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老後資金2000万円問題

kage

2019/07/08 (Mon)

金融庁の報告書が指摘した「老後資金2000万円問題」は今月21日に投開票が行われる参議院選挙でも主要テーマになっており、いまだに世間を騒がせ続けています。これを受けてテレビでもこの話題を取り上げているのをよく目にするのですが、そもそもこの問題は受け取り方や切り口で印象が大きく変わってしまいますので判断が難しいですよね。そこで今回は私自身が最近たまたま視聴した2つの番組から、この問題について個人的に気になった部分をピックアップしてご紹介しましょう。

まずはNHKのクローズアップ現代+から、7月2日放送の「“老後2000万円” 将来不安につけ込まれるな! 現役世代に落とし穴も…」からです。コメンテーターは当ブログではすっかりおなじみの経済評論家・山崎元さんでした。

不安喚起は常とう手段!

山崎さん:金融業界は「人生100年時代」という言葉が大好き。寿命が長いのでお金が足りなくなりますよというイメージを喚起できる上品な言い回しなので。この言葉が出ている広告には注意した方がいい。

ポイントは手数料 “0.5%ルール”を!

山崎さん:コストが高い商品を売りに来る人間の悪い影響を避けられる。現実の資産運用には相場の変動以外に高コスト商品を売る悪い人間がアドバイスやセールスをしてくるリスクもある。

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リンク先をご覧いただければお分かりのとおり、この放送自体が老後資金不安に付け込んだ悪徳商法への注意喚起が主題でしたので、いかにそれらの被害から身を守るかという観点からこのような指摘になったと思われます。当ブログをご訪問いただいた皆さまはリスクの意味を正しく理解されておられることと思いますので、山崎さんのご意見を素直に受け入れられるのではないでしょうか?もっとも私自身はコスト的には合理的でないことを重々承知の上で高コストのアクティブファンドも保有していますが、それは個人の自由ということでお許しください。

次の番組は当ブログでは「山崎バズーカ炸裂」でおなじみの田村淳の訊きたい放題!の7月6日放送分からです。残念ながら今回は山崎さんのご出演はありませんでしたが、過去に相棒を務められた第一生命経済研究所・主席エコノミストの永濱利廣さんファイナンシャルプランナーの岩城みずほさんが山崎さんばりの「バズーカ」を炸裂させてくださいました。

永濱さん:(老後資金2000万円必要の金融庁報告書について)使っているデータが古い。最新データで同じ計算をすると、実は1500万円で済む。さらにこの報告書は65歳以降すべての年代をひっくるめて計算しているが、実際には歳を取るほど使うお金は減っていくので、細かく計算すると1000万円くらいで済む。おそらくこの報告書は金融庁が多少大げさに言って、「貯蓄から投資へ」の流れを加速させたいという思惑があったのではないか?お役人や学者の方々は頭はいいが人の気持が分からない。こんな報告書を出したらみんな不安になるに決まっている。現状はみんなお金を持っているのに使わないから景気が悪い。こんな脅しをしたら日本経済はより悪くなってしまう。

岩城さん:一般的な金融機関のパンフレットと同じ。平均値を出してこれだけ足りないから外貨建て保険を買いましょうというパターンと同じかなとすぐに思った。普通人は使えるお金がなければ生活を切り詰める。そういう意味では平均値など気にする必要はまったくない。ライフスタイルは人それぞれ。例えば年金がもっともらえる夫婦共働き世帯ならそんなに貯める必要はない。平均値(2000万円)が独り歩きしてしまったという感じ。

永濱さん:モデルケースとなった支出約26万円の世帯とは、実は貯蓄が2500万円ある世帯のこと。そいう世帯の支出が約26万円になる。だからそこまで支出しないと生活ができないわけではない。現実に今の60代後半の男性は55%くらい働いている。そういった世帯の収支を見ると、毎月8万円くらい黒字になっている。だから60代後半まで働ければ、意外にそれほど貯めなくてもいいかも知れない。従っていかに貯蓄をするかより、いかに健康を維持するかとか、長く働けるスキルを身につけるかを考える方が大事だと思う。

