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セゾン投信1周年記念セミナー

kage

2008/03/18 (Tue)

3月16日に神保町で開催されたセゾン投信1周年記念セミナーに参加して参りましたので、いつものように私なりに印象に残った点をご紹介したいと思います。セゾン投信から事前に案内されていたセミナーの内容は下記のとおりだったのですが、私の参加目的はズバリ生の澤上節を聞くことでした。今までセゾン投信関係のセミナーには何度か参加しているのですが、残念ながら澤上社長にお会いする機会には恵まれなかったものですから。

第1部 対談 「長期投資で自分の人生もお金も大きく育てよう」
 出演者
  村山甲三郎氏(ありがとう投信 代表取締役)
  澤上篤人氏(さわかみ投信 代表取締役)
  中野晴啓(セゾン投信社長)

第2部 対談 「国際分散投資で資産形成」
 出演者
  竹川美奈子氏(ファイナンシャル ジャーナリスト)
  加藤隆氏(バンガード・グループ駐日代表)
  中野晴啓(同上)



第1部と第2部のテーマは表題どおりに「長期投資のすすめ」と「国際分散投資のすすめ」で、まとめると「個人の資産形成には長期分散投資が最適」という表現で今回のセミナーを総括できます。ただいつもながらパネラーの皆さんの発言の中にはバリバリのアクティブ運用派の私にとっても大変参考になるものが多々ありましたので、以下に印象に残った点を順不同でご紹介したいと思います。なお一部に私なりの意訳が含まれるため、発言者の本意と異なる可能性があることをあらかじめご了承下さい。

・現在日本で販売されている投資信託の99.5%が販売会社経由で直販はわずか0.5%。

・販売会社は「売りやすい」「説明しやすい」「手数料が稼げる」投信を売ろうとする。

・国内の上場企業4000社の内、株を買いたい企業は600社程度。(筆者注:個別株投資に関するこの発言は澤上氏です。インデックス運用とは一線を画するさわかみファンドの運用哲学が垣間見えますね。)

・いくら長期運用でも現在のような暴落局面ではなかなか冷静にはなれない。であるなら思い切り感情を込めて、心から応援できる企業の株を選んで投資してはどうか。(筆者注:もちろんこれも澤上氏の発言です。)

・海外ETFの国内上場が解禁されたがどう思うか?との質問に答えて。

個人投資家の選択肢が増えるのは良いこと。ただ資産運用はアセットアロケーションが大切なので、海外ETFを買えば運用が上手く行くと安易に考えない方が良い。(筆者注:これは村山氏の発言です。いくらローコストの海外ETFでもポートフォリオに組み入れることでアセットアロケーションを崩してしまえばリスクが増すだけという意味だと私は理解しました。)

日本はどうも形だけ整えたがるきらいがある。海外ETFを上場していったい誰が買うのか。(筆者注:澤上氏の発言です。現段階で長期運用やETFの活用が根付いていない日本で形だけ整えても意味がないという意味に理解しました。長期運用に適したETFであれば基本的に一度買ったらしばらくは売らないものですから、十分な流動性が確保されるのかどうかについては私も不安を感じています。)

ETFは一般的に投信よりも最低買い付け金額が高いためリバランスや分配金の再投資が難しい。(筆者注:これは加藤氏の発言です。例えばセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは毎月リバランスを行っていますが、自分で個別ETFを組み合わせた運用を行っていると毎月のリバランスはなかなか実行できないと思います。現在のように世界経済の構造が急速に変化している中での運用ではリバランスの有無で運用成績に大きな差が出る可能性があります。)

・海外ETFに限らず自分自身で銘柄を選んで運用するのであれば、一生懸命勉強して投資を極め、死にものぐるいで運用するような積極的投資家でなければなかなか成功できない。

・アセットアロケーションを考えるのは運用側。(筆者注:直販投信は上記のような積極的投資家でない人たちが資産運用を行うための選択肢のひとつであるという意味に理解しました。)

