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ひふみ投信 Ver.2.0

kage

2017/07/01 (Sat)

そもそも本エントリーは6月15日付の「ひふみ投信の銘柄選択に最強AIを活用?」に引き続きマネックス証券のインタビュー記事をネタにするつもりで準備しておりました。しかしその中身を書き進める時間と気力が不足しているという理由(言い訳?)でこの一週間ズルズルと放置を続けている間にひふみ投信に関する気になる話題が続々と噴出する事態となったため、心機一転タイトルも改め(当初はインタビュー記事に合わせて「日本経済復活の提言」という仮のタイトルを付けておりました)「ひふみにまつわるエトセトラ」の続編というイメージで書き進めたいと思います。それではまず長らく放置していた下記の話題から始めましょう。

藤野英人氏インタビュー第3弾 日本経済復活の提言編

なおこの件については藤野さんご本人もTwitterでこうつぶやかれていました。



このネタは長らく放置してしまったためいささか賞味期限切れ気味であり、この後に詳しく触れたい話題もあるため、意図的に駆け足でご紹介を済ませることをお許しください。

藤野さんがおっしゃりたいのは「カンブリア宮殿 野次馬視聴記」でも触れた「投資は悪」という考え方はそもそもあり得ないということであり、加えて今回のインタビューでは最近の若者たちに「労働はイヤだ、労働は悪だ」という思考が蔓延していることを懸念しておられます。これにより“「労働は悪」と思っているから「会社は悪」で、「会社は悪」だから「投資も悪」だと思ってしまう”とのこと。確かに世の中には収入を得るために好きでもない仕事を嫌々続けている事例も少なからずあるでしょう。しかし「労働はイヤ」と感じる理由の多くはもしかすると残業が多い、休めない、給料が安いといった労働条件に起因するものかも知れません。そして違法に従業員を酷使する「ブラック企業」が実際に少なからず存在することもこの悪循環に拍車をかけているのでしょうね。しかし長い目で見れば違法なブラック企業はいずれ淘汰されるはずです。純粋に労働だけを切り取ってみれば、働くことで対価を得られているということはすなわちその労働に価値がある(社会的に求められている)ことに他なりませんので、私たちは好き嫌いは別にしてもっと冷静かつ客観的に自分の仕事を見つめ直すべきなのかも知れませんね。

あとしがないハイリスク投機家に過ぎない私が僭越ながら一言付け加えさせていただくなら、日本経済復活のためには職業に貴賎なしという意識の定着も欠かせないと感じます。旧ライブドア全盛期の2005年頃に特に顕著だったのが「額に汗して働くことが何よりも尊い」という認識であり、その対極として「お金を動かすだけで稼ぐことは卑しい」というイメージが社会に広く定着してしまいました。しかし実際の経済活動を俯瞰して見れば、自ら額に汗して働くことも、自分の代わりにお金に働いてもらうことも、どちらも同じように重要であることがご理解いただけるでしょう。そもそも不動産投資で家賃収入を稼ぐ「大家さん」には何の違和感も覚えないのに、株式投資や債券投資でリターンを稼ぐ「投資家」だと怪しさ100倍どころか1万倍という風潮はいかにもおかしくありませんか?ですから私にとっては「職業は投資家です」と堂々と名乗れる世の中になることが将来の理想です。

「駆け足で」と書きながら最初の話題が少々長くなってしまいました。次の話題は以前から予告されていたひふみ投信の米国株組み入れがついに実現!です。これは6月21日発行のひふみ投信6月度中間報告に掲載された藤野さんのコメントにて言及があったもので、その内容をザックリとまとめると以下のとおりです。

・米NASDAQ急落のタイミングで米国株への投資を開始した。
・複数社に投資可能性はあるが、今のところ全体の10%以内で考えている。
・あくまでも日本の超大型株への投資の代替という位置付け。


なお組み入れ銘柄数については藤野さんご本人がTwitterでこうつぶやかれていました。


経営破綻したタカタ、上場廃止の瀬戸際にある東芝、子会社の不適切会計が発覚した富士フイルムなどの事例を見るまでもなく、日本の大企業の多くがいわゆる「大企業病」に蝕まれていることは否定できませんので、国内超大型株の代替として米国株を組み入れるという判断は一つの選択肢として大いにアリだと私は思います。日米に限らず大型株であれば企業訪問による足で稼ぐスタイルも必要ありませんからね。新たに為替リスクを負うことは確かに懸念材料ですが、米国株は日本株より圧倒的にROE(自己資本利益率)が高いことも厳然たる事実ですので、投資先としては決して悪くない選択ではないでしょうか?こうなると具体的な組み入れ銘柄名が気になるところですが、とりあえずは6月度の月報(ひふみのあゆみ)が発行されるのを楽しみに待ちたいと思います。

