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自分らしく生きるための長期投資

kage

2008/05/14 (Wed)

日曜日(5月11日)に日本青年館で行われたクレディセゾンとセゾン投信共催のセミナーに参加して参りましたので遅ればせながらご報告させていただきます。ちなみに前回のセミナーの参加目的は生の澤上節を聞くことでしたが、今回はズバリ生の木村節を聞くことが第一の目的でした。なお事前に案内されていたセミナーの内容は下記のとおりです。

「自分らしく生きるための長期投資~豊かな未来への第一歩~」

プログラム

講演 「個人のための投資戦略の発想法」
講師 木村剛氏(株式会社フィナンシャル 代表取締役社長)

パネルディスカッション
 コーディネーター
  木村剛氏(同上)
 パネリスト
  澤上篤人氏(さわかみ投信株式会社 代表取締役)
  加藤隆氏(バンガード・グループ 駐日代表)
  林野宏氏(クレディセゾン社長)
  中野晴啓(セゾン投信社長)



実は私、左の欄でもご紹介している木村氏が発行するFinancial JAPANを定期購読しており、氏のブログ週間!木村剛も毎日チェックするほどですので、生で木村氏の講演を聴けたことは純粋に嬉しかったです。さすがにテレビ出演も多く、日頃から数多くのセミナーをこなしている木村氏だけに話し方が上手でした。それではいつものように以下に私自身の印象に残った点を順不同でご紹介したいと思います。なお一部に私なりの意訳が含まれるため、発言者の本意と異なる可能性があることをあらかじめご了承下さい。

・日本経済低迷の原因はサブプライムローン問題などではなく、いい加減な政治家と官僚が生み出したコンプライアンス不況であり、その元凶は、「貸金業法の改悪」「建築基準法の改悪」「証券取引法の改悪」である。

・これらの法改正については消費者保護という観点は間違っていないが実際の運用は無茶苦茶であり、民間の活力を著しく毀損している。

・このような「お上」の間違った判断もあって日本のマーケットは縮小しており国際競争力も低下、国民の多くが自国の将来に大きな不安を感じている。

・日本社会の3つのルールは「出る杭は打たれる」「長いものには巻かれろ」「泣く子と地頭には勝てない」である。(筆者注:もちろんこれは皮肉です)

・このような状況で今、個人投資家が考えるべきこと
1.将来、何があってもおかしくない。インフレや利上げも想定しておくべき。
2.インフレになっても給料が上がるとは限らない。
3.年金はアテにならない(もらえたらラッキー)。政府をアテにせず自衛することを考えよ。

・不動産の所有は極めてハイリスク
1.資産価値のリスク(経過年数だけでなく、事件・事故・災害などさまざまな要因で資産価値が目減りする)
2.金利上昇のリスク(金利が上がれば変動金利の住宅ローンの負担が重くなる)
3.返済原資のリスク(何らかの理由で収入が絶たれるとたちまち返済に行き詰まる)

・よく日本人はリスクを嫌うと言われるが、こと住宅に関してはモデルルームを見ただけで購入を決めたり当たり前のように長期ローンを組んだりして実は世界で一番リスクが好きな国民なのではないかとさえ思える。

投資する際の心がけと注意点
1.まずはキャッシュ(生活防衛資金)を確保せよ。
2.上手く儲けようと思ってはいけない。
3.Buy & Hold & Forget(筆者注:買ったら売らず、保有していることを忘れてしまいましょうということです)
4.世の中にうまい話はない。(筆者注:低リスクで簡単確実に儲かる方法など存在しないということです)
5.虎穴に入らずんば虎児を得ず。(筆者注:リターンはリスクの報酬であるということです)
6.Simple is Best(シンプル・イズ・ベスト)
7.コストを比較せよ。(筆者注:無駄な費用を払わないようにしようということです)
8.新聞に毎日値段が載っているか。(筆者注:オープンなマーケットで取引されているかということです)
9.論より書面。(筆者注:口頭では何とでも言えるので、説明は書面で受け取りなさいということです)
10.知らないものには手を出さない。知らない人とは口をきかない。知らないものにはお金を払わない。

・これからは一人ひとりが考えて行動する時代。すべて人任せではダメ。

・行動して失敗してもそこから何かを学ぶことができれば得である。

・防衛にお金をかけずに済み高度経済成長を達成できた日本は今から思えば極めてラッキーだった。しかし高度経済成長期のようにすべてが右肩上がりという時代は二度と訪れないだろうし、そもそもそのような状態は異常である。

・未来のことは誰にも分からないが、だから投資できないということにはならない。分からない未来にどう投資するかを考えるべき。

・日本の停滞を打破するためには民間が動くしかない。金融に関しては個人資産をいかに動かせるかがカギとなる。

・先進国の中で唯一サブプライムローン問題の大きな影響を受けていない日本は野球で言えばノーアウトフルベース(無死満塁)くらいの大チャンスである。しかし悲しいことに今の日本はそれでも点が取れない。(筆者注:これは林野社長の発言です。林野氏は野球がお好きらしく頻繁に野球に例えた表現が出てきました。日本の現状について、優れた選手が揃っているのに勝てないジャイアンツのようだともおっしゃっていました)

・投資とは個人が企業に資金を用立てること。すべての経済活動はこのようにお金を手放すことから始まる。それが巡り巡って自分に返ってくる。(筆者注:資金の循環を阻害する貯蓄は決して美徳ではないということですね)