・確約はできないが本当に30年、40年、50年と長期運用を続けることができればおそらく使い切れないほどのお金が手にはいるだろう。お金の使い方は結構難しいので今から学んでおくことも必要。無神経な使い方だと暴力になることもある。(筆者注:澤上氏の発言です。深いお言葉だと思いました。)

・豊かになるのはお金の問題ではなく心の問題。

・投資は資産を増やすために行うものではない。(筆者注:「情けは人の為ならず」と同じで、自分が投資したお金が経済活動に生かされ、人々の役に立ち、回り回って自分に帰ってくるという考えです。)

・長期運用の前提は人類の英知と経済成長の継続を信じること。(筆者注:以前私もこちらのエントリーで「長期運用というのは、どんな事態になってもひたすら人類の未来を信じ続けることなのだろうと思います」と書きましたが、中野社長のお考えも同じようでした。)

・投資の王道は分散。

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの株式債券比率50:50に明確な理由はない。あえていうなら理解しやすいこと。

・このたびセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドに新ファンドを加えた理由はポートフォリオにオーストラリアを加えたかったため。

・セゾン投信に株式や債券以外(例えばREITなど)を加える考えはあるか?との質問に対して。

REITやコモディティは株式や債券と比べると圧倒的に市場の規模が小さい。流動性が低いとコストが増すし価格も乱高下しやすい(現実にサブプライムローン問題でREITが暴落したり投機資金が少し流入しただけで原油価格が110ドルになったりしている)。このため今のところポートフォリオに加えるつもりはない。

私は個人的に不動産に投資するつもりはない。なぜならすでに土地と家を保有しており、保有資産に占める割合では不動産が最大だから。(筆者注;加藤氏の発言です。これは多くの日本人に当てはまる事例だと思いました。)

・前々から澤上さんや村山さんんからは聞いていたが、暴落場面で安定して資金が入ってくるありがたさや喜びが今になってよく分かった。投資の要諦は安く買って高く売ること。今安く買えるからこそ今後の運用成績向上につながる。基準価額が下落すると解約が殺到して資金が逃げていくアクティブファンドだと本当は安く買いたい時に強制的に売らなければならなくなる。これはファンドに残った人に多大な迷惑を及ぼすことになる。また販売店寄りの商品を作らなければならない多くのアクティブファンドはドンドン新商品が出てきて旧商品は売らなくなる。これでは投資する人も不幸だ。(筆者註:中野社長のお言葉です。暴落時も安定して資金が入ってくるファンドは着実に押し目買いができますが、資金の流出が続くファンドではひたすら狼狽売りを続けることになります。この資金動向は運用成績に大きな影響を与えると思われますので人気のあるファンドを選ぶことが結構重要になるかも知れませんね。またファンドは参加者全員で育てるという理屈がよく分かりました。)

セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドにカナダは組み入れないのか?という質問に対して。

以前は米国と連動した動きだったので北米というくくりで問題はないと考えていたが、最近のカナダは資源国という側面で米国と違った動きをしている。そう考えると組み入れるべきだと思うが、現時点では適切なファンドがない。

・Webで積立額の変更ができるようにならないか?との質問に対して。

現在中古のシステムを買って使っており実際に使いにくい点は多々ある。しかし自前のシステムを構築すると莫大な経費がかかる。ご不便をおかけするがファンド購入者全員の利益を考えて今しばらくご辛抱いただきたい。

生の澤上節はテンポが良く明快でした。長期運用を実践するには最近のような運用低迷期においても投資哲学が一切揺るがないことが大切だと実感しました。また今回は参加者全員で育てるファンドのメリットを改めて実感することができました。一人だと押し目買いやリバランスにどうしても限界がありますから。今回のセミナーでも中野社長は運用資産がある程度増加した時点で信託報酬を値下げすることを改めて明言してくださいましたので、仲間が増えることが全員の利益につながる点も素晴らしいことですね。





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この記事へのコメント

kage

おやじダンサーさん、貴重なレポートありがとうございます。出席したかったセミナーだったのでこのように詳細にレポートしてくださって感謝感激です。拙ブログで紹介させていただきました。

