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ひふみ投信が運用方針を転換?

kage

2017/05/03 (Wed)

4月15日付の「ひふみ投信定期積立経過報告」の中でも触れたとおり、私はひふみ投信の投資動向をいち早くキャッチするために運用元のレオス・キャピタルワークス株式会社が提出する大量保有報告書を常にチェックしております(金融庁の「EDINET」で誰でも閲覧できます)。ちなみに大量保有報告書とは新たに上場企業の発行済株式総数の5%以上を取得した際に提出を義務付けられている報告書のことで、その保有比率から「5%ルール」とも呼ばれます。なおこの義務は機関投資家だけでなく個人投資家にも課せられていますので、該当した際には報告をお忘れなく。現実的には個人投資家がこの5%ルールを気にする必要はほとんどないはずですが、例えば小型株を大量に売買するカリスマトレーダーなら一時的に該当することがあるかも知れません。もし大量保有報告書の提出を怠ったり虚偽の報告をすれば課徴金が課せられますので、「個人投資家は関係ない」と甘く見ることのないようくれぐれもご注意ください。

少々脱線してしまいましたので話題をひふみ投信に戻します。昨日(5月2日)付でレオス・キャピタルワークス株式会社が提出した大量保有報告書を見て私の脳裏に浮かんだのが今回のタイトルに掲げた「ひふみ投信が運用方針を転換?」でありました。

昨日(5月2日)付でレオス・キャピタルワークス株式会社が提出した大量保有報告書は下記の2社に対するものでした。

・株式会社ほぼ日(保有比率:5.08%、上場市場:JASDAQ、証券コード:3560)
・株式会社カイカ(保有比率:6.79%、上場市場:JASDAQ、証券コード:2315)


「ほぼ日」はコピーライターの糸井重里氏が創設したサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」で自社企画手帳などを直販する会社で、2017年3月16日に新規上場を果たしたばかりです。このほぼ日とひふみ投信の関係といえば、新規上場を控えてほぼ日が提出した「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」の中で同社がひふみ投信を保有していることが明らかになり、ネット上の一部で話題になったことを個人的に思い出します。ご参考までに該当部分(80ページ)を下記に掲載しておきましょう。

P.80

昨年8月末時点の評価額はご覧のとおり2億9,211万7千円ですが、この投資口数を現在の基準価額で評価し直すと時価で3億6,691万1千円ということになりますね。ちなみに同社の第2四半期決算短信に掲載されている貸借対照表を見ると2月末時点で投資有価証券として3億5,531万6千円が記載されていますので、少なくとも2月末時点では保有を続けていたと思われます。藤野さんと糸井さんの間に個人的な親交関係があることは私も存じ上げておりましたが、ほぼ日がひふみ投信を保有するに至った理由がその個人的なつながりであったかどうかまでは分かりません。いずれにせよこの大量保有報告書を見てまず私が心配になったのは、「コンプライアンス(法令遵守)上の問題はないのだろうか?」という点でした。そこで念のためにひふみ投信の投資信託説明書(請求目論見書)を調べてみたところ、98ページにある「利害関係人との取引制限」の中に抵触しそうな記述は見付かりませんでした。冷静に考えてみれば、これがアウトになるのならかつて国内株式市場の閉鎖性を示す象徴として指摘されていた株式の持ち合いなどはもっとあからさまでしたので、この程度であれば法令上まったく問題ないのでしょうね。とはいえセゾン投信が日本郵便の出資を受けて事実上40%国営ファンドになった時のように、「道義的にどうなのよ?」とは思わないでもありませんが。このような観点から今回のほぼ日に対する投資はいつもより「監視の目」が厳しいであろうことは想像に難くありません。その点はぜひ運用チームの皆さんも覚悟しておいてください。ほぼ日に新規投資した理由が藤野さんと糸井さんの個人的関係やひふみ投信の保有でないことは私も重々承知しておりますが、そのような疑念を抱かせないためにも後は結果で示すしかありませんね。

結果といえば大量保有報告書に掲載されている過去60日間の売買結果も興味深いです。これを見ると新規株式公開(IPO)で2,000株を取得していることと、そのすべてを新規上場初日に売却していることが分かります。もし初値で売ったと仮定するとその売却益は、(5,360円-2,350円)×2,000株=602万円となりますね。しかし私が個人的に「上手いなぁ」と思ったのはむしろその後の売買でした。まずはSBI証券のサイトからお借りしてきたほぼ日の新規上場来の株価チャートをご覧ください。

ほぼ日

矢印を付けたところが1万株以上の厚い買い付けを行った日です。ちなみに一番左の矢印がある3月28日が最初の買い付けで、一日としては最大となる22,100株を市場内で購入しています。そして右側の4月24日~26日はいわゆる「持ち合い上放れ」を追撃買いしているのですが、これは「持ち合い放れにつけ」という相場格言が示すとおり個別株投資のセオリーに沿った行動です。ところがこれが「言うは易く行うは難し」の典型でもあるのですよ。株価が急騰した局面を強気で買い向かうことは心理的に決して簡単なことではありませんので。なおこの両矢印の間も(ほぼ日に掛けたわけではないのでしょうが)ほぼ毎日数千株をコツコツと買い進めており、結果的に現状でこの投資は結構な含み益を抱えているはずです。