さて次は昨日突然発表された下記の話題です。

テラ、ひふみ投信を割当先に第三者増資 研究開発に充当(日本経済新聞電子版より)

この件についてはひふみ投信運用元のレオス・キャピタルワークス社からも下記のニュース・リリースが出されております。

テラ(2191)第三者割当増資 引受けのお知らせ

「第三者割当増資」という言葉は個別株投資の経験者であればよく耳にするのですが、投資信託の世界では珍しいですよね。その仕組みをザックリとご説明すると、新たに発行した株式を特定の第三者に割り当てて購入してもらう資金調達法です。もっと分かりやすい実例をご紹介するなら、セゾン投信が日本郵便に第三者割当増資を実施して8億円を調達したのと同じ仕組みです。ちなみに今回の第三者割当増資によりテラが調達する資金は9億8,200万円ですので、セゾン投信の案件より大きなお金の動きがあったことになりますね。とはいえ昨日時点のひふみマザーファンドの純資産総額は2,684億円ですから、今回の出資は全体の0.366%程度に過ぎず「ほぼ大勢に影響なし」といえそうです。なおテラ側の開示資料によると、ひふみマザーファンドはすでに議決権3.0%相当の株式を保有しており、それが今回の第三者割当増資により14.42%に拡大するようです。これによりひふみマザーファンドは社長に次ぐ第2位の大株主となりました。

今回の出資先であるテラは赤字決算が続いており、私の個人的な印象はゴーイングコンサーン(継続企業の前提)に疑義ありです。そういう意味では「ひふみ投信が運用方針を転換?」でご紹介したカイカへの投資と同じ「企業再生投資」という位置付けなのでしょう。テラが取り組んでいるのはガン治療であり、私自身がガン患者という立場ですのでその成功を心から願っているのですが、ご承知のとおり「企業再生投資」は究極のハイリスク・ハイリターンですので、この投資は「当たるも八卦当たらぬも八卦」というのが現実のところでしょう。ただもし当たれば超絶でかい場外ホームラン級となることもまた事実です。しかし当たる確率はかなり低いため、まずは数を打つことが大切で、これからも似たような案件が続々と出てくるのではないでしょうか?投資信託が第三者割当増資を引き受けるという手法にはおそらく賛否両論があるとは思いますが、個人投資家がやろうと思ってもできないことは事実ですので、投資手法の幅を広げるという観点から私は前向きに評価しております。基本的に私は、可能な限り運用に制限を設けない「フリーハンド運用」を希望しておりますので。

最後はこちらも昨日付でニュースリリースが出されている下記の話題です。

一般社団法人 投資信託協会 理事就任について

ちなみにセゾン投信からも似たようなニュースリリースが出ていました。

一般社団法人投資信託協会理事就任のお知らせ(注意:リンク先はPDFファイルです)

上記リンク先をご覧いただければお分かりのとおり、昨日付でレオス社の藤野さんとセゾン投信の中野さんが一般社団法人・投資信託協会の理事に就任されたとのこと。私自身両社の顧客として心よりお祝いを申し上げます。投資信託協会のサイトに掲載されている協会役員名簿(注意:リンク先はPDFファイルです)を見ると名だたる運用会社名がズラリと並んでいますが、ここにいわゆる独立系投信のメンバーが食い込んだ意義は決して小さくないでしょう。ご両人にはぜひ旧来の慣習(あえて辛辣な表現をお許しいただけるなら「悪弊」)を突き崩す楔(くさび)となっていただけますよう、陰ながら応援しつつ大いに期待しております。

以上、ひふみ投信にまつわる最近の話題について触れてきました。これらの動きを見て私はひふみ投信は確実にバージョンアップしているのだなという印象を受けました。これが本エントリーに掲げたタイトルの由来です。アクティブファンドの運用資産が膨らむと必然的に投資対象の分散が進み、結果的に「疑似インデックスファンド」化してしまうというジレンマから脱却するためには新たなチャレンジが必要不可欠です。しかしそのチャレンジは無残にも失敗してしまうかも知れません。ひふみ投信がバージョンアップを図ろうとしているこの段階で「ここが限界だ」と判断して縁を切るというのもそれはそれであり得る判断でしょう。しかし私はひふみ投信設定以来のご縁ということもあり、今のところは「せっかく乗りかかった船なのだから行き着くところまで見届けたい」という気持ちです。果たしてこの判断が吉と出るのか、それとも凶と出るのか、それは「神のみぞ知る」ですが、運用チームの皆さまにおかれましてはぜひ心おきなく、思う存分バージョンアップにチャレンジしてください。

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