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カンブリア宮殿 野次馬視聴記

kage

2017/02/19 (Sun)

昨日のエントリーでも触れましたが、2月16日(木)に放送されたテレビ東京系の経済情報番組「カンブリア宮殿」にひふみ投信を運用するレオス・キャピタルワークス社の社長兼運用責任者である藤野英人さんが出演されました。私も受益者の端くれとして、今回の放送をきっかけにひふみ投信やレオス社の認知度が高まることを大変嬉しく思っています。放送内容についてはいろいろな意見があるとは思いますが、「ひふみ」や「藤野英人」という名前が広く認識されるきっかけになったことは確かでしょう。このチャンスを生かせるかどうかはひとえに藤野さんを筆頭にしたレオス社一同の努力次第ですね。

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レオス社一同といえば、私は今回の放送で初めて同社の社員数が48人であることを知りました。この情報は同社のサイトにある企業情報には掲載されていませんので。なお年商約9億円の方は財務情報等で公開されている「正会員の財務状況等に関する届出書」の中にある損益計算書で知ることができます。それによると、前期(昨年度)の営業収益は8億9,409万4千円で、その内の約82%を信託報酬などの委託者報酬が占めています。そして最終的な純利益は1億2,501万3千円でした。

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ここまでの流れでお分かりのとおり、本エントリーは番組の内容を紹介するものではありません。番組を視聴しながら私が思い付いたことを単純に書き留めただけです。番組内容に興味がありながら見逃された方は2月23日(木)の次回放送までは番組の公式サイトで視聴可能ですのでぜひチェックしてみてください。またそれも見逃した方は下記公式サイトのバックナンバーに概要がありますのでご参照ください。

バックナンバー 2017年2月16日 放送
間違いだらけの"日本の投資"に変革を― 成長企業を見抜くカリスマが明かす投資術!
レオス・キャピタルワークス 社長兼CIO 藤野 英人(ふじの ひでと)


番組は冒頭からひふみ投信を買ったら2年でいくら増えたとか、3年で利益がいくらになったとか景気のいい話題が飛び交いました。しかしここでテレビ画面に向かって思わずツッコミを入れたのは私だけではないはずです。「それはひふみ投信ではなくひふみプラスでしょ!」と。実際に「ひふみ投信」というテロップ付で紹介されたのはひふみプラスのパンフレットでしたし(左の画像)。ただし「4年で2倍」の実例として紹介された右の画像は紛れもなくひふみ投信の管理画面でしたが。ちなみにこの数字は上から評価金額、購入金額、評価損益です。テロップで隠れているところには資産形成応援団応援金累計額が表示されるのですが、4年前に購入とのことで0円になっていました。

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番組では最後までひふみ投信とひふみプラスの違いについては言及されませんでしたが、まあこれも認知度が低いゆえの悲哀だと思って見過ごすことにして、ひふみプラスの実際の運用成績を確認しておきましょう。下記は左からYahoo!ファイナンスからお借りしてきたひふみプラス過去2年チャート、SBI証券のサイトからお借りしてきたひふみプラス過去3年チャート、そして番組で紹介されたひふみ投信と日経平均株価の比較チャートです(こちらは起点が2008年9月30日になっていますので、間違いなくひふみ投信のものですね)。

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ご覧のとおり、ザックリとした計算では過去2年で+25%、過去3年で+50%の運用成績になっています。ただし右の比較チャートを見ると、好成績の要因はアベノミクスであったことが一目瞭然ですね。ひふみプラスが設定された2012年5月28日はアベノミクス相場がスタートする半年前であり、タイミングにも恵まれたと言えるでしょう。思えばひふみ投信の船出もリーマンショックによる大混乱の真っ直中でしたので、こちらもタイミングには恵まれていました。もっともファンドマネージャーにとってはこのような運も大切なのかも知れません。「運も実力の内」と言いますからね。

これらのチャートを見て、「アベノミクスでひふみ投信より値上がりしたファンドはたくさんある」とか「個別株ならもっと儲かったはずだ」とのご意見もあるでしょう。しかし、だからといって「ひふみ投信はダメ」という結論にはならないはずです。例えばプロ野球で規定打席に達して打率3割ちょうどだった選手に対して「3割4分や3割3分打つバッターがたくさんいるのだからお前はダメだ」という評価にはならないでしょう?プロ野球という厳しい世界で打率3割の成績を残すことがいかに大変ですごいことかは改めて私などが説明するまでもなく皆さんよくご存じのことでしょうから。積極的に高いリスクを取って高いリターンを狙うことは誰にでもできます。それが上手くいけば実際に想定以上の高いリターンが得られることもあるでしょう。しかしひふみ投信の運用方針はリスクをコントロールしながら効率よくリターンを狙う「守りながらふやす」なのです。これを踏まえた上で過去の成績をどう評価するかは私たち受益者一人ひとりが判断すればよいことだろうと私は考えます。

