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独立系投信は長期投資に向いていない?

kage

2008/07/09 (Wed)

今回のタイトルは意識的に刺激的にしてみましたが、言いたい内容は以前セゾン投信定期積立経過報告で書いたものと基本的に同じです。しかしこれは長期投資を考える上で非常に大切なことだと思うので再度話題にしてみたいと思います。

言うまでもないことですが長期運用の最終目的は育てた資産を取り崩して使うことです。しかし私たちは運用時のコストについては敏感になっても、往々にして取り崩し時のコストについては忘れがちになってしまいます。上記エントリーでご紹介したように来年から投資信託の解約請求で発生した所得についても上場株式等の譲渡所得と見なされるようになりますので、特定口座のサービスを行っていない独立系投信や一部のネット銀行における投資信託の解約益については確定申告不要の選択ができなくなります。実はこれが一般的な長期運用のサイクルで想定されるリタイア後の資産取り崩しにおいて多大なコスト増を招く要因となる可能性が大きいのです。

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それでは投資信託の解約時に確定申告不要が選択できなくなると実際にどのような不利益があるのでしょうか?これは今回の例と同様に特定口座に入らないネット証券の海外ETFで考えてみれば分かりやすいと思います。ネット証券の一般口座で海外ETFの売買するデメリットについては当ブログでも何度が触れたことがありますし、ネット上でもあちこちで話題になっていますので皆さんすでに良くご存じとは思いますが、まず確定申告が必要となることと年間取引報告書を自力で作成する必要が出てくることが挙げられます。もっともこれらは自分自身が年度末に多少手間がかかることに納得できればそれほど大きな問題ではないともいえます。実際にリタイア後の生活に大きな影響があると思われるのは確定申告が必要になることによって国民健康保険や扶養家族判定に影響が及ぶことです。(ちなみにリタイア前であれば確定申告が必要になることによって「給与を1か所だけから受けており、給与の収入金額が2,000万円以下の給与所得者は、給与以外の所得が20万円以下の場合には、申告しなくても良い」というサラリーマンにはおなじみの特例が一切使えなくなるというデメリットもあります。)

サラリーマンもリタイア後はほとんどの方が国民健康保険に移ることになると思います。昨今何かと話題の後期高齢者医療制度を見てもお分かりのとおり、少子高齢化が急速に進行するわが国においては個人が負担する健康保険料は確実に増えて行きます。実際の保険料については計算方法が自治体によって大きく異なるため一概にどれほど増えるとは言えないのですが、会社が保険料の半分以上を負担しているサラリーマンの健康保険と比較するとほぼ例外なく大幅な負担増となるはずです。さらに国民健康保険料の算出には所得税や住民税では認められている配偶者控除・住宅ローン控除・生命保険控除などの控除が存在せず、基本的に基礎控除のみとなるケースがほとんどですので、確定申告した所得がほぼストレートに保険料に反映されることになります。そこでぜひ一度今お住まいの地域や将来住みたいと思っている地域の健康保険料の算出方法を用いて、現在の年収の半分で計算してみてください。年収半減というシミュレーションであってもきっとその結果に驚くと同時に、現在の日本の健康保険制度の厳しさを実感できると思います。ちなみに私が住んでいる自治体では健康保険料と介護保険料の所得割だけで10%を超え、これに世帯割りや個人割りが加わりますので住民税(一律10%)より重い負担となります。また扶養家族判定についても将来自分の子供の扶養に入るケースも少なくない思われますので、運用益によって扶養家族を外れてしまうという事態はできれば避けたいものです。

源泉徴収ありの特定口座や配当所得の申告不要制度で「確定申告不要」を選択した所得は国民健康保険や扶養家族判定の基準となる所得に加算されませんので、リタイア後の生活を少しでも楽にするためには「確定申告不要」をいかに上手に使いこなすかがポイントとなります。ちなみにこれは脱税でもずるい行為でも何でもなく、きちんと法律に則った合法的な節税です。そういう意味では特定口座がない独立系投信にとって今回の税制改正で解約益が確定申告不要にできなくなることは長期投資を標榜する上で無視できない大問題であると考えます。この難関に対して個々の会社がどのように対応するのか、個人的には非常に興味があります。要は特定口座の開設を可能にできれば良いのですが、独自に特定口座を扱うには何かと手間と費用がかかると聞いたことがありますので、現実的な対応としては他の証券会社と提携するという方法があります。また一部のバランスファンドにあるように複利運用重視の成長型と分配重視の分配型を設定してお互いのスイッチングを可能にするという回避策も考えられます(分配はこれまで通り配当所得となるため確定申告不要を選択できる)。証券税制や医療制度はこの先どう変わるか分かりませんが、現実的に今回の税制変更まではもう半年を切っていますので、長期投資の障害とならないように早急な対応を望みたいところです。

以下余談ですが、国民健康保険の掛け金には「健康保険料」と「健康保険税」という異なった表記があります。実際の中身にはほとんど違いはないのですが最近は「税」が増えています。その理由は「税」であれば掛け金を滞納した場合に資産の差し押さえなど強制徴収が可能になるからだそうです。悲しいけれどこれが日本の医療保険制度の現実なのです。

2008年8月29日追記:さわかみ投信が2009年1月1日から特定口座を導入することを明らかにしました。

2008年9月8日追記:セゾン投信とありがとう投信も2009年1月1日から特定口座を導入することを明らかにしました。

2008年9月12日追記:楽知ん投信とかいたく投信も2009年1月1日から特定口座を導入することが明らかになりました。



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この記事へのコメント

kage

初めまして。
今回の記事、興味深く拝見させていただきました。
私はセゾン含め、いくつかの独立系投信を購入していますので、
どのような対応を独立系投信がしてくるのか気になります。
いつかは解約する時が来る訳ですから。。
対応策を聞きたいですね。

Posted at 11:46:26 2008/07/10 by ふじ

この記事へのコメント

kage

ふじさん

コメントありがとうございます。

当面は解約の予定がない人にとっても、このことが原因で近い将来にリタイアを計画されているファンド仲間が次々に離脱するような事態になれば、資金の流出でファンドが打撃を受けるという意味で決して無関係ではいられませんので会社の対応には注目しておく必要がありそうですね。

ただこの国の進んでいる方向に疑念を持っている私は、来年から株券や投信が電子化され、金融機関から税務署への支払調書提出義務の強化も図られ、国民の金融資産のガラス貼り化が進行している実態から、将来的には悪い意味で本エントリーの指摘は意味がなくなる(=確定申告不要を選択しても自動的に健康保険料が上がるようになる)のではないかと危惧しています。また昨今のタバコへの課税強化論を見ると、いずれは運用益への課税強化論も出てくるのではないかとの心配もあります。

もっとも自分勝手に悲観的な未来を予想して心配しても意味がありませんので、現状ならどのような対応がもっとも合理的かを常に考えておくことが大切なのだろうと思っています。

Posted at 20:25:22 2008/07/10 by おやじダンサー

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kage


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