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山崎バズーカ第七弾炸裂

kage

2017/04/08 (Sat)

経済評論家の山崎元さんがTOKYO MX(正式名称は東京メトロポリタンテレビジョン)の番組に出演された際の歯に衣着せぬご発言の数々をご紹介するこのシリーズも回を重ね、今回で第七弾となります。実は今回山崎さんが「田村淳の訊きたい放題!」(リンク先は番組公式サイトです)にご出演されたのは、ちょうど1週間前の4月1日(土)でした。そこで当初は翌日の日曜日にでも記事にしようと思っていたのですが、実際に放送された内容は今回の相棒(もう一人のゲストコメンテーター)であったジャーナリストの横田増生さん(アマゾンやユニクロにアルバイトとして潜入取材したことで有名です)の専門領域にかなり引っ張られる形となり、山崎さんお得意の投資を含む金融系の話題はまったく出てきませんでした。そこで一度は「今回はお蔵入りかな?」とも考えたのですが、これまで続けてきたシリーズに穴を空けるのも残念ですし、放送された内容自体は大変興味深いものでしたのでブログネタにしないものそれはそれで惜しいと考え直し、1週間遅れでの公開となった次第です。

それでは今回も放送の一部を文字に起こしてご紹介させていただきます。なお毎度のご注意となり誠に恐縮ですが、以下に掲載する出演者のご発言は私の判断で多少言い回しを変えておりますので、ご本人の真意とズレてしまっている可能性のあることをあらかじめご承知置きください。

1週間のNEWSフラッシュの中で気になる話題は?と問われて山崎さんがまず挙げたのは「東芝 赤字1兆100億円」。

山崎さん:東芝は逮捕者も出ないし上場廃止にもならないのは不思議だなと思って気になっている。

そして次に挙げたのは「教育財源 自民で議論白熱」。

山崎さん:教育保険のような形にして保険料で財源を確保しようという議論があるようだが、本来お金には色が付いていないので新しい制度をゴチャゴチャ作らない方がいいと思う。今は増税しない方がいいが教育に対する財政支出は必要だ、と判断して国債を発行すればいい。これを教育国債と言う人もいるが、どのような名前を付けても赤字国債であることには変わりない。教育財源を国債で賄うことはデフレ対策にもなる。そして増税ができる環境になった時に増税すればいい。教育対策だから教育財源、他の支出であればそれ専用の財源、という考え方は止めた方がいい。

番組MCの田村淳さん:でも小泉さん(筆者注:自民党の小泉進次郎衆議院議員のことです)は専用財源の方がいいのではないかと言っているが。

山崎さん:おそらく赤字国債を出すことに抵抗感があるのだと思う。国債ではない財源を考えた方が真面目なのだというイメージがあるのだろう。これは財務省の官僚に刷り込まれたのだろうが、小泉さんを含めて多くの政治家がそう思っている。例えば新たに教育保険のような制度を作れば、教育保険運用基金のような組織ができて天下りの新たな受け皿になるだけ。だから制度をややこしくしない方がいい。まず財政支出の優先度を決めて、教育対策費としてこれだけ出すのだと言えばいいだけのこと。後はタイミングを見て増税するなり国債を発行するなりすればいい。

特集のテーマ「“社会インフラ”宅配便問題から“働き方”を考えよう!」について意見を聞かれて山崎さん:この問題全体を見ると、未払いの残業代が一番大きな問題だと思う。しかし世の中的にはどうも「アマゾンの仕事を受けると大変なんだな」という雰囲気になっている。(この状況を見て)ヤマト運輸の情報の出し方が上手だなとか上手く話をすり替えているなという気がする。例えば未払い残業代をキチンと支払っていたら業績も大変なことになり、もっと早く値上げ交渉をしていたかも知れない。これにより現在のような大問題に発展しなかった可能性もある。そもそもは残業代をキチンと支払え!という話なのだが、サービス残業がある働き方を前提にして経営者がそれに甘えていたということ。そこがこの問題を大きくしている。だからまずは残業代を全額支払った上でどのようなビジネスができるのかを考えるべき。さらにユーザーとして思うのは、日本の宅配サービスは確かに便利なのだが少々過剰サービスではないか?ということ。いくら時間指定配達や再配達をしてもらってもヤマトのドライバーさんはいつも感じの良い対応をしてくれる。その時ふと思ったのは、私がお金を払えばいいのではないか?ということ。例えば当日中の再配達を1回300円として、その内の200円はドライバーの取り分にするとか。一律無料ではないサービス体系を作る必要性があるのではないか?とはちょっと思う。

