2017 07 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. »  2017 09

SBI債雑感

kage

2009/04/02 (Thu)

SBI債の商品紹介を見た私の率直な感想は「マネックス債のパクリじゃないか!」でしたが、おそらく同じような印象を持たれた方も多いのではないかと思います。厳密には期間や利率が異なるためSBI証券のオリジナリティがそれなりに表れていると捉えることもできますがビジネスモデルとしてはマネックス債をそのまま模倣したと受け止められても仕方ありません。この手法を良くいえば「総合金融業者として顧客のニーズが高いサービスは積極的に取り入れる」となり、悪くいえば「商品開発のリスクは他社に負わせ、成功したサービスは物量にモノを言わせて奪い取る」となります。この後者の思想はかつて松下電器(現パナソニック)が多用しており、「マネした電器」と揶揄される要因となりました。経営の神様と謳われる故・松下幸之助氏もそのころは開き直って「わが社には東京にソニーという研究所がありましてな」などと発言して話題になりました。確かにこの手法を使えば商品開発や市場調査の費用を抑えて効率的に収益を伸ばすことはできますが、決して尊敬はされず、企業イメージの向上にはつながりません。その重大性に気付いた松下電器(現パナソニック)はその後は自社独自の技術開発に力を入れるようになりました。ネット証券業界でダントツのトップを走り続けるSBI証券にはぜひこのような歴史を踏まえて、例え他社の商品を参考にしたとしてもそこに独自の「ひとひねり」を加えてオリジナリティをアピールできる商品を開発して欲しいものです。

<<ブログランキング参加中>> にほんブログ村 株ブログ 投資信託へ 人気ブログランキング FC2ブログランキング
そこでちょっと荒唐無稽かも知れませんが、もし私がSBI証券のSBI債担当者だったらこんな提案をするという一例をご紹介したいと思います。

今回発売されたSBI債は6カ月満期と1年満期の2種類ですが、まずそれぞれを別々に組み込んだ2本の投資信託を設定します。あらかじめ決められた募集期間のみ買付が可能な単位型(ユニット型)投資信託とし、償還日をそれぞれ6カ月後、1年後とします。決算(分配)は半年に1回。そして償還までの間は時価での買取請求を可能にすれば取り扱い面ではSBI債とほとんど違いはありません。ただ資産運用の常識は「同じ投資対象ならシンプルな仕組みの商品を選べ」ですから、単体で発行している社債をあえて投資信託に組み込んで複雑な仕組みにするのは金融商品作りとしては論外という判断になります。しかしこの方法は顧客にとっても販売会社にとってもメリットが大きいのです。

あえて複雑な仕組みにしても顧客と販売会社が同時にメリットを享受できる秘密は現行の税制にあります。一般的に公社債のみを組み込む「公社債投資信託」の譲渡益・償還益・分配金に適用される税率は債券本体や預貯金と同じ20%で、取り扱い上も利子所得に分類されます。これに対して目論見書に「株式の組み入れも可能」とさえ記しておけば実際に株式は一切組み込んでいなくても分類は「株式投資信託」となり、譲渡益・償還益・分配金に適用される税率は10%の優遇が受けられます。また税目が株式等の譲渡所得や配当所得となるため損失との相殺が可能になります。これは投資信託のガリバー「グロソブ」も活用しているメジャーな手法であり、今回の金融危機で大きな損失を被っている個人投資家には大変ありがたい仕組みであるといえます。

例えば満期1年のSBI債の利率は税引き前で年1.96%、税引き後で年1.568%です。つまり1.96%の20%に相当する0.392%が決算時に税金として源泉徴収されるわけです。これが株式投資信託の形式を取れば10%相当の0.196%で済むことになり、単純計算で投資信託のコストが0.196%未満であればトータルで顧客の利益になります。さらに確定申告で損失との相殺を行った場合は源泉徴収された税金は還付され、事実上無税となります。SBIグループは傘下にSBIアセットマネジメントという投資信託運用会社を持っていますのでコストを抑えることは可能であると思われますし、多少でも信託報酬が得られるのであればSBIグループ側にもメリットが生まれるというわけです。

SBI証券にはネット証券トップの自覚とプロ意識を持って顧客によりメリットのある形をトコトン追求する姿勢を見せて欲しいものです。



関連記事

この記事へのコメント

kage

ただの、ミート戦略でしょう。
実際は、簡単に模倣される様な「マネックス債」などには、オリジナリティの要素は存在していないのです。

Posted at 08:54:15 2009/04/04 by ゆた

この記事へのコメント

kage

ゆたさん

コメントありがとうございます。

私はマネックス証券の規模と信用力で「マネックス債」があれほどの人気を得たことはサプライズであったと思っています。これは個人投資家の認知度や支持率が高いマネックス証券だからこそできたことであり、そういう意味ではオリジナリティはあったと感じています。ただ同業他社が簡単に模倣できない何かを持っていなかったところに弱みがあったのだと考えています。

Posted at 13:44:35 2009/04/04 by おやじダンサー

コメントフォーム

kage


URL:




Comment:

Password:

Secret:

管理者にだけ表示を許可する

この記事へのトラックバック