海外株式投信評価額(2010.11.19現在)

2010/11/20 (Sat)
今週のニュースの中で個人的に気になったのはメガバンクの業績が好調であることを伝える下記の記事でした。3メガバンク中間決算、最終利益1兆円超 国債売却益が押し上げる
メガバンク3グループの2010年9月中間連結決算が15日、出そろった。最終利益は合計で1兆円を超えた。低金利で値上がりした国債の売却益が膨らんだことが大きく寄与した格好だ。ただ、経済の先行きが不透明さを増している上、関連ノンバンクの不振や、新自己資本規制への対応など課題は山積している。各行は新興国での事業展開などを通じて、利益の積み上げを目指す。
「不安定な環境の中、着実に成長できた」。三菱UFJフィナンシャル・グループの永易克典社長は同日の会見でこう述べた。三菱UFJの最終利益は前年同期比2.5倍で、06年9月中間期以来、4年ぶりの高水準となった。
大幅増益は他の2メガも同様で、みずほフィナンシャルグループは06年9月中間期(3923億円)に続く過去2番目の水準。三井住友フィナンシャルグループは過去最高を記録した。
いずれも大きかったのは、国債の売却益が急増し、融資の低迷をカバーしたこと。三菱UFJの場合、国債などの売買益が前年同期の248億円から1707億円へと7倍近くに膨らみ、不良債権処理費用も減った。
ただ、3メガとも下期については慎重な姿勢だ。政策効果が切れることや海外経済減速による輸出鈍化などが予想されるためで、みずほFGの塚本隆史社長は「景気は踊り場に入るだろう」との見方を示している。(後略)(フジサンケイビジネスアイより)
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「日本の銀行は本来の業務である貸出をないがしろにして国債ばかりを買って利ざやを稼いでいる」との批判は以前からよく聞きますが通貨高+デフレの国ニッポンでは国債の利息より売却益の方が大きな利益になったようですね。債券価格と金利の関係についてはずいぶん以前に「金利が上がるとなぜ債券価格は下がるのか」というエントリーを立てたことがありますが、要は世界的なリスク回避の動きの一環として日本国債が買われたため国債の本体価格が上昇し相対的に金利が低下したわけで、メガバンクは値上がりした日本国債を売って莫大な利益を計上したということですね。銀行が本来の業務である貸出をないがしろにしていることは非難されて当然のこととは思いますが国債の売買でキッチリと利益を上げたことは株主や従業員に対する責任は果たしているといえるのではないでしょうか?
以上のようにこれまでの世界経済の流れは「リスク回避」という大義名分の下で日本円が買われ、日本国債が買われました。これにより為替ではドル円が15年前に記録した戦後最高値に迫る水準にまで上昇し、10年もの日本国債の金利(いわゆる長期金利)も0.8%まで低下しました(その分国債の本体価格は上昇したということです)。なぜリスク回避の流れが鮮明になると日本の通貨や債券が買われるのかといえば日本がデフレの国であるからに他なりません。デフレはモノの価格(物価)が下がり続け相対的に通貨の価値が上がり続けることを意味しますのでデフレの国の通貨や債券を持っていれば自動的に資産価値が増すことになります。メガバンクはこの流れに乗って大量に日本国債を買い入れ、本体価格が値上がりしたところで上手く売り抜けて巨額な利益を得たわけです。一部の大手輸出企業が日本経済を支えるという歪んだ構造になってしまっている日本では円高というと弊害ばかりが強調されて受け取られがちですが、通貨高や国債人気を利用して利益を上げるメガバンクや積極的に海外企業の買収に乗り出す一部メーカーなどの存在を見て日本企業のしたたかさを垣間見た思いです。
今週日経平均株価は予想外の強い動きで久しぶりに1万円台を回復しました。一方で為替はわずかではありますが円安方向に触れています。この目先の動向だけをもって長く続いたデフレ時代が終焉する前兆であると断言することはできません。しかし思い切り希望的観測であることを前提に語ることをお許しいただけるならここ一両日の日本株式市場の動きは明らかに雰囲気が変わったように見えます。とはいえ結局のところ解答は後になってみなければ分かりません。今の動きは一時的なものでまたデフレ+円高の流れに戻ってしまう可能性も決して低くないことは事実でしょう。しかしもし現状がインフレに続く道の分岐点あるとすれば、長く続いたデフレにすっかり慣れた私たちの思考パターンが投資における大きな障害になる可能性が高いといえるのではないでしょうか?日本のデフレはあまりに長く続き過ぎたためインフレを知らない若者も多いと聞きます。過去の日本の長期金利を調べてみると1980年ごろは8%、1990年ごろは6%でした。少子高齢化が急速に進行する日本ではもはや高度成長は無理なので常識的に考えてそのような高金利時代が再び訪れるとは単純には考えにくいのですが、悪化を続ける国家財政が日本国債の信用低下につながり本体価格が下落して相対的に長期金利が跳ね上がるという悪夢のシナリオは十分に考えられますので、良悪両方のシナリオでインフレの到来を想定して投資だけでなく家計全体でどう対応するかを日頃からイメージトレーニングしておくことも大切なのではないでしょうか?
今週は日本株だけは元気でしたがアメリカ株の大幅下落もあり、結果論でいえば猫パンチ投資を繰り出す絶好のチャンスでした。しかしどうしようかと散々迷ったのですが結局実行に移すことはできませんでした。昨日は中国の利上げ観測から一時上海株、香港株とも軟調に推移していたのですが戻して終わりました。しかしその後実際に1カ月で2回目となる異例の預金準備率引き上げが発表されたため来週の中国株の動向に注目しています。これまでは「金融引き締め=株価下落」でしたが「金融引き締め=それだけ景気が強い証拠=株高」となればやはり相場の雰囲気が変わったのだと判断できるのではないでしょうか?
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今週のETFを活用した短期売買は先週から引き続き上場インデックスファンド海外新興国株式(1681)、東証REIT指数連動型上場投(1343)、上海株式指数・上証50連動型上場投資信(1309)を中心に売買しました。1343は短期的に順調すぎるほどの上昇を見せたため木曜日に全数利益確定し、1681は昨日の念のために少し高いところに売却の指値を入れておいたところ思いがけず結構ヒットしてくれました。しかしその後1343も1681も下げてきたので改めて少しだけ拾って来週に持ち越しています。1309は報われない戦いとなっていますが昨日は寄り付きで利益確定できた分を後場安くなったところで買い戻してこちらも来週に持ち越しています。来週の注目は先にも書いたとおり追加金融引き締め実行後の上海株の動きですね。あと1343のポジションがほとんどなくなりましたので安い場面を待って再度狙ってみたいと思っています。
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