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ほったらかしのススメ

kage

2008/09/22 (Mon)

9月20日(土)に秋葉原で開催されたセゾン投信主催のセミナー「ほったらかしのススメ」~時間もお金も限られているけど資産形成はできる~に参加して参りましたのでご報告させていただきます。今回は独立系FPである中桐氏が投資初心者に長期投資をどのように説明するのかに個人的に興味があり、参加を申し込みました。なお事前に案内されていたプログラムは下記のとおりです。

第1部 講演

1.「投資は、ほったらかすほど上手くいく」
 中桐啓貴氏(ファイナンシャル・プランナー)
2.「急がないでゆったりと経済の波に乗ろう」
 中野晴啓(セゾン投信社長)
3.「シンプルで有効な投資法」
 加藤隆氏(バンガード・グループ 駐日代表)

第2部 パネルディスカッション・質疑応答

テーマ:ほったらかしのススメ
出演者:中桐啓貴氏(同上)、加藤隆氏(同上)、中野晴啓(同上)



当日は台風の直撃が予想されていたこともあり、中野社長は「もしかすると出席者は20人くらいになるのではないか」と心配されていたそうですが、幸いにして午前中には台風が通過し、セミナー会場はほぼ満席の盛況ぶりでした。また世界中で金融不安が高まっている中でも長期投資に関心を持っている方々が多いことを心強く思いました。それではいつものように以下に私自身の印象に残った点をピックアップしてご紹介したいと思います。なお一部に私なりの意訳が含まれるため、発言者の本意と異なる可能性があることをあらかじめご了承下さい。

投資は、ほったらかすほど上手くいく(中桐啓貴氏)

なぜ長期投資(ほったらかし)ができないのか?
・自分が取れるリスク(許容損失)が分かっていない
・自信過剰=自分は投資が上手いと思ってしまう
・とにかく短期でお金を増やしたいと思っている
・信頼できるアドバイザーがいない

過去にもオイルショックやブラックマンデーなどで一時的に40%下がることもあった。そこで耐えられるか?→ポートフォリオに債券を組み入れてリスクを抑えましょう。

1929年から1932年の世界大恐慌で米国株式は61%下落した。もしこれが米国株式60:債券40なら30%の下落で済んだ。

1973年から1980年のオイルショックとその後の経過では株100%なら73年から74年で40%下落。その後1978年に元本回復し、1980年までに33%上昇した。もしこれが株60:債券40だったら73年から74年で24%下落。その後1976年に元本回復し、1980までに27%(23%だったかも)上昇した。

なぜ人は底値で売ってしまうのか?
・リスク許容度の幅を超えてしまう
・精神的に耐えられなくなる

株式はアクセル、債券はブレーキ。債券を組み込むことによってガードレールを突き抜けるリスクが減る。

悪いポートフォリオの例→日本株にばかり分散、新興国にばかり分散(筆者注:耳が痛いです)

簡単ポートフォリオ作成法
・(100-年齢)%を運用に回す
・その運用資産の内(100-年齢)%を株式、残りを債券に振り分ける
・日本、新興国ともに10%から20%
・株式の割合÷10が期待リターン
・株式の割合×3がリスク

人間は損失を2倍に感じる(思っているほどリスクは取れない)。

自分の許容範囲を守った上でほったらかす。

ただ株式の変動幅が大きいので定期的(年に一度程度)にリバランスは必要。

長期で持つと振れ幅は小さくなる。また長期で持てば平均的期待リターン(約7%)に近付くので投資タイミングは無視して構わない。

天引き積み立て投資を活用して下落相場を乗り切る
・人はマーケットが下がると怖くて買えない
・投資金額を忘れることによって毎日の値動きが気にならなくなる
・利益を確定してモノを買おうと思わないため
・資本主義の下では株は上下しながらも右肩上がりに上昇するため

急がないでゆったりと経済の波に乗ろう(中野晴啓氏)

今回の金融危機は私自身が過去に経験したITバブルの崩壊やアジア・ロシア通貨危機とは比べものにならない規模であることを実感している。

今回経営破綻したリーマンは米証券業界4位だったが、奇しくも1997年に自主廃業した山一證券も業界4位だった。現状ではどんなマーケットにおいても生き残れるのは3社程度になっている。このため4位にいると何とかトップ3に食い込もうと無理な経営をしがちになる。

