2018 04 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. »  2018 06

歴史的役割の終焉

kage

2017/10/07 (Sat)

今回のタイトルは直近の国内政治を巡る混乱から引用したものです。それは降って湧いたような突然の衆議院解散をきっかけに、曲がりなりにも野党第一党であった民進党があっけなく空中分解してしまったことを受け、「民進党はその歴史的役割を終えた」との論評を目にしたことでした。とはいえ本エントリーではその是非を論じるつもりは毛頭ありませんし、これ以上政治の話題に触れる気もさらさらありません(どこかで聞いたようなフレーズですが)。昨今のファンド業界においてもその歴史的役割の終焉を迎えつつある存在があるのではないか?というのが本エントリーで語りたい趣旨であります。

ご承知のとおりファンド業界においても来年からスタートするつみたてNISAを目前にして大きな地殻変動が起きつつあります。このつみたてNISAはいつまで経っても顧客本位の姿勢にはほど遠い金融業界に業を煮やした金融庁が強力に推し進めた制度であり、その導入により金融庁の悲願である「貯蓄から投資(資産形成)へ」の流れを加速したいのでしょう。しかしいつの時代も急激な時代の流れに付いて行けず、脱落してしまう存在は必ず出るもの。もちろんファンド業界も例外ではなく、かつて時代の先駆者として一つの分野を切り拓いたパイオニア(開拓者)が静かにその役割を終えようとしているようです。

その存在とはズバリ私自身もかつてお世話になったさわかみ投信です。ご承知のとおりさわかみ投信は独立系投信(あるいは直販系投信)の草分け的存在であり、今のセゾン投信やレオス・キャピタルワークスがあるのもさわかみ投信があったればこそと言っても決して過言ではありません。しかし10月2日付で同社のサイトに掲載された「つみたてNISAに関しまして」を拝読して、私は同社の歴史的役割もそろそろ終わりを迎えるのではないか?という印象を受けました(あくまでも個人の感想です)。このニュースリリースには3ページに渡ってかなりの文字数が費やされていますが、一言でまとめるならさわかみ投信はつみたてNISAに対応しないと書かれています。文面には建前上の未対応理由がくどくどと書き連ねられていますが、ハイリスク投機家を自認する私としてはどうしてもその裏側に隠れている本音を読み取ろうと無駄な努力をしてしまいます。その結果私は下記の一文に本音が隠れているのだろうと考えました。

“つみたてNISA”に割かれるだろう経営資源・人的リソースを本業に集中化することで、皆様のさわかみファンドのさらなる飛躍を目指します。


つみたてNISAなどの新たな制度が始まると、金融機関はその対応のためシステム開発や受付対応にかなりの費用やマンパワーを割く必要があります。これが大手金融機関系列の運用会社ならいざ知らず、会社の規模が小さいいわゆる独立系投信にとっては一歩間違えれば経営状態を左右しかねない大きな負担になることは想像に難くありません。それがNISA、ジュニアNISA、つみたてNISAと矢継ぎ早に来るのですから、正直なところ「いい加減勘弁してくれよ!」と思っていることでしょう。それでも都民ファースト(政党の方はゴタゴタしているようですが)ならぬ顧客ファーストを掲げている以上は対応せざるを得ないのが苦しいところです。しかしながら決して少なくはないコストや労力をかけて新制度に対応しても実際に顧客が選ぶのは圧倒的に大手が多いため、純粋に投資として考えるならさわかみ投信のように未対応という経営判断もあるでしょう。それでも私はやはり顧客ファーストを掲げている以上は無駄と分かっていても対応すべきだったと考えます。現行NISA制度にはメリットとデメリットがあり、万人にお勧めできるものではないことは私も否定しません。しかしそのメリットとデメリットを総合的に判断して最終的にどの制度を選ぶのかを決めるのはあくまでも顧客であるべきです。そこで運用会社や販売会社に求められる役割は予断なく万難を排して新制度に対応し、顧客に新たな選択肢を提供することではないでしょうか?この観点から私は、望めば対象になる可能性が高かったつみたてNISAへの対応を自ら放棄したさわかみ投信の歴史的役割は終焉に向かっていると感じた次第です。

ところで、つみたてNISAについてはセゾン投信の中野社長も一言あるようですね。今月の「セゾン投信 NEWS LETTER」(リンク先はPDFファイルです)の冒頭に掲載された長期投資仲間へのメッセージを拝読すると、いろいろとご不満が蓄積しているご様子。特に文末の「セゾン投信は2つのアクティブファンドの提供を通じて圧倒的な成果を追求してまいります!」という表現には半ばやけっぱちになっている印象すら受けました。ご承知のとおり金融庁から発表されたつみたてNISA対象リストを見ると、インデックス運用であるはずのセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドがアクティブファンド枠に入っています。初めてこのリストを目にした時、私は信託報酬の制限をクリアできなかったのかな?と思ったのですが、告示で定める信託報酬率の上限は0.75%(税抜き)ですのでコストが理由ではありません。似たような運用方針の世界経済インデックスファンドもアクティブファンド枠で、新規設定のSMT世界経済インデックス・オープンがインデックスファンド枠に入っていることから、おそらく資産配分において時価総額比率にしてもGDP比率にしても現実に即した正確な連動を目指した運用でなければアクティブと見なされてしまうようですね(もし間違っていたらごめんなさい)。ですから中野社長も「2つのアクティブファンド」と開き直るしかなかったのでしょう。

本来であれば規制当局の金融庁がファンドの中身にまであれこれと口を挟んで絞り込みを行うべきではないと私も思います。しかし上記メッセージの中で中野社長も指摘しておられるとおり、これも長年に渡り顧客の利益をないがしろにしてきたファンド業界が自ら招いた結果であり、ある意味自業自得とも考えられます。そのとばっちりを受ける形でセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドにアクティブファンドのレッテルを貼られることには中野社長も納得いかないでしょう。しかしそれでも3ヵ月後の年明けには否応なくつみたてNISAがスタートするのです。そのラインナップの中にはこちらのエントリーでも触れた「楽天・バンガード・ファンド」シリーズの2本も入っており、現実的にセゾン投信にとってかなりの脅威となりそうです。そう考えるととセゾン投信も安穏とはしていられません。そこでつみたてNISAスタートに向けた拡販対策の第一歩として地方銀行3社との提携を発表しました。しかし、この程度では所詮焼け石に水です。残り時間は限られていますので、矢継ぎ早に二の矢、三の矢を繰り出さないとセゾン投信も外部環境の急激な変化により歴史的役割の終焉を迎えかねないのではないか?と私は結構本気で心配しています。願わくば私の不安が杞憂に終わりますように。

(Sponsored Link)

関連記事

コメントフォーム

kage


URL:




Comment:

Password:

Secret:

管理者にだけ表示を許可する

この記事へのトラックバック