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ためてふやす はじめの一歩

kage

2008/09/28 (Sun)

昨日、東京の八重洲で「ためてふやす はじめの一歩」と題するひふみ投信のセミナーが開催されました。その内容については相互リンクさせていただいているrennyさんがすでに詳細なレポート「ためてふやす はじめの一歩」を公開しておられますが、実は私もこのセミナーに参加していました。rennyさんのレポートをお読みいただければお分かりのように、今回のセミナーは質疑応答がテーマ別に2会場に分かれるという珍しい構成になっていました。たまたま私はrennyさんとは異なる会場の質疑応答に参加していましたので、本エントリーをもってrennyさんのレポートを補完させていただければと思います。

今回私がひふみ投信のセミナーに参加した理由は、「ひふみ投信に資料請求しました」で書いた「どのような投資方針で具体的にどのようなアセットアロケーションを構成するのかを確かめなければ諸手を挙げて賛同することはできない」という点を解決したいと考えたからです。昨日のセミナーでその疑問の多くは氷解しましたので、本エントリーが「ひふみ投信は面白そうだが中身がよく分からないので購入には踏み切れない」とお考えの方のご参考になれば幸いです。

というわけで私はひふみ投信のファンドマネージャーを務める立田博司氏のコメントに特化してレポートさせていただきます。立田氏は自己紹介で外資系運用会社で1998年に設定された日本の中小型株型投資信託のファンドマネージャーを長く担当されたとおっしゃっていました。その中では投信の具体名は出ませんでしたが、さまざまな情報を総合するとブラックロック日本小型株オープンであると思われますので、立田氏の過去の実績をお知りになりたい方は参考にしてください。ただし一般的な公募投信とひふみ投信では運用方針が大きく異なりますので、あくまでも立田氏の過去の実績のひとつであるとお考えください。

それでは以下に立田氏の発言から私自身の印象に残ったものを順不同でご紹介します。なお一部に私なりの意訳が含まれますので立田氏の本意と異なる可能性があることをあらかじめご承知置きください。

長く運用に携わっていて感じたことは「投資信託は信頼されていない(投資信託とは文字通り信じて託すものだがそれができなくなっている)」ことと「お客様もそれほど儲かっていない」ということ。(筆者注:現在の投資信託のあり方が根本的に間違っているからそうなったのだという意味に私は理解しました)

日本の製造業は変わらなければならない。これまで日本が得意としていた高い付加価値を持った商品が安値で売り叩かれている。この状況を打破するためには他に新たな付加価値をみつける(例:任天堂のWii=楽しみという付加価値)か労働力の安い地域でさらに大量生産ができるインフラを構築することが必要。

日本のサービス業も変わらなければならない。日本のサービス業の多くが儲かっていないから給料も安い。これは企業数が多すぎて非効率なため。国内のマーケットに限界を感じた一部の企業は海外進出を始めている。

運用においてはこのような産業構造の変化に着目する。事業環境が急速に変化する中でその変化に対応できる経営者か、変化を先取りできる企業か、が見極めのポイント。

ひふみ投信はお寿司屋さんのようになりたい。顧客が本当に信頼しているお寿司屋さんなら気軽に「おまかせ」の注文ができる。運用はすべてお任せいただいて、お客様にはその分充実した時間を過ごしていただきたい。

運用方針について→当面は日本株中心の運用。日本と海外の株式市場を比較するとサイクルがまったく違う(海外はまだバブルのピークを付けて1年だが長く低迷していた日本は調整の最終局面にある)。日本株が欧米株に釣られて下がったところを積極的に買いに入りたい。海外の金融機関は大変な状況だが日本の金融機関は「そんなにお金を持っていて何をするの?」「なぜ攻めない?」という状況。日本は個人・法人ともにキャッシュが豊富。今の日本株は間違いなく割安。これまで日本株に強気だった外国人は買いたくても買えなくなった(金融不安でそれどころではなくなった)。これはチャンスである。

日本人が日本株に一番悲観的になっているが、楽観的なシナリオはいくらでもある。そもそもメディアで悲観的な単語(例:「原油高」「インフレ」)が一斉に踊るようになればそこが悲観のピークとなることが多い。

ポートフォリオについて→ひふみ投信は国際株式型であり、その時々でベストと考える選択をするが当面は日本株中心。円は独歩高の可能性もあり、円で資産を持っておくことが有利と考える。

一応TOPIXをベンチマークに設定しているが対抗するつもりはない。

具体的な投資行動について→底値を狙う。大型・中型・小型関係なく投資の対象とする。期待リターンが高いのは小型株だか現状では流動性に問題がある。大型株は海外の株価に連動する傾向がある。また先に述べた製造業が抱える問題もある。加えて輸出企業に不利になる円高を予想していることもあり消去法では中型株が残る。

企業の存亡は経営者に尽きる。経営環境の急速な変化に対して良い経営者は先手を打つ、普通の経営者はすぐに対応する、悪い経営者は何もしない(できない)。

海外投資について→マクロ経済が大切。為替が絡むことを考慮(株価が2倍になっても為替レートが1/2になれば儲からない)。基本的に海外も個別株に投資したい。社内にはすでにアジア株担当がいるが私も積極的に海外に出て経営者に会いたい。

