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ひふみ投信の運用報告書が届きました

kage

2009/10/27 (Tue)

ひふみ投信一周年」でご紹介したように昨年10月1日に設定されたひふみ投信は今年の9月30日に第1期の決算を行いました。そして昨日、帰宅してみるとひふみ投信を運営するレオス・キャピタルワークスからひふみ投信の運用報告書が届いていました。ひふみ投信はこの分野のパイオニアであるさわかみ投信と同様に海外株式の組み入れも可能にしている「国際株式型」の投資信託なのですが、第1期の運用は日本株のみで行われました。しかしながらご承知のとおり未曾有の金融危機の影響で日本株を取り巻く環境は非常に厳しく、昨年秋と今年春の2度に渡って日経平均株価がバブル後最安値を更新する事態となりました。このような最悪の投資環境にありながらひふみ投信の第1期運用実績は+20.5%という高いパフォーマンスを残しています。ちなみに同期間中の東証株価指数(TOPIX)の騰落率は-16.3%であり、ひふみ投信より約1カ月前に決算を迎えたさわかみ投信の第10期の運用成績は(決算日が異なるため単純な比較はできませんが)-9.8%となっていますので、相対的にひふみ投信の優秀さがお分かりいただけるのではないかと思います。

当ブログでは直近のエントリーでファンドのコスト比較を行ってきましたのでご参考までに運用報告書に記載されたひふみ投信とさわかみ投信のコストも比較してみましょう。なお下記の数値はいずれも1万口あたりの費用明細となります。

項目ひふみ投信さわかみ投信
(a)信託報酬
 (投信会社)
 (販売会社)
 (受託銀行)
109円
(50)
(50)
(9)
114円
(83)
(20)
(11)
(b)売買委託手数料
 (株式)
48円
(48)
4円
(4)
(c)保管費用等1円
 合計158円118円

ご承知のとおり信託報酬の計算はその時点の総資産×割合で行われますので絶対額は日々変動しますし、基準価額の異なる投信の間で絶対額を比較しても意味はありません。すなわちひふみ投信とさわかみ投信の信託報酬の差は、単純な比率の差(ひふみ投信は年率1.029%、さわかみ投信は年率1.05%)に加えて期間中の平均基準価額がさわかみ投信の方が高かったために生じたものと考えられます。なおひふみ投信の方にだけ存在する保管費用等は監査費用と説明されていました。

数字を見れば一目瞭然なのですが、両者の大きな違いは売買委託手数料の差となって現れています。すなわちこの数字を見るだけでもさわかみ投信の戦略はBuy&Holdであり、ひふみ投信の戦略は積極的なトレーディングであったことが分かります。ひふみ投信は昨年の12月以降保有現金比率を大幅に高めているのですが、そのような状況下でも積極的な売買を継続していたためこのような結果となりました。ただ私の個人的な意見としてはアクティブファンドは結果が第一ですので、100万円の経費を使ったとしても200万円の効果を出してくれれば文句はないわけで、このコストは+20.5%という実績を出すための必要経費であったとの理解で、まったく問題視していません。

一方でひたすらBuy&Hold戦略を貫くさわかみ投信については私が定期購読しているFinancial JAPANの最新号(12月号)にちょっと気になる記事がありました。それは9月末に行われた投資フォーラムにおける澤上社長ご自身の下記の発言です。

さわかみ投信はもともと、日本株、日本企業を応援する投資スタンスで知られているが、特に今、日本企業の株式を買い進めているという。「一時期は300銘柄くらい持っていましたが、今は180銘柄くらいに絞っています」と話した。その理由として「資金を集めるのが容易ではないので、『ごめんなさい売り』をしているんです。つまり、本当は持っていたい株でも、より"買い"の優先度が高いものを多く買うために『申し訳ないけど、いったん売らせてね』という気持ちで売っている」と申し訳なさそうに解説した。(Financial JAPAN12月号117ページより引用)


ということはさわかみ投信も来期の決算では売買委託手数料が結構増えるのではないでしょうか?ハイリスク投機家を自認する私自身も過去に何度も苦い経験がありますが、株式の組み入れ率を高位に保ついわゆる「フルインベストメント」状態では株価暴落時に欲しい株を買うために本当は売りたくない株を売って資金調達を行うことが往々にしてあります。今のさわかみ投信はその状態に陥っているわけですね。これに対してひふみ投信は現金比率を高めて「暴落大歓迎」の体勢を整えており、澤上社長お得意の「ご機嫌買い(=大暴落局面で喜んで買い出動すること)」がいつでも可能な状況にあります。個人的には世界経済が出口戦略を探り始めるタイミングでいわゆる「二番底」の可能性は大いにあると考えていますのでひふみ投信の「守りながらふやす」運用スタンスを大変頼もしく感じています。昨日配信された保有者向けの運用報告書「ひふみのあゆみ」によると、いよいよ藤野氏も独自の投資判断で動き出すようですので、ひふみ投信の今後の動向には期待しつつ注視を続けたいと思っています。

ひふみ投信



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kage

2ちゃんねるの書き込みによれば、
去年ごめんなさい売りをしてまで、買いたいと言っていたスズキ(去年は、暴落した10月以外は毎月買っていたそうです)も、今年になって、大部分を売却しています。
今年は、買って2,3ヶ月したらすぐに売るという行為を50銘柄ぐらいあるようです。

さわかみファンドは、黒字だから、他の銘柄よりもマシだから、と言って買ってみたものの、減益、赤字に転落したら、目の色を変えたように投売りしています。

さわかみファンドは、バイアンドホールドの投資手法を取っていません。だから、運用報告書でバイアンドホールドをしていますと書くのは、明らかな「詐欺」だと思っています。