20世紀型の資産運用と21世紀型の資産運用は違う。20世紀は株や不動産を買いさえすれば儲かった。さらにいえば毎年コンスタントに給料が上がり、不動産価格も上がり、預貯金にも高い金利が付いて生活が安定していたため運用は必要なかった。このため20世紀の投資は「短期売買でちょっと儲かったから何か旨いモノでも食おう」的な考え方が主流だった。先進国のほとんどが成熟期に達して高度成長が望めない21世紀においては個人の本気のお金(筆者注:中野社長が良く使われるフレーズですが、全世界の経済成長を信じて長期投資を継続する意図を持った資金であると理解しています)が経済に回っていくことが必要になる。

かつて日本が戦後の廃墟から立ち上がって豊かになるためには1945年から1990年代まで約50年かかっている。個人の資産形成もこれと同じで、時間を味方に付けることが重要。

長期投資は資本主義を肯定することが前提。今回の金融危機で資本主義が崩壊すると確信している人は今すぐ長期投資から降りるべき。

21世紀、ロシアや中国が資本主義を始め、人・物・金が世界中を自由に行き来するようになり、いろいろな意味で国境がなくなった(=グローバリゼーションの発展)。これによりこれまで自国だけでは成長が無理であった国も他国の人・物・金を活用することによって成長が可能になった。少子高齢界が進行し低成長が見込まれる日本だってグローバリゼーションの流れに乗ればさらなる成長も可能になる。しかし日本にだけお金を置いていても増えない。

9月16日の火曜日(前日の米国ダウ指数が500ドル超の大暴落になったことを受けて日経平均株価も600円を超える大暴落となった日)、過去最高の解約申し込みが殺到した(筆者注:中野社長は「数千万円」とおっしゃっていました)。しかし幸いにもそれ以上に入金も殺到したため、セゾン投信がスタート以来継続しているキャッシュフローのプラス(日々の入金額が日々の解約額を上回ること)を継続できた。個人的にはまだ長期投資を始めたばかりなのになぜこんなところで降りてしまうのか残念に思うが、波に耐えられなかった人は去ってしまった。一方で入金の方は1万円、2万円といった小口のものも多く、そういう意味では投資家の二極化(筆者注:短期の値動きを気にする人と信念を持って長期投資を続ける人と理解しました)が進んでいるように思う。(筆者注:私としてもファンド仲間の何人かが去って行かれたのは誠に残念ですが、結果的にセゾン投信の中身が「本気のお金」に近付く効果を生んだのではないかと前向きに考えたいと思います)

世界の投資資金の流れは基本的に株式と債券の間の往復である。原油や不動産のマーケットは株や債券と比べて著しく規模が小さいため多額の投資資金を受け入れることができず、バブルが生まれたり崩壊したりしやすい(=長期投資には向いていない)。

生活者のための簡単で有効な投資法(加藤隆氏)

個人投資家の悩み
・投資の専門知識がない
・時間がない
・投信の選び方が分からない

投信選びの三つのポイント
・インデックスファンドを活用→ほぼ市場平均を確保できる+コストが安い
・世界の株式と債券に分散投資
・低価格/低コストが決め手

加藤氏の講演内容は以前ご紹介した「投資先進国」アメリカに学ぶ長期投資とほぼ同じでしたのでここでは割愛します。

パネルディスカッション「ほったらかしのススメ」

長期的視点で世界経済を見る。これからも人口は増えていく。増えた分だけ消費が生まれ経済が拡大する。また経済成長を実感できる人たちも増えており、今後も消費拡大が見込める。

バブルはこれからも生まれては消えていく。

ポートフォリオ理論の前提は「将来のことは分からない」である。その上でどういう行動を取るのが合理的かを考えよ。

最悪のシナリオから自分だけ助かる方法はない。

世界に分散投資すればそれぞれの成長に応じた分け前が手に入るので成長を先読みして投資にバイアスをかける必要はない。

優れた会社の株を選べば良い成績が残せるかといえば必ずしもそうはならない。例えば会社のゴルフコンペで上手な人は誰もが知っていても誰が優勝するかは誰にも予想できない。これはハンディキャップがあるからで、株式にも誰もが優れていると思っている会社の株価には(逆の意味のハンディキャップである)プレミアがすでに上乗せされている。

分散投資で市場平均さえ取れていれば投資タイミングを気にする必要はない。

長期投資を成功させるコツは相場をなるべく見ないこと。(世界経済が成長を続けるという前提に立てば)相場を見る間隔が長ければ長いほど運用成績が上がっている確率が高くなる。