また「儲かった人ばかりを選んで紹介するのはいかがなものか?」とのご意見もあるかも知れません。しかしこれについては仕方ない部分もあります。なぜなら昨日のエントリーにも書いたとおり、ひふみ投信の基準価額は番組放送前日の2月15日(水)に設定来高値となる37,943円を記録しているのですから。すなわちこれは番組放送時点でひふみ投信を買って損をしている人はほとんどいなかった(=ひふみ投信保有者はほぼ全員儲かっている)という現実を示しているわけです。ただできることなら購入時期に関係なく、設定からひたすら積み立て投資を継続している私のようなケースでも投資金額が2倍以上に増えたという事実についても伝えて欲しかったなとは思いました。

番組ではひふみプラスを販売する金融機関として髙木証券と千葉興業銀行の名前が出ていました。そこで余計なお世話ではありますが、番組で紹介された「ひふみで儲けた」皆さんがどのくらいの販売手数料を支払っているのか調べてみました。その結果が下記です。

髙木証券 購入時手数料 1,000万円未満:3.24%(税込)
千葉興業銀行 申込手数料 購入金額に2.16%(税抜2.0%)を乗じた額としています。

世の中には金融機関の担当者に相談して購入する投資信託を決めたいというニーズも少なからず存在するはずですから販売手数料を一概に否定するつもりはありませんが、投資信託業界でコストダウン競争が過熱している割にはいまだに結構取られるんですね。

スタジオでのトークの中で、個人的に興味深かったのが下記の場面です。

番組MCの村上龍さん「昔外資系を含めて大手の金融機関に勤められていて、すごい業績も良かったんですよね?」
藤野さん「そうです。」


この「そうです」という返事が間髪入れず、何の迷いもなく出てきたことで私は「藤野さんは根っからのファンドマネージャーなんだな」と感じました。私のような凡人であれば思わず「いえいえ、それほどでもありません」と謙遜してしまうでしょう。しかし実力がモノを言う運用の世界においては「自信なき者は去れ」くらいの厳しさがあるのでしょうね。顧客(受益者)にしてみても、あそこで下手に謙遜されたら「何だよ、全力で運用していないのかよ」と不信感を抱きかねませんので。

番組で紹介された朝日印刷や大塚家具と藤野さんの関係はひふみ投信設定以前にさかのぼります。しかしこれらの銘柄はひふみ投信にも組み入れられています。下記はひふみ投信の第8期運用報告書からの抜粋ですが、ご覧のとおり期末(2016年9月30日)時点では確かに保有していました。なお数字は左から前期末株数(千株)、当期末株数(千株)、当期末評価額(千円)です。

朝日印刷

大塚家具

今回の放送の中で、個人的に重要だと感じた藤野さんの言葉は以下の二つです。

北海道から沖縄まですごくいい会社がたくさんある。そういう会社を見付けてたくさん投資をしてその会社が伸びていくお手伝いをしたいし、それによって多くの人がまた喜んでいく循環を作りたい。これは全然きれい事ではなくて、そのように考えて行動することが実はすごくお金も儲かるし、投資される会社もハッピーになるので誰も損する人がいない。

「投資は悪」で「お金は汚い」と思っている人が多いのはとても残念。なぜなら僕ら(の生活)はすべて「投資」で成り立っている。株式投資も投資の一つだが、例えば今このスタジオにあるテーブルも誰かがどこかでリスクを取って工場を作り、そして従業員が生産している。(今自分が着ている)この服もそう。僕ら(の生活)はすべて誰かが投資をしてリスクを取ってそれで作られたものによって成り立っている。だから「投資は悪」(という考え方)はそもそもあり得ない。

前者についてはまさに藤野さんの言葉どおりきれい事ではなく合理的な判断であると私も思います。藤野さんが責任を負っているのは会社の経営でありファンドの運用ですので、いくら将来有望な企業であっても損得抜きに応援することはできません。これは後者にも通じることですが、投資の文化がなかなか根付かない日本においては将来有望な企業がなかなか育たない。そこに投資という形で手を差し伸べて実際に成長が実現すればレオス社やひふみ投信の受益者はその果実を受け取れる。さらにその企業の成長によって私たちの生活が便利になったり豊かになることで消費が拡大して経済成長が実現する。そうすればさらに投資の余力が増すという好循環を藤野さんは描いているのだと私は理解しました。番組で紹介されたユニクロもニトリもソフトバンクも最初は誰も知らないベンチャー企業でした。それが今の規模にまで成長する過程においては資金繰りが大きな問題だっただろうことは想像に難くありません。ひふみ投信がその一助になるのであれば、私も受益者として本望というものです。