毎月2回送ってくる報告書を見ない人は、さわかみ投信にしたら、いいカモなんでしょう。

Posted at 22:08:57 2009/10/27 by ファンド仲間

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kage

ファンド仲間さん

コメントありがとうございます。

現在の投資環境がまだ金融危機の大混乱を抜け出していないことを考えると運用方針の理想と現実にギャップが生じるのもやむを得ないのではないかと思います。混乱期にはちょっとした判断ミスが命取りになりかねませんので臨機応変に立ち回る必要も出てくるでしょう。しかも資金を集めるのが容易ではない状況が続いているのであれば背に腹は代えられず「ごめんなさい売り」を余儀なくされているのかも知れませんし。

ただ結果的に保有銘柄が絞り込まれたことは歓迎すべきことであると考えます。規模の拡大と共に手を広げ過ぎた結果として運用成績が日経平均と変わらなくなっていましたのでこれを機にさらなる選択と集中を追求して独自色を発揮して欲しいものです。もっとも混乱期が去った後にはまた保有銘柄数も元に戻ってしまうような嫌な予感もしますけど。

Posted at 01:15:37 2009/10/28 by おやじダンサー

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kage

見事だ!

藤野氏が自分色を出し始めたとたんになんかみるみる基準価額が目減りしている模様ですが(苦笑)

FM降板の報を聞いて、既存分解約のために電話に走った身としては、わが意を得たりというか、説明会を聞いて、「プライドにかけて立野にゃあ負けん」という意気込みに「当分は期待できるかな」と思った自分の見る目のなさを恥じるというか、複雑な思いですが(苦笑)

まぁ、portfolioの組み換えにはそれなりに時間がかかるでしょうから、その過程で一時的にへこむのは当然…なのかなぁ?(苦笑)

Posted at 22:15:32 2009/11/12 by gadgetster

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kage

gadgetsterさん

コメントありがとうございます。

確かに直近の状況を見ると藤野氏が動き始めるタイミングは少し早かったといえそうですが、相場の波を正確に予測することは困難ですので私としては許容範囲です。

私の当たらない相場観ではいわゆる「二番底」が来るとすれば欧米で出口戦略(=利上げ)が現実味を帯びてくる来春頃だろうと想定していますので、このタイミングで現金比率を下げて年末年始相場に臨むという戦略は「あり」だと思っています。

Posted at 23:19:44 2009/11/12 by おやじダンサー

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kage

まぁそうなんですけれども。

まぁvalue投資志向であるからには、凹む時期はあるのは当然だと思うんですよね。

でも一般大衆心理としては、ガンガン凹んでいく状況は耐えがたくって、解約に走りがち。なので、value投資の投資信託は成立しづらい。そこへの歯止めとして、保有期間に対して信託報酬を割り引くことで解約雪崩への心理的歯止めをsystematicにかける。それが個人的にひふみ投信の見事なところだとは思ってます。なので、この程度の凹みは確かに想定の範囲内です。

ですが、当方の想像以上だったのは、立田氏はvalue投資にもかかわらず、設定から一貫して凹んだ状況を作らなかった。それが個人的に感服を禁じ得ないところであり、また、それを引き継いだ藤野氏の運用に少なからず相対的低評価を与えてしまうのを禁じ得ないところなんですよね。

まぁ、単に開始時点の運によるのかもしれませんが。立田氏は機を図れたわけですが、藤野氏はより裁量範囲が限定されていたわけですし、同列に比較するのは酷なのですが。

間違いなくこの短い期間で評価するのは公正ではないので、今後を興味深く見守っていきたいですね。

ただ、個人的には運用傾向の特性として、長期的な成績の優劣はともかくとして、藤野氏はよりgamble性向が強いかな? すなわち、波が荒いかな? という雰囲気は感じますね。外見的な印象と符合するのが面白い…というか、外見から印象が形成されているのかなぁ(笑)

Posted at 23:55:20 2009/11/12 by gadgetster

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kage

追記

やや怖いのは、藤野氏としてはおそらく、立田氏の運用時代は継続的に資産を増加で来ていたのに、引き継いだとたんにどんどん資産が目減りしているこの現状が、おそらく夜も眠れないほど悔しいんじゃないかと思われることです。少なくとも、FM交代説明会で感じた雰囲気では、今そうであろうとしか個人的には思えないです。

だとすると、現状を打破するために、より大きいriskを取っていくでしょう。それがうまく乗れば投資家としては万々歳ですが、反った場合は…(苦笑)

個人的には、なかなか暫くは積立額が増やせないですねぇ…(苦笑)

Posted at 00:08:19 2009/11/13 by gadgetster

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kage

gadgetsterさん

コメントありがとうございます。

理由が立田氏への対抗心にあるかどうかは別にしても、藤野氏がファンドマネージャーにありがちな「運用しなければないないという強迫観念」に囚われているとしたら私も心配です。個人的にアクティブ運用で大切なのはメリハリだと思っていますので、「風林火山」的思想で好機と思った時には風のごとく素早く動き火のように激しく攻め、好機が過ぎたと感じたら林のごとく静かな心境で山のように動かない運用で「守りながらふやす」を実現して欲しいと願っています。

いずれにせよファンドマネージャーの評価は結果がすべてであることは藤野氏もよく分かっておられると思いますので、私たちも実績を見て淡々と評価を下すべきなのでしょうね。

Posted at 07:20:19 2009/11/13 by おやじダンサー

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kage


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