証券会社には株で儲けた人がほとんどいない。それは短期の値動きを追いかけてついつい頻繁に売買してしまうからである。

相場が悪い時に資金が逃げていくファンドではどんなに優れたファンドマネージャーが運用していても結果的に底値で売る下手な運用にならざるを得ない。良いキャッシュフローがあるファンドであればファンドマネージャーの腕は関係ない。

バンガード社のETFが日本でも買えるようになったが、との質問に対して→ETFは手数料(買付手数料や為替手数料)がかかる。必ず配当が出る。トラッキングエラーが高い傾向がある。さらに需給で値が動くので理論価格との乖離が生じる。セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドのように株式と債券を組み合わせたETFは存在しない。このため同様の運用をするには複数のETFを組み合わせる必要がある。このような点を考慮して自分にはETFと投信のどちらが適しているかを考えて欲しい。

ETFは一日の中で価格が変動するのでついついタイミングを狙ってしまい、ドンドン深みにはまってしまう危険性がある。(筆者注:「投資バカ」の私にはこの気持ちが痛いほど良く分かります)

長期投資のやめ方を教えて欲しいとの質問に対して→長期投資は理論上長く続ければ続けるほどリターンが高まるので、できればエンドレスでお願いしたい。さらには次の世代に良いお金を残すという考え方もぜひ持っていただきたい。具体的なやめ方としては必要な時に必要な額だけ取り崩してください。

以上、簡単にまとめるつもりが大変長くなってしまい失礼しました。中桐氏のプレゼンテーションは良くいえば誠実さがにじみ出た印象で、悪くいえばインパクトが弱い印象でした。ただ独立系FPという立場を考えれば澤上社長や木村剛氏並のインパクトを求めるのはちょっと酷ですよね。証券業界に長くいらした中桐氏が独立系FPという立場になってからは証券業界にとっては旨味の少ない長期国際分散投資を推奨しているという事実に私たちは注目すべきであると思いました。

ほったらかしでも1億円の資産を生む株式・投資信託の始め方ほったらかしでも1億円の資産を生む株式・投資信託の始め方
(2008/07/15)
中桐 啓貴
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この記事へのコメント

kage

詳細なレポートありがとうございました

詳細なレポートありがとうございました。対価を払ってもいいような、中身のあるレポートでした。(本当に払ってはまずいでしょうが)
私自身はほったらかし派ですが、資産ごとの配分については結構考えます(ごくたまには実際の配分をいじったりもします)。これが私の道楽なのだろうと自覚しています。その意味で、中桐さんの簡単ポートフォリオも検討してみようと思います。
現在、『ほぼ確実に世界の経済成長があなたの財産に変わる最も賢いETF海外投資法』のポートフォリオと並べていじくり回してみようかと思っています。

Posted at 00:14:59 2008/09/23 by かもね

この記事へのコメント

kage

かもねさん

コメントありがとうございます。

中桐氏の簡単ポートフォリオで示されているように、年齢とともにリスク許容度は変わってきますし、株と債券の比率にもズレが生じてきますので、完全なほったらかしはどうしても無理なんですね。そうなると「投資バカ」の私などはいじり過ぎて失敗しそうです。

中桐氏は米国留学前に保有していた株が帰国してみると20倍になっており、それを元手に会社を興したそうです。これも米国にいて株価を見なかったから売らずに済んだとおっしゃっていましたが、私にはこのような一攫千金がほったらかしの理想と思えてしまいます。

Posted at 11:02:31 2008/09/23 by おやじダンサー

この記事へのコメント

kage

はじめまして、中桐と申します。
セミナーのレポートありがとうございます。
なかなか長期分散投資の実践は難しいですが
引き続き発信していこうと思います。

Posted at 10:19:17 2008/09/27 by 中桐

この記事へのコメント

kage

中桐さん

まさかご本人からコメントがいただけるとは思ってもみませんでしたので大感激です。

コツコツと育てる長期投資はなかなか成果が見えないのでモチベーションの維持が難しいという面が確かにあるとは思うのですが、環境保護活動と同じで目先の効果は見えなくても一人ひとりが意識を高めて実践を続けて全体として大きなムーブメントとなれば世界経済の成長の原動力となり、結果的に私たちの幸福につながると信じます。

長期投資をムーブメントにするためには中桐さんのような独立系FPの役割がますます重要になるように思いますので、今後のご活躍に大いに期待しております。

Posted at 12:00:43 2008/09/27 by おやじダンサー

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