドの資産が大きくなり、自分の売買で株価を動かしてしまうなら(特に暴落局面では買いが少ないのですから)資金流入/流出の影響もあるでしょう。
しかし、暴落場面で資金が流入するインデックスファンドと流出するインデックスファンドで基準価格の変動は売買コスト(主にビット・アスクスプレッド)しか変わらないのですから、資金の流入・流出そのものが運用の良し悪しに効くことはありません。
効くのは流入資金ですぐ買うか、現金のまま保持するか(これは流入資金がないまま株を持ち続けるかある程度売って現金化するかと等価です)というファンドマネージャの判断です。
分配金の出し具合には実現損益が効きますから等価ではないですが、今回は分配金の話ではないですから。

今回書かれているのは、フルインベストメントのアクティブファンドと、資産比率もファンドマネージャーが変更できるアクティブファンドの違いです。
これも結局マネージャーの腕次第で、弱気な人が一番多い時が一番安いのですから、「マネージャが危険と判断したら現金比率を上げられる」ファンドの平均はインデックスに負けます。
昔の投資信託はそのような運用がなされていて、平均したらインデックスに負けるからインデックス運用が始まり、それにちょっと味を付けたのがフルインベストメントのアクティブファンドです。

大事なポイントは、運用会社の立場で考えていただければ分かりますが、暴落場面はそれに比例して運用報酬も減るのですから、そんな苦しいときに資金を入れてくれるのはありがたいことです。

Posted at 16:25:29 2011/01/29 by COLE

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kage

COLEさん

コメントありがとうございます。

暴落時に買おうと売ろうと基準価額は変わらないというご指摘は確かにその通りですね。直接的なメリットは個々の顧客が安く買うことで個別元本を引き下げられることでしょうか。ただアクティブファンドにおいて暴落時にファンドマネージャーが自分の投資判断で買うのか待つのかを判断できるのと否応なく売らされるのでは将来の基準価額に大きな差が出る要因となるのではないでしょうか?

さわかみファンドについては2007年ごろから預かり資産残高の上昇が止まっていますね(これには運用成績の低迷という理由もあるのでしょう)。また運用規模が大きくなりすぎてインデックスファンドと似た運用になってしまっているという指摘もありました。運用方針もずっと強気で常にフルインベストメント状態であったような印象があります。インデックスファンドと似た運用でインデックスファンドと同じような結果しか出せないのであれば積極的にさわかみファンドを選ぶ理由はありませんね。

アクティブファンドはそのファンドの運用方針やファンドマネージャーの運用能力に期待して投資するものですからファンドマネージャーには思い通りの運用をして欲しいものです。そして信じて託した以上その結果は甘受する。最終的にはファンドマネージャーの腕次第ということにはなりますが安定した資金流入が続いているとかフルインベストメントを義務付けないといった点がファンド選びの判断基準になり得るのではないかと思います。

Posted at 17:33:24 2011/01/29 by おやじダンサー

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kage

余談です

「ファンドの資産が大きくなり、自分の売買で株価を動かしてしまう」でふと思い出したのですが何年か前に高額納税者番付の上位に某投資顧問の運用責任者が登場して話題になったことがありました。その人の運用手法は流動性の低い株を自らの資金で買い上がることだったそうです。そうすれば基準価額はドンドン上昇し顧客も喜び多額の成功報酬を手にできる。しかし実態は買い手は自分しかいないわけですから売るに売れない「絵に描いた餅」だったという笑うに笑えない話を思い出しました。これは目覚ましい成績を残しているからといって必ずしも良いファンドとは限らないという好例ですね。

Posted at 18:02:25 2011/01/29 by おやじダンサー

この記事へのコメント

kage

「余談です」が面白かったです。

Posted at 18:31:07 2011/01/29 by レバレッジ君

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kage

レバレッジ君さん

金融商品には至るところに落とし穴ありで気が抜けませんね。

Posted at 19:09:08 2011/01/29 by おやじダンサー

この記事へのコメント

kage

> ただアクティブファンドにおいて暴落時にファンドマネージャーが自分の投資判断で買うのか待つのかを判断できるのと否応なく売らされるのでは将来の基準価額に大きな差が出る要因となるのではないでしょうか?

ファンドの様々な持ち株の比率を変えることなくすべて同じ割合で売るのであれば、ビットアスクスプレッド以外は差の原因になりません。
これも暴落時に資産が流出するインデックスファンドと流出しない(あるいは流入する)インデックスファンドの基準価格がどう変わるかを考えればご納得頂けると思います。
暴落時にはスプレッドは大きくなりますからこの点に関してはその時点での差にはなりますが、将来の大きな差の原因にはなりません。
実際にはすべて同じ割合で売らずにスプレッドが小さい(つまり暴落時にも買いが多く入っている)銘柄を売るのかも知れませんが、そのような銘柄の方が後でより大きく上がるとは限りません。
個人的な経験では(つまり客観的証拠となるほどデータは集めていませんが)、スプレッドが大きい銘柄の方がリバウンドも大きい、つまり売るに売れない銘柄を残したら一時的な基準価格の下落も大きいけれど反発も大きい印象があります。


> アクティブファンドはそのファンドの運用方針やファンドマネージャーの運用能力に期待して投資するものですからファンドマネージャーには思い通りの運用をして欲しいものです。そして信じて託した以上その結果は甘受する。

以前からの不思議に思っているのですが、フルインベストメントのアクティブファンドって、
現金比率の調整の関してはファンドマネージャーの運用能力に期待しないけど、
銘柄選択に関してはファンドマネージャの運用能力に期待するわけですよね。
そんなファンドも少しはあっていいと思いますが、中途半端と言うか、
ファンドマネージャーの能力に期待しないならインデックスファンドに投資するわけですから
アクティブファンドとしてファンドマネージャーに高い手数料払うなら、
現金比率もファンドマネージャーの判断に任せるファンドが主流であっても良さそうに思います。

Posted at 21:46:40 2011/01/30 by COLE

この記事へのコメント

kage

COLEさん

コメントありがとうございます。

確かに将来の株価はどうなるかわかりませんので暴落時に安く買えたファンドが必ずしも運用成績が良くなる可能性が高まるとはいえませんね。そうなると資金が流出するファンドのデメリットは大切なお金を信じて託したはずのファンドマネージャーの投資判断を縛ることが第一というべきかも知れません。

またファンドの現金比率を自由にできないこともファンドマネージャーの判断を縛ることに他なりませんのでご指摘のとおりキャッシュポジションの判断も含めて自由に運用できるアクティブファンドがもっと登場して欲しいものですね。やはり「現金で保有する=運用の仕事をしていない」という固定観念が邪魔をしているのでしょうか?

Posted at 00:08:43 2011/01/31 by おやじダンサー

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kage

おやじダンサーさん

私はビーグルはインデックス(投信やETF)で、自分でアクティブ運用すれば良いと考えています。そうすればキャッシュポジの比率も自在に変えることができますし費用も安いでしょう。
あとは自分の腕前(これが問題かも知れませんが・・汗)だけです。

Posted at 09:11:58 2011/01/31 by Tansney Gohn

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kage

Tansney Gohnさん

コメントありがとうございます。

私はハイリスク投機家を自認しながら個別株売買で過去に何度も失敗しているので誰よりも自分自身の相場観を信じていません。その反動でアクティブファンドに対する過度な期待と幻想を抱いているのかも知れませんね。

Posted at 12:37:30 2011/01/31 by おやじダンサー

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kage


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