Posted at 22:42:56 2008/03/18 by rennyです

この記事へのコメント

kage

rennyさん

ご紹介ありがとうございます。

セミナーで出される質問はおそらく皆さんが知りたいことばかりだと思いますので、できることならセゾン投信がまとめて公開して欲しいですね。同じセゾン号の乗客であるファンド仲間同士の情報共有も大切なことだと思いますから。

Posted at 23:56:35 2008/03/18 by おやじダンサー

この記事へのコメント

kage

おやじダンサー様

はじめてコメントさせていただきます。

私は、現代ポートフォリオ理論を学んでから、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドを旗艦ファンドとしています。

このようなセミナーがあったことすら存じていなかったのは不明の極みですが、ご掲載いただき、とても感謝しています。

これからもよろしくお願い申し上げます。

またできれば相互リンクをお願いできないでしょうか。
(私の方からはリンクさせていただきました。)

Posted at 00:45:45 2008/03/19 by ブレイクニー

この記事へのコメント

kage

ブレイクニーさま

コメントならびに相互リンクのお申し出、誠にありがとうございます。早速当方よりもリンクさせていただきました。

私が実践している運用はほとんど理論無視の投機でお恥ずかしい限りですが、同じセゾン号の乗員として今後ともよろしくお願いいたします。

Posted at 07:25:06 2008/03/19 by おやじダンサー

この記事へのコメント

kage

ありがとうございます

おやじダンサー様

早々にご返答とリンクを賜り、どうもありがとうございました。

「理論無視の投機」とご謙遜されていらっしゃいますが、決してそんなことはございません。

ブログの記事をいくつか拝読させていただきましたが、精緻な分析をされていらっしゃいます。質が高いので、さすがにすべて拝読できませんでしたが、最新情報も掲載されていらしゃって、本当に勉強になります。

また海外にも目を向けていらっしゃいますので、本格的な投資家とお見受けします。

こちらこそ、同じセゾン号の乗員として、これからもよろしくお願い申し上げます。私は能書きばかり垂れて実践が疎かになっていますので、おやじダンサー様を見習っていきたいと思っています。

Posted at 19:45:53 2008/03/19 by ブレイクニー

この記事へのコメント

kage

19日のセミナー(名古屋)に出席しました

はじめまして。19日の名古屋でのセミナーに出席しました。
「株式に関しては、カナダと世界小型株、債権に関してはアメリカ・ヨーロッパ・日本以外の債権が組み入れられていないので、これから組み入れる方向性ですか?」と質問しました。
中野社長のお答えは
①カナダは、バンガードの投資信託で対応するものがありません。
②債権は、現在投資しているもので大部分を網羅しています。
③小型株は、現在組み入れているファンドに含まれているので、組み入れる必要はありません。(加藤氏のお答え:分散すればするほどよいですが、ファンドの組み入れは、コストパフォーマンスを考える必要があります)
という趣旨だったと思います。もし違っていましたら、ご指摘ください。

大変丁寧に答えていただき、セゾン・グローバル・バランスファンドに投資してよかったと感じました。

今後ともよろしくお願いいたします。

Posted at 01:32:06 2008/03/20 by solvency

この記事へのコメント

kage

solvencyさま

貴重な情報をご提供いただき、ありがとうございます。

株式と同様に債券にも新興国を組み込んで欲しいという気持ちは私も持っていました。しかしいくら高利回りの新興国債券でも期待リターンは株式に遠く及ばず、流動性の低さゆえに売買コストが割高になるとなれば、加藤氏の言われるようにコストパフォーマンス(費用対効果)の観点から不採用という決定になっても納得できますね。さらに一般的に株が売られると債券が買われるために株と債券はリスクを補完し合う関係にあるのですが、新興国債券は株に近い動きをする傾向があるために組み入れることでリスク分散効果を低下させる恐れもありそうです。

今後も新興国の成長が続けばこれらの判断もいつかは転換すべき時が来ると思いますので、運用側が的確に判断して実行して下さるものと期待したいと思います。

Posted at 11:48:39 2008/03/20 by おやじダンサー

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