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山崎バズーカ第14弾炸裂 後編

kage

2018/02/03 (Sat)

それでは前編に引き続き、後編も放送の一部を文字に起こしてご紹介いたしましょう。後編のテーマは「結局TPPは良いの?悪いの?あらためて学ぶTPP11」です。なお毎度のご注意となり誠に恐縮ですが、以下に掲載する出演者のご発言は私の判断で言い回しを変えておりますので、ご本人の真意とズレてしまっている可能性のあることをあらかじめご承知置きください。

早稲田大学大学院アジア太平洋研究センター所長・浦田秀次郎教授にお話を伺った(浦田教授の著書を下記でご紹介しておりますのでぜひご参考になさってください)。浦田教授は国際貿易研究の第一人者として活躍されている。まずはTPPのこれまでの流れについて。

  

浦田教授:TPPは最初(2016年2月4日)米国を含む12ヵ国で合意し、署名された。しかし2017年にドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領就任当日にTPPからの離脱を表明。アメリカはトランプ大統領になってかなり内向きになっている。イギリスのEU離脱もある。世界の貿易体制がかなり保護主義化してきている。そのような動きに対して日本は自由貿易を守らなければいけない。そのための一つの方策としてアメリカを除く11ヵ国でTPP交渉が始まった。

アメリカが離脱した後、日本が主導する形で枠組みを維持したTPPだったが協議は難航。

浦田教授:アメリカがTPPの加盟国であったから自分の主張を譲ったという国が結構ある。そういった項目はひとまず凍結ということにして、将来アメリカが復帰した際に解凍しようということになった。例えば薬の特許に関する保護期間(その間は薬を独占販売できる)はアメリカの要望で8年に延長することが決まっていたが、多くの国が短縮を希望しており凍結となった。このような項目が22ある。

凍結された22項目は「新薬開発データの保護期間」や「著作権の保護期間」など知的財産を中心としたもの。そして最後まで難航していた協議の一つはカナダの主張。アメリカとの北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉との兼ね合いで早期交渉妥結に難色を示していたカナダ。独立機運の高いフランス語圏のケベック州への配慮から文化保護のため外国映画への規制を求めていたが1月23日(火)にカナダと各国が補助文書を結ぶことで折り合った。これで新協定文が締結し、3月に署名式が行われるという。ところでこのTPP11は日本にどんなメリットがあるのだろうか?

浦田教授:輸入品にかかる関税が引き下げられる、あるいは撤廃されることにより輸入品の価格が下がる(例えば牛肉の場合、現在の関税率38.5%が27.5%に引き下げられる)。輸入品の価格が下がれば国内製品の価格もそれに合わせて下がる。また企業にとってのメリットは関税撤廃で海外とのビジネスがしやすくこと(工業製品の99.9%、農林水産品の98.5%が関税撤廃になる)。これによる日本の国民所得の上昇幅は460億ドルと試算される。経済成長というのは競争力のある分野は拡大し、競争力のなくなった分野が縮小することで進んできた。競争力のある製造業やサービス業の一部を拡大させる一方で、あまり競争力がない分野は輸入が入ってくることで規模を縮小せざるを得ない。これにより産業の再構築が起きる。TPPは良い意味での外圧。しかし一時的に職を失う人への再教育・再訓練などの支援は必要。被害を最小限に抑えながら経済全体を成長させていく政策が必要。