ヤマト運輸の未払い残業代だけで数百億円に上るという説明を受けて山崎さん:数百億円の残業代未払いという話になると、少し前に話題になった大手広告代理店のように「ヤマトはひどい!」という世論になってもおかしくない。

田村淳さん:でも報道されるニュースを聞いていると、アマゾンのせいでヤマトさんが大変なことになっているように感じる。

横田さん:ヤマトのサービス残業問題は今に始まったことではない。今から10年前の2007年にすでに労基署(筆者注:労働基準監督署のことです)の調査を受けている。その後何度も労基署に入られ、過労死の認定も出ている。それがなぜこのタイミングで是正に乗り出したのかというと、「このままでは第2の電通(筆者注:山崎さんはあえて社名を伏せていましたが横田さんはズバリ発言でした)になるのではないか?」という危機感がヤマトにあったため。

山崎さん:ある意味では労基署の責任というか、労働行政全体の責任という面もある。本当はもっと早く本社に調査に入るべきだったのかも知れない。いまだに入っていないが。数百億円の残業代未払いがあり、ビジネスの構造的な問題なのだから、そこはもっと早く行政が動いてくれたならとは思う。

田村淳さん:日本のすべての未払い残業代よりヤマト1社の未払い金の方が多いそうだが、そんなお金をドーンと支払って経営は大丈夫なのか?

山崎さん:山と(ヤマト)積まれた残業代ですね。

番組レギュラー出演者の鈴木奈々さん:おやじギャグ!

田村淳さん:上手いこと言わなくていいんです!(スタジオスタッフに向かって)笑っている場合ではないんですよ、上層部は。(筆者注:番組制作の現場もサービス残業が常態化しているそうですから。)

山崎さん:でも支払う残業代は2年分ですから。時効が2年なので。(筆者注:番組内の別のコーナーでこれに関連する補足説明がありましたが、労働者側の請求には期限はないそうです。あくまでも企業側の時効が2年というだけで、それ以前の請求に対応するかどうかは企業の自由とのこと。実際に時効以前の残業代が支払われた事例もあるそうです。)

横田さん:それでも2~300億円はいくと言われている。今年3月に終わった前期の利益が560億円と言われているので、その半分近くが飛ぶ計算。

鈴木奈々さん:それで(経営は)大丈夫なんですかね?

横田さん:大丈夫です。これまでのサービス残業で散々内部留保を貯めているので。

横田さんがヤマト運輸に取材を申し込んだところ「あと2年ぐらいはダメ」と断られた翌日の日経新聞に社長インタビューが掲載されたというエピソードに対して山崎さん:企業の広報の立場だと、日経新聞に自分たちの都合のいいことを書いて欲しいという気持ちがある。だから日経新聞だけ先に情報を出すこともあるし、取材相手によって態度を変えることも人間としては良くないことだが広報としてはよくある。

横田さん:サービス残業は経営者にとって麻薬のようなもの。一度打つと止められない。人件費をかけずに利益を上げられるのだから。サービス残業は粉飾決算のようなもの。

横田さん:私は佐川急便のベース(筆者注:荷物の仕分けを行う拠点のことです)でも1ヵ月働いた。夜の10時から朝の6時までで日給9千円以下。働いている人の半数は外国人。ここでは1台のトラックに800個の荷物を手積み・手降ろし。上手に隙間無く積まなければならないので4時間近くかかる。降ろす時は早いがそれでも2時間はかかる。だからドライバーは運転が一番楽だと言っていた。

日本の残業問題について山崎さん:先ほどのインタビューの中で「好きな仕事だから(仕方ない)」という答えがあったが、日本の官庁や企業にはやりがいがあればいいじゃないかと、やりがいを理由にサービス残業をさせている「やりがい搾取」のような事例が多々ある。とはいえ必要な残業もあるだろうし、電通のように午後10時に一斉に電気を消されるのも効率が悪いと思う。仕事の総量管理と残業代の完全支払いを徹底して、責任を経営者の方に持っていくことが大事。