後者に関してはテレビの歴史番組の請け売りですが、日本人のDNAに刷り込まれているように言われる「投資は悪」で「お金は汚い」という価値観はたかだか江戸時代に始まったに過ぎません。具体的には江戸幕府が統治の根幹に置いた朱子学に原因があるというのです。朱子学の根本は儒教(孔子の教え)ですので忠孝(主君への忠義と親への孝行)が重要とされます。幕府はこれにより謀反(むほん)はダメよ言いたかったのですが、オマケとして利殖は悪という価値観も付いてきてしまいました。ですから江戸時代の身分制度も士農工商となったわけです(農民や職人の下に商人が置かれた)。考えてみれば織田信長や豊臣秀吉は商業重視でした。さらにさかのぼれば日本に貨幣経済を定着させたのは平清盛でしたし、江戸時代以前の日本人にとって利殖は悪という価値観は一般的ではなかったのでは?と思えます。むしろ今の日本人にはバブル崩壊で痛い目に遭った苦い記憶や長く続いたデフレの時代で経済成長を実感できなかった悲しい現実が投資の普及を阻害しているのではないでしょうか?そういう意味では番組で紹介された「ひふみプラスの利益で旅行に行く回数が増えた」とか「ひふみ投信の利益で娘の大学進学費用を賄えた」というような成功体験を一つずつ積み重ねていくしかないのかも知れませんね。

番組では家計金融資産に占める投資の割合が日本は15%なのに対して米国は51%であると紹介していました。同時に訪日外国人客の「投資で儲けて日本に来た」という声も紹介していました。確かに「トランプラリー」の効果で米国株は先週末金曜日にもダウ平均株価・S&P500指数・ナスダック総合指数が揃って史上最高値を更新していますので、米国株に投資している米国人はウハウハでしょうね。だからと言って誰もが米国人並みにリスクを取るべきだとは思いませんが、米国において投資がもららす好循環が訪日観光客として日本にも恩恵をもたらしている(もちろん米国内で日本製品を買ってくれる人も増えるでしょう)事実も冷静かつ客観的に受け止めたいものですね。

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このインタビューに答えてくれたおじさんが奇しくも極めて大切な一言を残してくれました。それがこれです。

お金を投資しないと、経済が成長しないからね。

藤野さんは「失われた10年」や「失われた20年」という表現が大嫌いとのこと。なぜ「失った」と言わないのかと。この背景には何か不都合なことはすべて私以外の誰かのせいという受動態の思考があるとのご指摘でした。少子高齢化の急速な進行で経済成長が望めないこの国においては、誰かがリスクを取って成長の種を育てなければ明るい未来像は描けません。その誰かとは自分ではないと思っていたら、それは大きな間違いです。私たち一人ひとりが少しずつでもリスクを取って成長の種を育てることができたなら、この国の未来は必ずや明るい方向に変わるでしょう。一人ひとりが当事者意識を持って節電に努めた結果、東日本大震災後の暑い夏を原発なしで乗り越えられたのですから、投資で日本の未来を変えることもきっとできるはずだと今回の番組を見ながら妄想しました。

番組の最後であまり知られていないが将来有望な地方企業として藤野さんが挙げたのは東北を地盤とするドラッグストア「薬王堂」でした。私自身以前盛岡に滞在した時にホテルの1階が薬王堂で便利に利用させてもらったためその存在は知っていたのですが、この一言で放送翌日の株価がどう動いたのか気になって調べてみました。下記はYahoo!ファイナンスからお借りしてきた薬王堂の一週間チャートです。

薬王堂

ご覧のとおり木曜日まで順調に株価の上昇が続いていたのですが、金曜日は明らかに値が飛んでいますね。これが「ひふみ効果」なのか「カンブリア効果」なのかは分かりませんが、もし「ひふみ投信」への注目度が増して組み入れ銘柄が動意付くようなら受益者にも恩恵があるでしょう(保有株を高く売り抜けられますからね)。これは米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が買った株が「バフェット銘柄」として人気化するようなものです。そのような状況は藤野さんの本意ではないかも知れませんが、清濁併せ呑む株式市場では使えるものは何でも使えばいいのです。受益者としても「ひふみ銘柄」が人気化するほどの影響力を持ってくれれば嬉しい限りです。

以上で藤野さんが出演されたカンブリア宮殿を視聴しながら思い付いたメモ書きを順不同に並べた野次馬視聴記は終了です。実はこの形式は2015年5月12日付の『プロフェッショナル 仕事の流儀 「ファンドマネージャー・新井和宏」 野次馬視聴記』を踏襲したものでした。改めてあの時のエントリーを読み返してみると、NHKとテレビ東京の番組作りが大きく異なることに気付きます。もちろん局が違って番組も違うのですから違っていて当然なのですが、NHKは新井さんの過去の挫折(激務とプレッシャーで体を壊してしまったこと)を紹介したり番組で取り上げたあるベンチャー企業への投資案件が結局見送りになったりとネガティブな部分が入っていたのに対してテレビ東京は終始ポジティブ進行でしたね。今度は両者を入れ替えた放送も見てみたいなとふと思いました。

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