・思いを共有できる参加者で構成され、キャッシュフローが安定しており、「良いお金」でできている、投資家を選ぶファンドがおすすめ。(筆者注:もちろんこれは自社のファンドを念頭に置いた発言だと思われます)

Q・その「良いお金」を見極める方法とは?
A・現実には難しい。セゾン投信はそのためのメッセージを発信し続けており、それに共感した仲間が集まっている。(筆者注:ファンドが発するメッセージを参考にして欲しいということですね。個人的には暴落時にお金が集まるようなファンドを探すのもひとつの方法だと思います。)

Q・信託報酬はどのくらいが適当だとお考えか?
A・安ければ安いほど良い。短期売買ならそれほど気にする必要もないが長期運用ならわずかな違いも大きな差になる。

Q・信託報酬値下げのタイミングは?
A・会社が黒字化できれば信託報酬は必ず下げる。

Q・値下げの際に個々の保有資産額に応じて値下げ幅に差を付けるようなことはないか?
A・積立額が5千円のお客様も数十万円お客様も同じ。対応に差を付けることはない。

今回セミナーは政治・経済・国のあり方などの話題が多かったことが印象的でした。私自身はこれらの話題を非常に興味深く拝聴したのですがここではほとんど割愛しています。またパネルディスカッションでは以前のセミナーと重複する部分が多々あり、これらも割愛しています。そんな中でも過去と少し違ったのは、インデックス運用派の加藤氏と中野氏に対してアクティブ運用派の澤上氏と林野氏という構図ができていたことです。お互いに長期分散投資の重要性は認めながら、林野氏が「投資家や経営者には想像力(イマジネーション)が大切。人より先行して先行者利益を得る。」と言えば、加藤氏が「予測に頼って投資することは難しい。世界経済全体に投資していればいずれアダム・スミスの言う神の見えざる手の効果によって経済成長の平均値は確実に取れる。」と主張するといった具合で、「投資バカ」の私にとっては非常に興味深い討論でしたが、投資初心者の方はちょっと戸惑われたかも知れませんね。

今回のセミナーの会場となった日本青年館・大ホールは、以前ご紹介したこちらのイベントと同じ場所だったのですが、あの時は半分も埋まっていなかった会場がさすがにカード業界No.1のクレディセゾンの動員力の効果かほぼ満席でした。深読みをすれば今回のセミナーは親会社の力を借りたセゾン投信の販売テコ入れという側面があったのではないかと思います。それは新たな独立系投信が次々に誕生して競争が激化していることもありますし、何よりも公約している信託報酬の値下げを一日も早く実現するために預かり資産を増やす必要があるからです。セミナーの最後に林野社長は3,000万人にも及ぶクレディセゾンの会員とセゾン投信を結び付けてお互いにメリットのあるサービスを作りたいとおっしゃっていました。ファンド仲間が増えることは参加者全員の利益になりますので、この構想には大いに期待したいと思います。





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この記事へのコメント

kage

じっくりと読ませていただきました。

じっくりと読ませていただきました。航海仲間の一人として、大変貴重なレポートを、ありがとうございました。首都圏以外に住んでいる者にとって、このように的確かつ簡潔にわかりやすくまとめてくださったレポートを読ませていただくのは、何よりの喜びです。「行動して失敗してもそこから何かを学ぶことができれば得である。」、深い言葉ですね。「解らない未来」だからこそ、人生は面白い。(しょせん自分の人生なんてこの程度
)、と見定めてしまったら何も面白いこともワクワクすることもありません。リスクを承知の上で、自分の人生、ちゃんと生きようと思います。

Posted at 22:20:19 2008/05/14 by nancix

この記事へのコメント

kage

nancixさん

コメントありがとうございます。拙文が少しでもお役に立てたのなら幸いです。

「失敗して学ぶ」については私自身がアクティブ運用で何度も失敗して初めてインデックス運用の特長である「平均点を狙って取れる」ことがいかにすごいことであるかに気付いた経緯もあり、強く印象に残りました。

木村氏が講演で紹介されたアンケート結果によると現在の高校生の多くが無難な人生を望んでいるとのこと(木村氏はこれを「年金生活入りした高校生」と表現していました)。林野社長は高校生をこのようにしてしまった責任は私たち大人にあると述べておられました。リスクを承知でチャレンジしなければ明るい未来は切り開けませんし、ワクワクすることもできません。日本の未来を明るくするためには私たち大人がリスクを承知で積極的にチャレンジする姿を若者たちに見せていくことが大切なのかも知れませんね。

Posted at 01:47:08 2008/05/15 by おやじダンサー

この記事へのコメント

kage

おやじダンサーさん

木村氏の話はうまいですよね。私も以前楽天証券主催のセミナーで話を聞いたことがあります。

詳細な記録参考になりました。

今後とも時々おじゃましますので、よろしくお願いします。

Posted at 22:05:17 2008/06/21 by レバレッジ君

この記事へのコメント

kage

レバレッジ君さん

コメントありがとうございます。

木村氏のプレゼンは単純明快で、聞いていると知らず知らずの内に引き込まれて納得させられてしまいます。そういう意味では一種の危うささえ覚えてしまいますが、今の日本には木村氏のような舌鋒鋭い評論家が必要だと感じました。

遅ればせながら当方からもリンクを貼らせていただきました。こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。

Posted at 20:10:31 2008/06/22 by おやじダンサー

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kage


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