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VIXショックの再来か?

kage

2018/10/13 (Sat)

相場の世界は「一寸先は闇」と申しましょうか、「好事魔多し」とでも言うべきでしょうか、少し前まで史上最高値を更新していた米国株や約27年ぶりにバブル崩壊後の最高値を更新した日経平均株価が今週後半、突如として暴落しました。この状況は2月初めの暴落とよく似ており、「すわ!VIXショックの再来か?」と思ったのは私だけではないでしょう。ご承知のとおりVIXとはボラティリティー・インデックスを指し、値幅の大きさ(ボラティリティー)を示す指数です。すなわちこの指数が上昇すれば値幅が大きくなっている(=相場が荒れている)ことが分かるわけで、その意味から恐怖指数とも呼ばれます。今回、世界的に株価が急落したことで当然のことながらVIXは急上昇しました。そこで本家YAHOO!FINANCEからお借りしてきたVIXのチャートで、2月と今回の動向を比較してみましょう。

VIX
ご覧のとおり、今回の株価急落でもVIXは跳ね上がっています。しかし2月の急上昇ぶりに比べると、これでもまだ穏やかに見えてくるから不思議ですね。2月のVIXショックでは、それ以前の数値がかなり低いことからもお分かりのとおり、市場が楽観に傾き過ぎていたところに突然ショックが起きたため、あたかも枯れ草に火が付いたように一気に燃え上がってしまいました。しかし今回は、まだ市場参加者に2月に起きた悪夢の記憶が残っていたことでVIXも「楽観し過ぎ」レベルまでには低下していなかったため、この程度の上昇で済んだのかも知れませんね。

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相場解説によると、今回の世界同時株安のきっかけとなった米国株急落の一因は米長期金利(=10年国債の利回り)の上昇とのこと。一般的に長期金利が上昇すれば相対的に株式の魅力が失われ、株価の下落要因になるとされます。このカラクリを実例で説明しますと、現在の米10年国債の利回りは3.14%ですから、これを買うと今後10年間に渡り年利3.14%(税引前)が確定します。それならわざわざ高いリスクを取ってまで株式投資をする必要はない(=債券投資だけで十分)と考える人も出てくるでしょう。これが長期金利が上昇すると相対的に株式投資の魅力が失われる仕組みです。ただし目先の状況だけを見れば、金利の上昇=債券本体価格の下落ですから、株式と債券が同時に値下がりすることになり、分散投資の効果が薄れることになります。さらに米国債の場合は「リスク回避の円高」も影響しますから、米国株と米国債の分散投資効果には過度に期待しない方がいいのかも知れませんね。

とはいえ今回の世界同時株安においては金(Gold)が値上がりしたり、国内REITの価格は下がらなかったりと、資産分散の効果が生きていることは確認できました。しかしこれが100年に一度と言われたリーマンショック級のパニックになるとまったく機能しなくなりますので、投資初心者の皆さんは十分にご注意ください。あの時はとにかく現金(キャッシュ)が一番ということで、債券も金(Gold)もREITも一緒くたになって売られましたので。

資産運用上のリスク管理つながりとして、世界同時株安とは直接関係ありませんが、9日に発生した東京証券取引所のシステム障害についても触れておきましょう。報道によるとこの日、東証の複数ある回線の内の一つがある証券会社(メリルリンチ日本証券との報道あり)から大量のデータが誤って送信されたことでダウンしてしまったとのこと。このトラブルにより一時的に売買注文を受け付けられなくなった証券会社がいくつか出ました。もしこれが11日の株価暴落時に起きていたらと思うとゾッとしますよね。なぜなら、「これはヤバイ!逃げなければ」と思って売り注文を出しても売れず、「これは千載一遇の買いチャンスだ!」と思って買い注文を出しても買えないのですから。

リーマンショック時の2008年12月2日に書いたエントリー「資産運用最大のリスク」の中で私は以下のように書いておりました。

私にとって資産運用における最大のリスクは評価額の下落ではなく、売りたい時に売れなくなることです。

この観点からすれば、今回一時的にでも売買停止に追い込まれた証券会社はリスク管理の面から利用は避けるべきでしょうね。使用していた回線がたまたまトラブルに遭遇したという運の悪さもあるのでしょうが、報道によると東証側は事前に複数の回線にアクセスできるよう準備をして欲しいと呼びかけていたそうですから、リスク管理の甘さを指摘されても仕方ないでしょう。もちろん今回のトラブルで影響がなかった証券会社でも、たまたま正常な回線を使っていて運が良かっただけの可能性も否定できませんが。何はともあれ今回の回線トラブルで影響が出た証券会社をお使いの方は、今後のシステム対応について会社側からどのような発表があるのか、注視されることをお勧めいたします。

上記リンク先のエントリーにも書いているとおり、リーマンショック級のパニックになると世界中のあちらこちらでトラブルが発生し、その影響を受けて売買停止に追い込まれる投資信託が実際に出てきます。例えばかつて私が保有していたセゾン・バンガード・グローバルバランスファンド であれば、組み入れられているバンガード社のファンドがアイルランド籍であるため、アイルランドで何らかの混乱があれば売買停止になる可能性があります。また現在もコツコツ毎月積み立て投資を継続しているひふみ投信ではリーマンショックの混乱で運用元のレオス社が破綻寸前にまで追い込まれてしまいました。もしあの時にひふみ投信が強制償還になっていれば、リーマンショックによる大混乱の中で運用は停止し、売るに売れない状況の中で下がり続ける評価額を償還までただ見ているしかないという辛い日々を送ることになったでしょう。これではいくら法令で保有資産は100%保護されますと言われてもとても安心はできませんよね。

奇しくも今年はリーマンショックからちょうど10年に当たります。「十年一昔」で当時の出来事も過去のものになりつつありますが、市場が本当のパニックに陥ると暴落以上に恐ろしいこと(=分散効果が無効になったり売りたくても売れなくなったり)が起こるという厳しい現実を、リーマンショックを経験していない皆さんもぜひ知っておいてください。

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