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リスクとリターン

kage

2017/02/04 (Sat)

今回のタイトルに掲げたリスクとリターンは、投資の世界に足を踏み入れた方なら誰でも頻繁に耳にすることになる単語です。分かりやすい例を挙げるなら、「高いリスクを取れば一攫千金も夢ではないが反対に大損する可能性も高まる(=ハイリスク・ハイリターン)」や「リスクを抑えれば大損する可能性を低減できるが反対に大儲けには期待できない(=ローリスク・ローリターン)」などがあります。このようにリスクとリターンは基本的に正比例の関係にあると考えてよいでしょう。ちなみにリスクは一般的には「危険性」という意味合いで捉えられますが、投資におけるリスクは損をする危険性を指すのではなく、想定リターンから上下に乖離する幅の大きさを指します。この振れ幅は時計の振り子やメトロノームと同じように、取ったリスクの大きさに応じて左右に(投資では上下に)同じだけ振れるものなのです。すなわち、高いリスクを取れば取るほどリターンの予測は困難になるわけで、そこが投資の難しいところであり醍醐味でもあるのかも知れませんね。「将来の値動きは誰にも分からない」が相場の真理である以上、自分が取ったリスクがどれほどのリターンをもたらすのか?についても結局のところは終わってみなければ分かりません。しかし一方で過去の実績を検証することは誰にでも簡単にできます。「過去の実績は将来を保障しない」という相場の真理もありますので、過去を振り返ってみても意味はないと思われるかも知れませんが、結果的にその投資対象は優れていたのか?(=自分の選択は正しかったのか?)を知ることは決して無駄にはならないでしょう。そこで今回は過去のリスクとリターンを視覚的に分かりやすく確認できる資料をぜひご紹介させてください。

その資料とはズバリ、ひふみ投信の月次報告書(ひふみのあゆみ)に掲載されている下記のグラフです。ちなみにこれは誰でも閲覧可能な簡易版には掲載されていないため本来ならここで公開すべきではないのですが、個人投資家にとって極めて有用な情報であると考えあえて掲載させていただきました(正直なところブログネタに最適だ!という思いもあります)。1月度の月報がまだ発行されておらず、昨年12月度の古い情報だということで何卒ご了承いただければ幸いです。

ひふみのあゆみ

ご覧のとおり、このグラフは縦軸がリターン(上に行くほど高いリターンが得られたことになります)で横軸がリスク(右に行くほど価格の振れ幅が大きかったことになります)となっており、リスクとリターンの相関関係を視覚的に確認することができます。このグラフにおいては右上に行くほどハイリスク・ハイリターン、左下に行くほどローリスク・ローリターンとなるわけで、水色で引かれた斜線がリスクとリターンが同じ数値になる位置を示しています。それでは具体的にどの位置にある投資対象が優れていたか?といえば、左上に行くほどローリスク・ハイリターンの理想型となり、反対に右下に行くほどハイリスク・ローリターン(投資の世界においては新興国国債のようにローリターンどころかマイナスリターンさえあり得るのが怖いところですが)の失敗型になります。これをザックリと表現するなら、水色の線より上に位置する投資対象が結果的に優れていたと判断してよいでしょう。この判断基準に照らし合わせれば、過去3年間で辛うじて合格点を獲得できたのは日本国債だけという厳しい現実が見えてきます。

このグラフにおいて最も分かりやすい比較事例は先進国株式と国内株式でしょう。ご覧のとおりリスクは同じ17.0%なのにリターンには差が生じています。さらに新興国株式のリスクも両者とほとんど変わらない(17.3%)にも関わらずリターンは圧倒的に低いことを考慮すれば、過去3年に限定した結果論では株式投資は先進国集中が正解だったという判断もできそうです。また債券投資に関しては水色の線の上側に位置する日本国債に対して先進国国債はリスクは3倍以上なのにリターンは劣後しており投資妙味は薄かったと判断できます。さらに新興国国債に至っては先進国国債よりリスクが高いにも関わらずマイナスリターンに沈む体たらくで、「投資する価値はなかった」と判断せざるを得ません。この結果だけを見るとインデックス投資家の間でも根強い支持を得ている「外債不要論」を裏付ける形になっており、興味深いですね。これらのアセットクラスに対してひふみ投信は投資効率(取ったリスクに見合うリターンを得たか)でこそ日本国債に後塵を拝したものの、各株式クラスと比較すれば圧倒的に優秀な成績を残したと判断して間違いないでしょう。

ただしこうなってくるとひふみ投信と他の投資信託を比較してみたくなるのが人情というもの。そこで私が自力でデータを集め、エクセルを使って独自の比較グラフを作成してみることにしました。そこで比較対象の候補に挙げたのが過去のエントリーでもたびたび触れてきた下記の面々です。

