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中国ファンドがサブプライムで打撃を受けた金融機関に投資?

kage

2007/11/29 (Thu)

先日、アラブ首長国連邦のアブダビ投資庁が米金融大手シティグループに75億ドルの出資を行うと発表して世界中を驚かせましたが、本日のロイターの報道によると中国の政府系ファンドも同じような方針を持っているようです。

中国投資公司、サブプライムで打撃受けた金融機関に投資へ

北京 29日 ロイター:中国の政府系ファンド、中国投資公司の楼継偉会長は29日、同社の投資戦略について、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題で打撃を受けた金融機関に投資する考えを示した。金融フォーラムで述べた。会長は、海外への大型投資には少なくとも1年の準備期間が必要とも発言。同社の当初資本金は2000億ドルで、3分の1を海外投資に振り向ける予定。海外投資では、資金の大半を上場銘柄に投資し、代替投資は比較的小規模に抑えるという。ただ、機会があれば直接投資を行う可能性があるとの考えも示した。中国投資公司は、外貨準備の運用機関として今年9月に発足。同会長によると、収支をトントンにするには、少なくとも1日3億元の利益確保が必要になるという。



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中国投資公司の楼継偉会長は、サブプライムで打撃を受けた金融機関に投資する目的を「市場の安定化に貢献するため」としているそうですが、もちろん慈善事業で政府系ファンドの運営を行うわけではありませんから最終的に自国の利益につながると考えていることは間違いありません。以前から日本の株式市場で存在感を持っていたオイルマネーもこれまでは単純に国際分散投資の一環としての日本株投資だったように思いますが、最近のソニーやシティへの投資を見ると何らかの政治的意図を持ち始めたようにも思えます。そして本日の日本経済新聞の報道によると、国益を守ることに熱心なあの国も政府系ファンドを立ち上げるようです。

ロシア政府系ファンド、2兆円で運用開始

ロシア財務省高官は来年2月から外国企業の株式、債券などを対象に運用を始める政府系ファンドの投資規模が当初180億ドル(約2兆円)に上ることを明らかにした。株式で対象となるのは欧米企業の優良銘柄で「出資比率は3―5%を上限とする」と言明し、日本企業については「時間をかけて準備したい」と述べた。欧米では主要企業が買収されるとの懸念が出ているがファンドを政治利用することはないとの立場を強調した。運用責任者であるロシア財務省の対外関係・公的債務・国家金融資産局のカザケビッチ副局長が日本経済新聞に語った。(日本経済新聞より)


出資比率は5%を上限にしており、ファンドを政治利用することはないとのことですが、ロシアの政府系ファンドに発行済み株式の5%を握られた企業は相当なプレッシャーを感じるであろうことは想像に難くありません。基本的に政府系ファンドは政府系であるがゆえに単なる利益追求ではなく、国益を守るために何らかの政治的意図を持った投資を行ってくると考えるのが自然ではないでしょうか。

昨日、テレビ朝日系の報道ステーションでレアメタル(ニッケル、コバルト、プラチナなどの希少金属)争奪戦の話題を放送していました。自動車や携帯電話の生産に欠かせないレアメタルは現在、世界的に供給が逼迫しており国家間の争奪戦の様相を呈しているのですが、その中で存在感を増しているのが中国です。中国が経済援助と引き替えにアフリカ諸国の資源権益を確保しようと動いていることはよく知られていますが、最近ではロシアにも手を伸ばしているとのこと。番組ではある資源系商社がロシアの資源会社とレアメタルの採掘権の取得交渉する様子を紹介していましたが、ここもいち早く中国の手が伸びていました。最終的に日本商社が高度な製錬技術を提供することを条件に採掘権を獲得したのですが、この現状に私は相当な危機感を感じました。今はまだ日本企業が保有する高度な製錬技術や環境技術が交渉の切り札になりますが、これがこの先も中国にとって障害となるようなら、中国は企業ごとその技術を買収してしまおうと考えるのではないかと思うからです。例え買収まで至らなくてもロシアの政府系ファンドのように株式の5%を握っただけでもその会社が保有する高度な技術を中国に対抗するための切り札には使いにくくなることは確かです。

テレビで紹介された商社の社長は「中国はレアメタル獲得のために官民一体となっているので日本企業が民間だけで対抗するのは厳しい。今こそ日本政府は国家的な戦略を持つべき。」といった主旨の発言をしておられました。奇しくも昨日のロイターのインタビュー記事で、田村耕太郎参院議員(前・金融担当政務官)が東京市場の国際競争力強化策として、日本版の政府系投資会社(ソブリン・ウェルス・ファンド=SWF)の設立が必要と訴えていましたが、私もまったく同感です。このインタビューの中で田村議員は政府系ファンドの役割について以下のような本音の発言をされています。

田村議員:今はサブプライムで欧米が傷んでいて10年前に日本がやられたことをやり返すチャンスでもある。10年前には不良債権で国内の債権や金融機関が安く買いたたかれた。アメリカやイギリスで、いい債権を持っている金融機関はあるので、その意味でもSWFを作るチャンスだ。(ロイターより)


ちょっと表現が悪いかも知れませんが、世界経済における国益のぶつかり合いこそが現代の戦争と言えるのではないでしょうか?ロシアや中国はもう砲弾が飛び交う戦争は時代遅れであることを十分に認識しているのだと思います。このような状態で日本が平和主義を唱えているだけでは富を搾取される一方です。例えば日興コーディアルグループを買収したシティの株を日本の政府系ファンドが取得すれば「業績が悪化したからといって目先の利益のために日興コーディアルグループを切り売りするような行為はゆるしませんよ」という圧力にもなります。それでも積極的に攻める(=他国企業の株式取得)ことに抵抗があるのであれば、金融版自衛隊として政府系ファンドを立ち上げる考え方もあると思います。すなわち先に触れた切り札となり得るような高度な技術を持つ企業の株や、トヨタやソニーなど日本から出て行かれては困るような大企業の株を取得して国益を守ることに専念するのです。

日々世界の株価に一喜一憂していると、世界経済の構造がダイナミックに姿を変えつつあることを実感します。地方に立派な道路が整備されても国は滅びてしまいそうな本末転倒の政策を執り続ける日本に住む我々ですが、今は投資を通じて中国やロシアが獲得する利益の一部を手に入れることもできます。そう考えると新興国投資も結構面白いものですね。



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