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ヒヤリ・ハット

kage

2021/02/07 (Sun)

重大な事故の背景には、数多くの「ヒヤリ・ハット」が隠れていると言われます。今回のタイトルはそこからいただきました。ちなみにWikipediaでは、ヒヤリ・ハットについて以下のように説明されています。

ヒヤリ・ハットとは、重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の認知をいう。文字通り、「突発的な事象やミスにヒヤリとしたり、ハッとしたりするもの」である。


私たち個人投資家にとって重大な事件・事故といえば、昨年3月の「コロナ・ショック」が記憶に新しいところでしょう。下記はいつものようにYahoo!ファイナンスからお借りしてきた日経平均株価の2年チャートですが、赤い矢印で示したコロナ・ショックは私たち個人投資家を大いに翻弄しました。

日経平均株価

ところで最近、市場を再びコロナ・ショック級の大混乱に陥れかねないヒヤリ・ハットがあったことをご存知でしょうか?その発端は、1月末に勃発したあの「ゲームストップ株騒動」にあったのです。

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下記は本家Yahoo!Financeからお借りしてきたゲームストップ株の3カ月チャートです。ご覧のとおり、1月末から常識では考えられないような乱高下を演じ、大きな話題となりました。

GameStop

ゲームストップはゲーム小売の大手企業ですが、ネット全盛の時代において店舗販売というビジネスモデルは衰退の一途をたどっていました。そこに目を付けたヘッジファンドが大量の空売りを仕掛けていたのですが、今度は逆にそこを「ロビンフッダー」と呼ばれる個人投資家に狙われ、大量の買い注文により踏み上げられてしまったのです。具体的には株価の値上がりにより空売りの含み損が急速に拡大し、ついには損失覚悟の買い戻しを迫られたわけです。この事実だけを見れば、ある特定のヘッジファンドが空売りを踏み上げられて大損をしたというだけで、それがコロナ・ショック級の大混乱に発展するとは思えません。しかし事態はそんなに単純ではなかったのです。

先に触れた「ロビンフッダー」とは、株式取引アプリ「ロビンフッド」を利用する個人投資家を指します。そしてゲームストップ株踏み上げの主役こそ彼らだったと言われています。ところがゲームストップ株急騰を受けて、ロビンフッドが突如として株式の取引制限を発表。これに反発したロビンフッダーたちが、ロビンフッドの本社前で抗議活動を行う事態となりました。問題は取引を制限した理由です。常識的に考えれば株価の乱高下による相場の混乱を沈静化するためとも思えますが、実際は違っていました。

まずは下記のロイターの報道をご覧ください。

ロビンフッド、ゲームストップとAMCの端株購入を容認

[3日 ロイター] - 株式取引プラットフォームのロビンフッド・マーケッツは3日、 米ゲーム販売ゲームストップと米映画館チェーン大手AMCエンターテインメント・ホールディングスの端株購入を認めると発表した。

これにより1単元未満の株式購入が可能となり、最低投資金額が引き下げられるため、より小口の投資家が参加できるようになる。

また同社のウェブサイトによると、ゲームストップ株の取引制限を20株から100株に引き上げるほか、エクスプレス、ネイキッド・ブランド・グループ、ノキアの取引制限も緩和する。

ロビンフッドのテネブ最高経営責任者(CEO)は1月31日、清算機関から新たに30億ドルの証拠金を要求されたことを理由に一部取引の制限を決めたと表明。その後、今月1日には既存株主などから1月29日以降に総額34億ドルの資金を確保したと発表したほか、関係者によると銀行団からさらに約10億ドルを借り入れる交渉を進めているという。


ここで重要なのは最後の段落です。ちなみに前段にある取引制限については下記のとおり続報があり、すべて撤廃されました。

ロビンフッド、全株の取引制限を撤廃

[4日 ロイター] - 株式取引プラットフォームのロビンフッド・マーケッツは4日、 米ゲーム販売ゲームストップや米映画館チェーン大手AMCエンターテインメント・ホールディングスを含む全株の一時取引制限を廃止したと発表した。

ゲームストップ株の取引制限は500株、AMC株の取引制限は5500株に設定されていた。


話題を最初の記事に戻しましょう。ロビンフッドがゲームストップ株の取引を制限した理由は「清算機関から新たに30億ドルの証拠金を要求されたこと」であるとはっきり書かれています。他の報道も総合すると、この清算機関とは米国証券保管振替機関(DTCC)を指しており、証券会社は株式取引の決済が終わるまでの間、DTCCに保証金を差し出す必要があるようです。すなわちゲームストップ株の急騰により取引金額が急拡大したことで、新たな証拠金(保証金)の差し入れを求められたというわけですね。

この記事から分かることは、ロビンフッドが資金繰りに行き詰まったという現実です。結局は既存株主や銀行団から何とか融資を受けられ、最悪の事態(=経営破綻)は回避されましたが、これこそまさにヒヤリ・ハットではないでしょうか?米国で一世を風靡するロビンフッドがもし仮に経営破綻するなんてことになれば、コロナ・ショックの再来も十分にあり得たと私は考えます。

過去のエントリーで何度か書いた記憶がありますが、リーマン・ショック時には結構名の知れたネット証券が経営破綻寸前まで追い込まれたという噂を聞いたことがあります。また実際にひふみ投信を運用するレオス・キャピタルワークス社は経営に行き詰まり、救済買収の道を選ばざるを得ませんでした。今回の教訓は、リーマン・ショックやコロナ・ショックのような株価暴落局面だけでなく、株価急騰によってもヒヤリ・ハットは起こり得るという現実を私たちに示してくれました。今、私たち個人投資家はコロナ対策で市場にジャブジャブにあふれるマネーの恩恵を受けて我が世の春を謳歌していますが、その裏には顕在化しないリスクが常に潜んでいることを肝に銘じたいものですね。

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