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インデックス運用が抱える自己矛盾

kage

2008/10/30 (Thu)

本エントリーは「インデックス運用を選ぶ理由と選ばない理由」の補足として、インデックス運用が現時点で抱えている重大な自己矛盾について指摘しておきたいと思います。

以前「私が投資を継続する理由」で私は、長期投資の前提は資本主義を信じることですと書きました。しかしサブプライムローン問題に端を発した金融不安が世界恐慌懸念にまで膨らむに及び、「急反発した株式市場を見て思ったこと」で触れたように世界経済は急速に自由経済から管理経済にその姿を変えようとしています。このため本来は資本主義を信じて投資するはずのインデックス運用が疑似社会主義に投資してしまっているという自己矛盾を抱える結果となっています。これではインデックス運用が掲げている看板に偽りありということになってしまいますし、何よりも運用成績を低下させるという投資家にとって看過できない問題点が生じます。

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この問題点を理解しやすくするために巨額の公的資金で救済された米生命保険最大手AIGグループの例で考えてみましょう。各種報道の情報によると現時点におけるAIGグループ経営陣の最優先課題は事業や資産を切り売りして一刻でも早く投入された公的資金(=国民の血税)を完済することです。一部報道ではAIGグループの事例は救済ではなく緩やかな解体であるさえ言われていますし、もし将来的な復活の道が残されているとしてもしばらくは企業価値を向上させる(=株価を上げる)施策は執られないと思われます。このように自己増殖するための努力を行わない企業は長期投資の対象としては不適格です。同様の事例が金融業を中心に世界中に相当数存在しており、インデックス運用だとこれらの疑似国営企業もすべて組み込まなければなりません。そしてさらにこの問題を大きくしているのがIMFに支援を要請したアイスランドのように国家規模で公的資金の注入が行われる事例が増えてくることです。この場合もAIGグループの事例と同様に成長を犠牲にして投入資金の早期回収が目指されることになりますのでインデックス運用の対象としては不適格と判断せざるを得ません。しかし世界経済ポートフォリオ理論に従う限りは我慢して組み入れるしか選択肢はありません。このように現時点のインデックス運用は資本主義の自己増殖を信じつつ、その対極にある成長の努力を放棄している疑似国営企業や疑似社会主義国家に投資していることを私たちは頭の隅に止めておく必要があるように感じます。

もちろん以上で指摘した点は現状が100年に一度とも表現される異常事態であるからこそ生じる問題であって、インデックス運用が本来抱えている問題点ではありません。しかし100年に一度の金融危機だからといって次の金融危機が100年後となる確証はありませんので、今回の経験を生かして例えば公的機関の持ち株比率が50%を超えたら投資対象から外すとか株価が1ドルを下回ったら投資対象から外すといったような機械的に判断できる基準を備えたETFが登場してくれれば私たちも安心して投資できるのになどと妄想しています。



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この記事へのコメント

kage

個人的には今の管理世界への移行も含めてがインデックス投資だと思ってます。

長期投資でよく言われるのは1929年のアメリカの株価暴落にも耐えたということですが・・・私はそれ以上にその世界恐慌後のブロック経済や第二次世界大戦を乗り越えての発展だと思っています。
公的資金にしても、日本でいえばメガバンクは2000年代に公的資金の注入を受けていましたが、各行とも2006年ごろに完済させています。そして、この完済までの過程でこそ株価が大幅に上昇しています。逆に公的資金を完済した2006年後半から株価は下落しています。公的資金を注入されている方が監視の目が強く、トップが多額の報酬をもらい逃げするなどの暴走ができないので、実は健全系で株価は上がったり・・・などとも思えます。

インデックス投資が信仰する成長というのは、資本主義だ社会主義だという話ではなく、人類の叡智かもしれません。人類が自らの発展を希望するがゆえに資産が増える。大きな政府も小さな政府も資本主義も社会主義も全部はそのための手段にすぎない。



また、公的資金の割合や株価に合わせて組み入れを考えるというのは少し前に一部で話題になったファンダメンタル・インデックスや高格付け投資なのかな・・・なんて思います。

Posted at 22:28:03 2008/10/30 by 吊られた男

この記事へのコメント

kage

吊られた男さん

コメントありがとうございます。

一時的な市場の非効率を許容した上でのインデックス運用であることは私も理解しているつもりです。しかし日本の銀行への公的資金注入では経営責任を明確化して貸し渋りもやめさせ、銀行本来の姿に戻そうという意図が見えましたが、AIGグループへの公的資金注入では将来有望な事業や評価の高い資産から先に売られ、文字通り緩やかな解体に向かっているように見えます。私自身はこのような企業に投資することに疑問を感じます。

日本の銀行は私たちの税金で救済されました。またIMFの出資金にも私たちの税金が投入されています。ということは救済される企業や国に投資をするとリスクが重複するという懸念もあります。

これらの懸念に破綻懸念企業にも投資するため投機色が強まる点も含めて、もし簡単な指標を使って機械的に懸念を排除できるのであれば、より長期投資の主旨に適した運用になると思います。運用成績を重視するのであればそのままリスクを負った方が良い結果が得られるかもしれませんが、非効率を極力排除するという選択肢もあって良いのではないかと考えています。

Posted at 07:09:22 2008/10/31 by おやじダンサー

この記事へのコメント

kage

はい、そういう意味では、ファンダメンタル・インデックスか高格付け企業投資かとは思います。公的資金がなくてもTOPIXやS&P500くらいまで手広く銘柄を広げてしまうと、どうしてもに自己増殖するための努力を行わない企業などを含んでしまうのはないでしょうか。バフェット氏他の著名な投資家はそれゆえにS&P500に含まれたりする多くの企業の経営者を「経営陣の報酬の身を追求して株主利益を追求していない」と非難しています。東証一部全体ほども銘柄があれば、自己努力を放棄している会社も多いでしょうし・・・

そう考えると、選択基準の厳しいインデックスを利用するのが一つかもしれないと思いました。例えばダウ30種のように超優良株のみが選ばれ、少しでも破綻懸念が入るとそこから外されるようなインデックスです。日本株ならTOPIX Core30でしょうか。これらだとある程度機械的にダメな企業は排除されているとは思います。

もちろん、ダウ30種の銘柄も全部が全部、おやじダンサーさんが考えられているようないい企業とは思いませんが・・・

Posted at 19:18:34 2008/11/01 by 吊られた男

この記事へのコメント

kage

吊られた男さん

コメントありがとうございます。

実はこのエントリーを書く際に、だったらどんな投資先なら安心なの?と考えた時に真っ先に思い浮かんだのが世界の代表的な大企業100社に投資する「iシェアーズ S&Pグローバル100 インデックス・ファンド(IOO)」でした。しかしIOOは組み入れ業種のトップが金融(約2割弱)だったこともあり、今回の金融危機で株価は大幅に値下がりしています。もっとも金融危機の前までは金融セクターは絶好調でしたので、結果的に組み入れ率トップとなったことは仕方ないことだと思います。

このように今回の金融危機では直前まで絶好調だったセクターがいきなり大逆風にさらされる結果となったわけで、代表的な企業といえども投資先を絞り込むリスクは小さくないと感じました。このように「何が起こるか分からない」という前提に立てば出来るだけ分母は増やして、事実上国有化された企業や株価が破綻を織り込む水準まで低下した企業など明らかに異常と判断できる銘柄のみを機械的に排除できる仕組みを備えた運用が私には理想的に思えます。

Posted at 21:24:09 2008/11/01 by おやじダンサー

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kage


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