岩城さん:2000万円足りないと言われたからといって、すぐに商品を買ったりセミナーに行ったりしてはいけない。大切なのは自分が老後どのような生活をしたいのかをイメージして今必要な貯蓄額を計算すること(筆者注:番組で岩城さん独自の計算ツールが紹介されましたので以下に引用しておきます)。


永濱さん:今回の報告書は金融庁が「貯蓄から投資へ」の流れを加速させたいという意図だとは思うが、経済のことをよく分からない人にいいきなり投資をしろと言っても難しい。スキーの初心者をいきなりリフトに乗せて上級者コースに連れて行くようなイメージ。それならもっと小さな頃から経済教育なり投資教育をするべき。日本は諸外国に比べてかなり遅れている。

岩城さん:日本ではいまだに「お金は汚いもの」というイメージが強い。だから家庭でお金の話をするのはタブー。学校でも少しずつ増えてはいるがまだ少ない。日本で一番良くないのは社会に出て一番始めに接する金融関係者が保険のおばちゃんであること。そこがまず間違い(保険関係会社所属の永濱さんに向かって「すみません」)。だから保険の加入率がかなり高い。もちろん死亡を保障するという意味では生命保険も必要。しかしお金を貯めるのに保険はあまり良くない。

(53歳で老後資金に不安を感じているという鈴木奈々さんのお母さんへのアドバイスとして)岩城さん:お母様も働けばいい。働いた分だけ年金は増えるので。年金はもらう時期を決められるので、働いてなるべく後にずらせばもらえる額が増える。だからしっかり働くことが一番いいと思う。

永濱さん:年金保険料は支払わなければ損。年金の原資には我々が支払っている消費税も入っている。年金保険料を支払わないということは、消費税で原資だけ出して年金をもらう権利を放棄していることになる。だから年金をもらう権利はしっかりと保持しておく方がいい。

(子供のお金教育はどうすればいいか?との視聴者からの質問に対して)
永濱さん:前にも言ったと思うが、お年玉をドルであげればいい。

岩城さん:お金を4つに分ける。使うお金、貯めるお金、寄付するお金、増やすお金。

確かにこの問題に関しては「2000万円」のインパクトが強すぎて、完全に独り歩きしていますね。現実にはライフスタイルは人それぞれなので、誰もが老後に2000万円必要になるはずはないのですが。しかし結果的にこの報告書は国民の老後不安を煽ってしまい、そこに付け込む悪徳商法にいい「口実」を与えてしまったという点では罪が深いと感じました。ただ少なくとも当ブログをご訪問いただいた皆さまは投資に対する理解が深く、老後資金の確保のための資産運用の重要性も十分に理解されておられることと思いますので、アパート経営とか外貨建て保険などの「魔の手」には簡単には引っかからないとは思いますが。とはいえ現実には郵便局窓口における保険や投資信託の販売においても売上至上主義の弊害で顧客が不利になる誘導が行われて大問題になっているくらいですから、「魔の手」は私たちの身近に着実に迫っているのでしょう。そういう意味で金額に踊らされる愚は何としても避けたいものです。

それに実際問題としてお金はあればあったで、今度はそれが減ることがストレスになるものですから、2000万円あればもう安心ということでは決してありません。大切なのは現役時代の内に老後のライフスタイルをイメージして、その実現に向けた計画を優先順位を決めて着々と進めていくことではないでしょうか?もしその計画が順調に進まなくても、その都度修正していけはいいのですから。老後は生活の自由度が増しますので、例えば田舎に引っ越すとかで生活費を抑えることも可能ですしね。さらにそもそも論で言えば、今から20年後、30年後の日本がどうなっているか?など誰にも分からないのに、お金の心配をするだけ無駄だと私は思いますけど。もしかすると日銀の異次元金融緩和が失敗して2000万円の価値が暴落している可能性だって十分にあるわけですから。

というわけで「2000万円」という金額に踊らされるのはバカバカしい、というのが私の結論でありました。

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