少子高齢化が進んでも日本株は伸びるか?→世代別ではいわゆる団塊の世代とその子供たちである団塊ジュニア世代が突出している。逃げ切り世代とも言われる団塊の世代は多くの資産を持っており、これから本格的に消費行動に入る。また団塊ジュニア世代はちょうど家族形成期に入っており、結婚や出産に伴う消費拡大が予想される。特に子供については団塊の世代の祖父母も積極的に出費する(いわゆる6ポケット)。モノを売る会社は厳しいがサービスを売る会社は結構伸びている。サービスに関する消費は表に出る統計資料がカバーしていない部分が多いので実態が見えにくい。日本人は気分で動く。ガソリン価格がピークを打っただけで消費行動が明らかに変化してきている。円高=日本人の購買力の上昇である。海外のモノが安く買え、海外旅行にも行きやすくなるため内需の拡大につながる。

日本の製造業が抱える問題点について→欧米メーカーは捨てることが上手い(例:IBMがPC事業を中国のレノボに売却)が日本のメーカーは下手。特に家電業界で顕著だがデジタル化の波で日本企業のモノづくりの優位性は失われた(例えばソニーのウォークマンは芸術的なメカニカル技術で商品化されたが現在ではパーツを買ってきて組み立てるだけでどのメーカーでもアップルのiPodと同等の商品が作れる)。圧倒的な低価格の液晶テレビで有名になったアメリカのビジオ社などは社員80人で全米シェア10%を占め、シャープやソニーと堂々と張り合っている。自動車業界も早晩メカニカル(ガソリン車)からデジタル(電気自動車)の時代になる。各企業が産業構造の変化にどのように対応するかに注目したい。

ポートフォリオは公開するのか?→基本的にお客様にはすべて公開したい。

日本株上昇のきっかけは?→明確なきっかけはないと思う。しかし市場では投資できるのは日本しかないというコンセンサスが出来上がりつつある。いずれ全世界の資金フローが日本に向かうことになるだろう。海外の資金は分散の意味から自国のビジネスと重複しないような企業を買うのではないか。政治の変化も起こる。海外に向かっていた個人の投資資金がどう動くかに注目したい。

以上、箇条書きのメモを無理矢理つないだため極めて散漫なレポートになってしまったことをお詫びします。以前にも書いたとおり私が投資の世界に足を踏み入れるきっかけとなったのは日本株の個別投資でしたので、立田氏のお話は非常に興味深く聞くことができました。しかし本当にひふみ投信に大切な資産を信じて託すことができるのかについては実際の運用内容を見てから判断したいと思っています。ただひふみ投信の設立主旨や運用方針には共感できる部分が多々あったことは事実ですので応援の意味を込めた買い付けは行いたいと思っています。最後に事実をありのままにご報告すると、昨日のセミナーは定員160人でしたが実際の出席者数はかなり少なかったです。ただそこは生まれたばかりのひふみ投信ですから認知度や関心度がまだ低いのは致し方ないことだと思います。真に顧客のためになるサービスを提供し続けていれば認知度や関心度は自然に上がるはずですから、今後とも期待を込めて注目して行きたいと思っています。

ひふみ投信



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この記事へのコメント

kage

おつかれさまです。ひふみ投信の考えについてよまさせていただきました。

僕自身最近は、STAMワールド債券とワールド歌舞を中心にしています。理由は、信託報酬の低さと、市場全体への投資を目指しているからです。

最後の方の文章だけ、何故日本に最終的に資金が向かうのかがチョットなぞでした。
この文章の並びは、、、分かりません。
日本に向かうのであれば、ワールドインデックスを持っていても日本の恩恵を受けられるからいいのか・・。
日本インデックスでもいいのか。。日本しかないのが何故なのか・・・。


>日本株上昇のきっかけは?→明確なきっかけはないと思う。しかし市場では投資できるのは日本しかないというコンセンサスが出来上がりつつある。いずれ全世界の資金フローが日本に向かうことになるだろう。

Posted at 23:44:28 2008/09/28 by silencejoker

この記事へのコメント

kage

silencejokerさん

コメントありがとうございます。

分かりにくい表現で申し訳ありませんでした。立田氏がセミナーで日本株に強気な理由として一貫して述べられていたのは、同じような下落相場に見えても欧米と日本では市場のサイクルがまったく違うという点です。つまりバブルが崩壊したばかりの欧米株や新興国株はまだこれから本格的な調整が必要なのに対して、長期低迷している日本株の調整は終わりつつあるという認識です。

またPBRや配当利回りから見ても日本株はあり得ないほど割安、個人・法人ともに豊富なキャッシュを保有などの理由も述べられていました。しかも日本はサブプライムローン問題の影響が軽微で金融市場も正常に機能しているため、消去法で考えると投資できるのは日本だけであるというコンセンサスが世界中の投資家に広がりつつあるというのです。

立田氏が予想する「日本買い」が実際に起これば外貨が大量に円建ての資産に変わるわけですから強烈な円高要因になります。このため外貨建ての金融商品は不利との判断になります。ここ数年、日本の個人投資家は投資信託やFXを通じて膨大な外貨買いを行っていますのでその巻き戻しが起こるかどうかにも注目(もし起これば「日本買い」に拍車がかかる)というわけです。

Posted at 07:02:01 2008/09/29 by おやじダンサー

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