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もしもデパ地下でファンドを販売したら

kage

2017/09/23 (Sat)

今回のタイトルは決して冗談ではありません。かと言って現実でもありませんが。これは一つの例え話であり、本エントリーを書こうと思い立ったきっかけはファイナンシャルジャーナリスト竹川美奈子さんの下記のつぶやきでした。


ひふみ投信の基準価額が高すぎて危険という発想は誤解であるという話題はつい先日も「老いも若きも皆等しくその細胞年齢は3歳に満たない」で触れたばかりですが、改めて不肖この私がタイトルに掲げた例え話を駆使してこの根強い誤解の解消に挑んでみましょう。

それではここからが本題です。ご覧のとおり本エントリーのタイトルは「もしもデパ地下でファンドを販売したら」ですが、デパ地下といえば食料品ということで、今回はファンド(投資信託)をお総菜に見立てて例え話を進めさせていただきます。皆さんもぜひデパ地下でお総菜を買うつもりになって以下のようなシチュエーションを想像をしてみてください。

ここはとあるデパートの地下にある食品街。そこに出店しているレオス・キャピタルワークスという名のお店は少し前にテレビ番組で紹介されたことをきっかけに行列のできる人気店となりました。このお店では3種類のお総菜を販売しています。それは発売開始日が古い順にひふみ投信、ひふみプラス、ひふみ年金というどう考えてもお総菜らしくないネーミングになっています。しかしどれも実際に食べてみると思っていた以上においしいという感想が口コミで広がり、お店の人気に拍車を掛けています。それでは実際にショーケースの中をのぞいてみましょう。それぞれの商品の前に置かれている値札には以下のように書かれていました。

・ひふみ投信  1口4.4320円(1万口44,320円)
・ひふみプラス 1口3.6103円(1万口36,103円)
・ひふみ年金  1口1.3261円(1万口13,261円)


ところがこの3商品はいずれも見た目がそっくりで外見だけでは違いが分かりません。そこで店員さんに「これらはどう違うのですか?」と尋ねてみたところ、返ってきたのは「何も違いはありません。まったく同じものです。」という予想外の答でした。ただ厳密にはおまけの仕方に違いがあるとのこと。すなわちひふみ投信は古いお客さまほどたくさんおまけがもらえ、ひふみプラスはたくさん売れるほどおまけがもらえ、ひふみ年金は始めから無条件で少しだけおまけを付けているそうです。しかし中身自体にはまったく違いはありません。厨房の中でファンドマネージャーならぬ総菜マネージャーが厳選した旬の食材を使って、日替わりで「今日はこれがベスト」と考える総菜を作り上げているのです。ですからこの店の3商品はその日の中身はまったく同じでも、その内容は日々異なり、値段も時価となり日々変わるのです。

しかし中身がまったく同じなのに値段が違うのはどう考えても納得できません。そこで店員さんに「同じ中身なのになぜ値段が違うのですか?」と尋ねてみたところ、返ってきたのは「それは1口の量が違うからです」という明快な答でした。そこで店員さんにお願いして実際の量を見せてもらうと、ひふみ投信の1口と比べてひふみ年金の1口は約1/3の量に過ぎません。これを分かりやすく言えば、ひふみ投信の1口が大さじ1杯(15cc)だとすれば、ひふみ年金の1口は小さじ1杯(5cc)ということになります。「でもこれでは購入する時に混乱しませんか?」と店員さんに素朴な疑問を投げかけてみたところ、返ってきたのは「安心してください。当店では金額販売にも対応しておりますので。」という回答でした。すなわちこれらの3商品の内からどれを選んだとしても、1万円分購入すればまったく同じものが同じ量だけ買えるのです(だたしおまけ部分は除く)。ですからもしあなたが毎月1万口の買い付けを行うと決めているのであれば基準価額が高いから買いにくいという理屈になるのも理解できますが、毎月1万円の買い付けを行うと決めているのであれば1口あたりの単価を気にする必要はまったくありません。もし竹川さんが例示されたように「ひふみ投信は基準価額が高いから口数がちょっとしか買えなくて損だ」と思っている方が実際にいるとしたら、「それなら基準価額が安いひふみ年金を買えばいかがですか?」と私は申し上げたいです。しかし繰り返しになりますが、どちらを1万円分購入してもまったく同じものが同じ量だけ買えるのですが(だたしおまけ部分は除く)。そしてその後の運用成績にもまったく変わりはありません(こちらもおまけ部分は除く)。

これは「老いも若きも皆等しくその細胞年齢は3歳に満たない」にも書いたことですが、投資信託の基準価額は単に過去の実績を積み重ねた結果に過ぎませんので、数字だけを単純比較しても意味はありません。例えばひふみ投信の現時点における基準価額44,320円は設定から9年(8日後の10月1日で満9年となります)で受益者から預かった資産を4.432倍に増やしたという実績を示しているに過ぎません。ひふみプラスやひふみ年金は運用年数が短い分だけ基準価額も低くなっているに過ぎないのです。他の投信についてもそれぞれ運用年数は異なりますので、基準価額を単純比較することに意味はありません。アクティブファンドで重視すべきは過去1年、3年、5年、10年など同じ条件下でどれだけ増えたか(あるいは減ったか)の比較であり、インデックスファンドで重視すべきは同じ条件下でベンチマーク指数にどれだけ正確に連動できたかの比較なのです(単純なコスト比較ではありません)。そういえばインデックスファンドにおいても同じベンチマーク指数を採用するもので基準価額に大きな差がある事例が普通に存在していますが、こちらからは「基準価額が高いから買いにくい」という声が聞こえてこないのは不思議ですね。

いずれにせよ私たち個人投資家が「基準価額が高いから買いにくい」とか「基準価額が安いからお買い得」といった誤解に囚われている内は、そこを回転売買による手数料稼ぎを目論む悪徳金融機関に付け込まれていいカモにされてしまう危険性が高まる点にくれぐれもご注意ください。

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