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阪神タイガースの原口文仁選手

kage

2019/12/08 (Sun)

プロ野球に関心をお持ちの方ならご存知のことと思いますが、本エントリーのタイトルに掲げた「阪神タイガースの原口文仁選手」は今シーズン大腸がんの手術から復帰し、1軍で活躍されました。これがどれほど凄いことなのかは同じ大腸がん患者である私でなくとも十分にご理解いただけることでしょう。その原口選手が11月24日にがん闘病会見を開かれました。その詳細につきましては、下記の記事をご参照ください。

阪神原口「ステージは『3B』」/がん闘病会見1(日刊スポーツ)

阪神原口「命ってすごく限りある」/がん闘病会見2(日刊スポーツ)

この記事を読んで、私自身同じ大腸がん患者という立場であるがゆえに健常者の皆さんとはまた違った見方もできるのではないか?と思ったのが本エントリーを書くきっかけとなりました。それでは記事の内容に従って私が気になったポイントを挙げて参りましょう。

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まず初めはがんの宣告(告知)からです。原口選手は人間ドック受診の際に別室に呼ばれてがんの宣告を受けたとのこと。私はこの点が少々気になりました。なぜなら私の場合は「ガン宣告」にも書いたように、大腸の内視鏡検査で顔つきの悪い(=悪性の可能性が高い)大きな腫瘍が見つかった段階でもなお「ガンかどうかは組織検査の結果が出なければ分からない」と言われましたから。そもそも専門医であれば一見して悪性の腫瘍であることは分かったとは思うのですが、がんの宣告には万が一にも間違いがあってはいけませんので念には念を入れてこのような表現になったのでしょう。ですから私は原口選手がどのような検査でがんの発見に至ったのかに興味を持ちました。一般的な人間ドックのCT検査で私の定期検診時のように造影剤を使うとは思えませんので、考えられるのはやはり私がいつも受けている血液検査(腫瘍マーカー測定)や大腸の内視鏡検査くらいです。しかし、いずれにせよそれだけでは検査当日にがんであるかどうかまでは確定しませんので。とはいえ原口選手は実際に大腸がんの手術を受けておられ、結果的に宣告に間違いはありませんでしたので、私の疑問など些細なことではありますが。

次にがんのステージ(進行度)についてです。原口選手は手術前には「早期発見ではないか」と言われていたのが、手術後の病理検査で「ステージ3B」と診断されたとのこと。がんのステージについては以前「大腸ガンの種類と進行度」でご紹介しましたが、ここにも書いたようにステージ3Bとはリンパ節にがんの転移が4個以上ある状態を指します。この内容を見る限り、原口選手のケースでは腫瘍の外観は小さくステージ0か1程度と思われたものが、実際に手術後の病理検査でリンパ節への転移が見つかりステージ3Bという診断になったものと思われます。ちなみに私の場合は手術前はステージ1の見立てでしたが、病理検査の結果リンパ節への転移は認められず、ステージ2の診断になりました。ただ腫瘍のサイズだけで見れば、おそらく私の方が遥かに大きかったのでしょう。事実、原口選手の手術は腹腔鏡が使われ、私は開腹手術となりましたので。すなわち、手術の内容は同じ(腫瘍の摘出と大腸周りのリンパ節の切除)でも手術で受けた体のダメージという観点では、ステージ3Bの原口選手よりステージ2の私の方が深刻だったというわけですね。

続いては手術後の抗がん剤治療についてです。これは私も受けた「術後補助化学療法」のことですね。すなわち、手術でがんの組織はすべて取り去っても体内のどこかにがん細胞が隠れている恐れも十分にあるため、再発予防を目的として行われる抗がん剤治療です。私が驚いたのはステージ3Bの原口選手が錠剤(飲み薬)の抗がん剤を用いたことでした。私の場合、以前こちらのエントリーに書いたとおり、退院前夜に担当医から「最悪の場合(=リンパ節に転移があった場合)、もう一度入院してもらって胸にポート(=抗ガン剤を点滴するための注入口)を埋め込む手術を受けてもらう」と言われていましたので。つまり私のケースでは、もしリンパ節に転移があった場合は錠剤ではなくより効果の高い(言い換えればよりきつい)点滴型の抗がん剤を用いる予定になっていました。原口選手が大腸がんの手術から早期復帰を果たせた大きな要因の一つは、間違いなく錠剤の抗がん剤を使えたことでしょう。ただ裏を返せば「体に優しい=期待される効果が低い」ですので、なかなか選択が難しいところです。想像ですが、おそらく原口選手の腫瘍は直腸から離れた場所にあったのでしょう。私の場合は直腸とS状結腸の間にありましたので、再発率の高い直腸がんの治療法が適用されたのかも知れません。ただ原口選手の抗がん剤治療は、4週間の服薬に対して2週間の休薬期間が設けられていたそうですので、おそらく私が実践したユーエフティ+ユーゼル療法(4週間の服薬に対して1週間の休薬期間)よりきつい薬が使われたのでしょうね。たとえ錠剤でも抗がん剤治療はかなり体に負担がかかり、服用に関する制約も多く生活のリズムが縛られます。その中で復帰に向けたトレーニングに励まれた原口選手の努力と苦労は、とても言葉では言い尽くせないほど大変なことであったことは想像に難くありません。

最後はこの会見に至った経緯についてです。言うまでもなくプロスポーツ選手は体が資本ですから、病気の情報を積極的に公開することにはネガティブインパクトも大きく、否定的な意見もあるでしょう。しかし原口選手は「今病気で頑張ってる人たちに、発表することによって治療しながらでも仕事復帰できる、スポーツができるっていう思いで発表したいなと考えました」と語っておられます。事実、原口選手の会見は私を含めた多くのがん患者にとって大きな力と希望になったことでしょう。私も自分ががんだと分かった時は不安でたまらなくなり、ネット上で多くのがん患者の皆さんのブログを読み漁りました。このように同じ病気と闘う「同士」の存在が患者にとってどれほどの勇気になるのか、今の私には身にしみて理解できます。闘病中の有名人が積極的に病気の状況を発信すると、「いつまでも病気のアピールをするなよ」という声も聞こえてきます。しかし発信の目的がたとえブログのアクセス数を稼ぐためでも、同情を引くためであったとしても、結果的に同じ立場の患者たちに勇気を与えていることは間違いありません。健常者の皆さまにおかれましては、その点に多少なりともご留意いただければ幸いです。

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