一方でTPP反対の意見もある。東京大学の鈴木宣弘教授にお話を伺った。

鈴木教授:貿易自由化で普通はいいことがあるんじゃないのという上っ面の雰囲気だけで物事が進められているのは今後の日本にとって不幸なこと。どんどん競争に晒せば勝手に強くなって輸出産業になるなどと言っていたら、輸出産業になる前に潰れてしまう。日本の農業が過保護に守られているというのはまったくの間違い。なぜアメリカや他の国が農産物の輸出国になれるのかといえば国が決定的に食料輸出に対する支援をしているから。例えばアメリカのお米は1俵4,000円で安く輸出しているが、農家には1俵12,000円が最低限必要ということでその差額を政府が補助している。これが多い年には穀物3品目で1兆円規模の輸出補助金になる。そうしてドンドン輸出を伸ばしている。これに対して日本の輸出補助金はゼロ。日本の農産物は美味しいけれども高い。もともと安いものを1兆円も使ってさらに安く売ってくる国と輸出競争をして勝てるわけがない。また例えばこれまで日本のコンビニは出資規制によりベトナムに進出できなかったが規制緩和でできるようになる。これで企業は儲かるが日本人労働者が増えるわけではない。反対に外国人の安い賃金と同等で働けますか?ということになる。儲かるのは一部のグローバル企業だけで超格差社会が進むのではないか。アメリカの国民の78%はTPP反対。それを日本政府がTPPはバラ色だとして広げようとしていることは非常におかしい。

そんな中、アメリカのトランプ大統領はアメリカにとって有利な条件ならTPPへの復帰を検討すると表明した。賛否両論あるTPP。皆さんはどうお考えですか?

永濱さん:TPPは全体としてメリットの方が大きいと思う。消費者にとっては例えば安くて美味しい牛肉が海外からドンドン入ってくる。企業にとっても関税があるままで競争していると関税が安い韓国に負けたりする。日本の農業についてはこのまま守れば持続できるのかといえば、決して儲かる産業ではないので若い働き手がなかなか入って行かず厳しい。だからむしろ貿易を自由化して日本の農業も積極的に輸出して儲かる産業にしていくというのが経済学的には有利なのかなと思う。

山崎さん:貿易を自由化することの最大のメリットはお互いの消費者にある。特に貿易をオープンにする側の消費者には大きなメリットがある。そういう意味では賛成の国民が多いのは自然なこと。しかしいろいろ言われているので何となく胡散臭いと思っていたのがへんちくりんなことを言うトランプが反対して出ていったことでやはりTPPは良いものなのではないかと国内の支持率が上がったのではないかと思う。TPPが11の形で何とか踏み止まれたことは結構大きい。ただ日本はFTAなどでもっと積極的に貿易を拡大すべきところをTPP一点張りでいろいろな面が遅れていた。しかし11ヵ国がまとまることでアメリカと交渉する場合も一つの足場となるので、単独で交渉するより有利。だから外交的には上手くやれたということではないか。日本の農業についても競争力があるものはあるし、ないものはない。百歩譲って向こうは補助金を付けて売っているにしても、ありがたく買って安く食べてあげればいいではないか。

田村淳さん:消費者にとっては安い方がいいですもんね。トランプさんの発言についてはどう思われますか。

永濱さん:逆に言えば、トランプ政権の間は戻るつもりはないのかなとも取れる。あれだけ長い時間をかけて11ヵ国で交渉して決めたのだから、今さらアメリカに有利なように動かすのはなかなか難しいと思う。そうは言っても私はすこし先を考えればアメリカが戻ってくる可能性は高いと見ている。なぜなら今年の11月にアメリカでは中間選挙があり、現状のままだと共和党は負けてしまう。過去3回を見ても大統領選挙に勝った政党は中間選挙で負けている。もし共和党が負ければ上院と下院でねじれが生じてトランプ大統領はレームダック化して何も決められなくなる。そうなるとトランプ政権は1期で終わるのではないか。その後の政権でTPP復帰はあると思う。

山崎さん:大統領がトランプでなくなればTPP復帰の可能性は高いだろう。

田村淳さん:そうなった場合、日本はWelcomeでいいんですか?俺達が戻ってきたんだからもう一度俺達のルールを作り上げるぞとならないんですか?そういう国じゃないんですかここ(パネルの星条旗を指しながら)は。