ほぼ日に対する大量保有報告書から私は、今後ひふみ投信は新規株式公開(IPO)や公開後のセカンダリーマーケットにも積極的に取り組んでいくつもりなのだなと判断しました。とはいえ新規上場直後の銘柄への投資は過去にも事例があったことも事実です。私が本当に驚いたのはむしろ次のカイカに対する投資でした。何をそんなに驚いたのか?と申しますとズバリその株価です。論より証拠でSBI証券のサイトからお借りしてきたカイカの過去10年チャートをご覧ください。

カイカ

ご覧のとおり現在の株価は100円を下回る60円です。この株価から私が受けた第一印象は、ゴーイングコンサーン(継続企業の前提)に疑義ありでした。事実SBI証券のサイトに掲載されている四季報情報を見ると、昨年9月に特設注意市場銘柄(現時点で東芝が入っています)から解除されたばかりで、現在も経営再建中とのこと。上記10年チャートも典型的な「ボロ株」のものであり、ひふみ投信がまさかこんな銘柄に投資するとは!と正直大いに驚きました。すなわちこれは、これからのひふみ投信は企業再生にも積極的に取り組むということですよね?「事業再生ファンド」という位置付けは同じ直販系の鎌倉投信が一度経営破綻した池内タオル(愛媛県今治市)の経営再建に手を貸しているのと同じように思えます。ただしおそらくひふみ投信は上場企業に限定して磨けば光る「ボロ株」発掘をするつもりなのでしょうね(あくまでも私の邪推ですが)。あと個人的に興味があるのは今回の株式取得の相手が誰なのか?という点です。大量保有報告書を見るとすべて市場外で取得していますので。今のところカイカのIR情報を見てもそれらしき記載はありませんので、とりあえず連休明けの続報を待ちたいと思います。

中小型・新興銘柄の運用を得意にしているひふみ投信にとって運用資産の増加は痛し痒しの一面がありました。これを打開する一つの方策としてかねてより米国株の組み入れを検討する旨が公表されていました。しかしご承知のとおりひふみ投信の強みの源泉は運用担当者自らが企業を訪問する「足で稼ぐ」スタイルであり、「果たして米国株でも可能なのか?」という不安が私にもありました。それが今般のIPOや企業再生であれば問題なく現状のスタイルを踏襲できるため受益者が抱く不安も格段に軽減されるでしょう。個人的にはここからさらに一歩踏み込んで、上場前のベンチャー企業に対する投資にまで守備範囲を広げてもいいとさえ思っています。この分野はかつてレオス社に在籍していたカリスマトレーダーの片山晃さん(五月さん)が取り組んでおられます(おられました?)ので、新たなコラボの可能性もあるのでは?と勝手に妄想しております。いずれにせよ私個人としては「守りながら増やす」の基本運用方針さえ堅持してくだされば、あとはどのような手段を使っていただいてもまったく文句はありません。ただしアクティブファンドの評価は良くも悪くも結果がすべてです。ですから新たな投資の経過についても継続的にチェックして言いたいことは腹蔵なく言わせていただきますので、何卒ご了承ください。

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この記事へのコメント

kage

はじめまして、カイカの大量保有については驚きました。
今、SBI証券でカイカの評価を見てもPER40近くありますね、各社ビットコインに行く流れに乗っていますがカイカさんもここに乗ってきているようですね。

ビットコインも業者が多すぎて何が成功するのか、最後には2,3社しか残らないと思いますが国内に地銀や信金がたくさんあるように助け合って生きてはいけないような気がしています

ひふみ投信で検索してこちらのブログに伺いました

Posted at 09:07:56 2017/05/04 by 矢向

この記事へのコメント

kage

矢向さん

コメントありがとうございます。
「はじめまして」ではなく「お久しぶり」ですね。
約6年前に何度かコメントをいただいておりますので。

http://oyajidancer.blog22.fc2.com/blog-entry-849.html
http://oyajidancer.blog22.fc2.com/blog-entry-865.html

企業再生投資は経営危機に瀕した企業を対象にするわけですから、言うまでもなく超ハイリスクです。しかし一方で当たればでかい(超ハイリターン)ことも間違いありません。株価100円以下の銘柄であれば総投資額もたかが知れていると思いますので、とりあえず数を撃ってみて一発当たるのを待つのも面白いかも知れません。そうして投資経験を積めば、これが新たなひふみ投信の強みになる可能性もありますしね。

Posted at 12:00:15 2017/05/04 by おやじダンサー

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kage


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