田村淳さん:テレビ業界でもあるテレビ局では午後8時以降はAD(筆者注:アシスタント・ディレクター、雑用係的存在)に連絡を取ってはいけないというルールができたらしい。これで効率が上がるのか下がるのかよく分からない。このルールのせいで翌日の仕事量が増えるのではないか?という心配もある。

横田さん:日本人は仕事に完璧を求め過ぎる。これを95%~98%程度にするとずいぶん変わるのではないか?フランスなどは5%くらいうるさい客がいてもそんなものは放っておけという認識。それでも経済は回っている。完璧を求めて最後の1%までケアしようとするから、その1%にものすごい労力と時間がかかる。大変なクレーマーだったりするので。そこは捨ててもいいのではないか?と思う。

山崎さん:どんなことでも99%を100%にしようとする最後の1%がものすごく高くつくことはある。品質管理でもそうだし。それなりの対価を支払ってでも完璧を求めるのか?それとも95%でよしとするのか?経営者がハッキリと判断すべき。

横田さん:経営者が人件費にシビアな会社は要求も厳しい。私はユニクロで時給1,000円で働いたが、一刻たりとも手を休めるなと言われた。また午後10時までは店内に客がいるので走るなと言われたが、午後10時以降は逆に走れと言われた。最後まで走れと。だから皆走りながら商品整理をしている。

ユニクロで働いて一番いい思い出を教えてくださいという視聴者からの質問に対して横田さん:洋服を3割引の社員価格で買えたこと。10万円以上買わせていただきました。

田村淳さん:買わされるとも捉えられますけどね。でもユニフォーム(制服)がユニクロの服でなくてはいけないんですよね。

番組アシスタントの阿部哲子さん:こちらの本もご覧いただきたいと思います。(と横田さんの著書「仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン」を紹介。)



山崎さん:アマゾンに頼もうかな。

鈴木奈々さん:頼もー、頼もー。

以上、今回の「山崎&横田バズーカ」の数々はいかがだったでしょうか?私が本来「山崎バズーカ」に期待している投資系の話題は一切ありませんでしたが、今回のテーマである日本人の働き方問題にはやはり無関心ではいられません。私自身の経験でいえば、まだ若かりし頃に社内のあるプロジェクトに参画して毎日の残業や休日出勤が当たり前の状況が数ヵ月続いた時に、疲れが溜まって日々の仕事効率が低下する悪循環に陥ることを実感しました。それでもあらかじめ期間が決まっているプロジェクトでしたのでまだ耐えられましたが、現在の物流業界ではこれが1年365日続いて、しかもサービス残業が常態化しているのでは従業員の不満が爆発するのも理解できます(とはいえ一時期動画が話題になったように大切な荷物を投げてはいけませんが)。とりあえずはサービス残業前提という業界の悪弊を取り払うことが優先課題ですが、山崎さんが指摘されたように効率化優先で考えるとか、横田さんが指摘されたようなあえて完璧を求めない姿勢にも解決のヒントがあるような気がしました。例えば横田さんが体験されたようなトラックへの荷物の積み降ろしにしても、もしかすると倉庫によくあるカゴ台車ごと適当に積んで輸送の回数を増やす(=回転率を上げる)方が効率的かも知れませんしね。あと個人的にふと思ったのは、ヤマト運輸が規制の壁に阻まれてメール便事業からの撤退を余儀なくされたことも現在の苦境に陥った遠因かも知れないということです。メール便には再配達がありませんから。いずれにせよ投資家(株主)の立場で見ても、サービス残業というドーピングで利益を上げてもいずれ破綻を迎えますし、企業イメージも著しく傷付きますので、月並みではありますが顧客・従業員・株主・関連企業などすべてのステークホルダーが満足できるサービス体系の構築を目指していただきたいものです。

山崎バズーカ第八弾の炸裂がいつになるのかは分かりませんが、実現したらまたブログネタにさせていただきますのでどうぞお楽しみに。

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