1.ひふみ投信
2.みのりの投信
3.さわかみファンド
4.SBI 中小型割安成長株ファンド(ジェイリバイブ)
5.セゾン資産形成の達人ファンド
6.セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド

ちなみに比較グラフ作成の元となるデータはすべてモーニングスターのサイトで調べることが可能です。なお期間はひふみのあゆみに合わせて過去3年間としました。

(過去3年間の実績)トータルリターン標 準 偏 差シャープレシオ
ひふみ投信13.2014.150.93
みのりの投信10.899.901.10
さわかみファンド6.6916.250.41
ジェイリバイブ24.7915.201.63
資産形成の達人8.6616.990.51
セゾンVGBF4.5911.400.40

ひふみ投信の数値がひふみのあゆみの資料と微妙に異なるのは上記データが最新のものであるためです(ひふみのあゆみは12月度分を使用)。そして上記データを元に作成したグラフが下記となります。

比較1

ご覧のとおり、ジェイリバイブが水色の線を大きく上方乖離する好成績を記録していることが分かりますね。これは取りも直さず投資効率が優れていることを示しているのですが、この投資効率を数値で判断する材料が上記表中にある「シャープレシオ」です。このシャープレシオは数値が上がるほど取ったリスクに対して高いリターンを得たことを示しており、実際にジェイリバイブの数値は他を圧倒しています。もうひとつ注目すべきはみのりの投信で、こちらも水色の線の上に位置しています。トータルリターンではひふみ投信に劣るものの、リスクは低く抑えられており、ひふみ投信の運用方針である「守りながら増やす」のお株を奪う運用ができている査証ともいえるでしょう。この両者に対してひふみ投信は水色の線の下側に位置している(=運用効率が悪い)点はマイナスポイントとなりますが、このところ設定来最高値を更新し続けている実績を考慮して合格点を付けてあげたいところです(完全に受益者のひいき目ではありますが)。これら三者に対して他の三者の成績は明らかに劣後しており、厳しく評価するなら落第と判断されても仕方ありません。もちろんこの成績は過去3年に限った結果論ではありますが、このような成績になったのにはそれなりの理由があるはずですから今後3年を占う際にもひとつの参考指標になるのではないでしょうか?

「シャープレシオ」は投資効率の優劣を数値で判断できる個人投資家にとっては誠にありがたい指標ですが、実はこのグラフを活用するとそれを視覚的に確認することも可能なのです。それが下記のグラフです。


比較2

ご覧のとおり水色の線の代わりに各投信のポイントと起点を直線で結んだものです。この直線が立っているほど投資効率が優れており、寝ているほど劣っていることが一目瞭然で判断できます。この結果はシャープレシオの数値と同じですが、こうして視覚効果を活用すると投資信託の優劣が直感的に判断できますね。個人的に衝撃的だったのは、私自身が設定以来毎月積み立て投資を継続しているセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドが高コストのインデックスファンドと揶揄されるさわかみファンドにさえ劣るという現実です。確かにインデックス投資ならほぼ確実に市場の平均点を取ることが可能ですが、結果的にその投資が効率的だったかどうかはまた別問題であることを私たちは客観的かつ冷静に認識しておく必要があるのかも知れませんね。

モーニングスターのサイトでは各投資信託ごとに1年・3年・5年・10年のデータを確認することができますので、ぜひ皆さんも気になる投信の実力を判定してみてください。

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この記事へのコメント

kage

限定的な比較やファンドの特質を無視した比較

セゾンVGBFへの落胆ですが、まず優秀なるアクティブファンドとだけ比べて負けを嘆くことに意味があるのでしょうか。人並みの女性よりもアイドル歌手の方が確かに美人ですが、世の中には人並み以下の女性も沢山いるように、セゾンよりも劣るクズいアクティブファンドもゴマンとあります。それとさわかみとの比較ですがここ3年の日本株の好調を踏まえれば、例えば外債にも投資するセゾンの劣後は比べる前から明らかです。でもリスク分散の意味からはセゾンはさわかみよりもはるかに意義あるファンドですね。最後に成績だけならそこいらの何十倍にも株価が膨れた中小個別株でも持ってきた方がはるかに優秀な投資対象ですよ。

Posted at 10:51:05 2017/02/05 by 試算や比較の前提ハテナ

この記事へのコメント

kage

試算や比較の前提ハテナさん

コメントありがとうございます。

資産運用における「インデックスかアクティブか?」や「集中か?分散か?」は単なる手段に過ぎません。すなわちインデックス運用で国際分散投資を実践することが目的ではなく、大切なのは結果であると私は考えます。

理由はどうあれ過去3年間の結果論においてセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドよりさわかみファンドに投資した方がマシだったことは紛れもない事実であり、私は受益者の端くれとして上記比較対象の中でセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドのシャープレシオが最下位であったことから目を背けるべきではないと思っています。

Posted at 12:12:26 2017/02/05 by おやじダンサー

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kage


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