山崎さん:さすがにもう一回交渉し直すことはこの協定の規模では無理なので。いくらアメリカでも。多分ね。

永濱さん:一回アメリカも入って決めたことですから。

田村淳さん:同意はしてたんですもんね。

山崎さん:さすがに外交はそういうものですよね。一度決めたものは。

田村淳さん:大きな国が戻ってきてTPPの枠組みで貿易ができることはメリットが大きいということですよね?消費者にとっては。

山崎さん:デメリットとして関税が下がったことにより安い輸入品が入って例えば農産物の競争力がなくなった場合は一時的にお金を補填するようなことはあっていい。それで転業してもらうとか。そういうやり取りをしてもトータルとしてはメリットの方が大きいはず。

田村淳さん:永濱さん、今後はどのあたりに注目してTPP11のニュースを見ていればいいですか?

永濱さん:現在TPP11だけでなく他の経済連携の話もある。例えば東アジア地域包括的経済連携(RCEP)とか。そちらは交渉が難航しているがTPP11で足場を固めることができればそれが基準となって別の経済連携も進み易くなる。特にTPP11は日本が主導したのでこれからの世界的な経済連携の主導権を日本が握れるかも知れない。そういう意味では結構大きいことだと思う。

田村淳さん:日本が主導していろいろな国で消費者が利益を享受できればいいですね。そのリーダーが日本とは、久々にリーダーという感じ。

鈴木奈々さん:すごい。何か嬉しいですね。嬉しい。

田村淳さん:やっぱりアメリカさんがいなければそうやってできるんじゃないかな。

鈴木奈々の今日のソーカツ!は「来年は景気が悪くなるかも!

お金のことで奈々ちゃんにアドバイスできることはありますか?との視聴者からの質問に対して永濱さん:本にも書いたがお金を支払う際に本来は同じ種類の硬貨は20枚までしか使えない。それ以上の場合、売る側は受け取りを拒否する権利がある。実際にしているとこはほとんどないとは思うが。

山崎さん:それが何の役に立つんですか。

田村淳さん:鈴木が20枚以上出しそうだからね。

消費増税ではなく、もっとここから税金を取れというところはありますか?との視聴者からの質問に対して山崎さん:とにかく今のタイミングで増税してはいけないということ。将来の税金が消費税であっても構わないと思う。

以上、山崎バズーカ第14弾炸裂・後編をお送りいたしましたが、いかがだったでしょうか?TPPの是非を論じる際には必ず農業への影響が議題に上ります。しかし結局のところこれも前編に書いた社会保障費と同じで、政治が有効な対策を講じられないままズルズルと過去の政策を守り続けたために、TPPがあろうとなかろうと農業従事者の超高齢化によりいずれ日本の農業は衰退の一途をたどるしかないのでしょう。現在日本の大企業で起こっている不祥事・事故・トラブルの一因は過去に社内で蓄積した技術やノウハウが円滑に次世代に継承されていないことにあるとの指摘があります。このままではいくら日本の農産物が安全で美味しくてもその生産技術が継承されず無為に消滅しかねません。それを回避するためには過去のしがらみに囚われることなく株式会社の参入を認めて農業界の大規模再編を促す必要があるのではないか?と個人的には考えます。そして少々荒療治になりますが、浦田教授がご指摘のようにTPPの枠組み内で国際競争に勝ち抜く企業を育てる(=勝てない企業にはご退場いただく)必要があるのではないでしょうか?これは日本の株式市場も同じで、いつまでもゾンビ企業を延命させるのではなく、欧米のように競争力のない企業にはレッドカードを突きつけるくらいのシビアさがこれからの日本には求められるのかも知れません。いずれにせよ一刻も早く手を打たないと農業従事者の高齢化は待ったなしです。TPPが日本の農業大転換のきっかけになればいいですね。

以上で山崎バズーカ第14弾炸裂はすべて終了です。次回はいつになるのか分かりませんが、どうぞお楽しみに。

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