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山崎バズーカ第四弾炸裂

kage

2016/10/10 (Mon)

経済評論家の山崎元さんがTOKYO MX(正式名称は東京メトロポリタンテレビジョン)の番組に出演された際の歯に衣着せぬご発言の数々をご紹介するこのシリーズですが、第三弾をお送りしてからまだ1ヵ月余りで早くも第四弾の炸裂となりました。ただ前回と今回では環境が大きく変わっております。具体的にはご出演された番組が「週刊リテラシー」から「田村淳の訊きたい放題!」(リンク先は番組公式サイトです)に変わりました。これには「週刊リテラシー」が上杉隆さんの降板問題でケチが付いてしまったため、心機一転番組名を変えて出直したという背景があります。ですから番組内容もレギュラー出演者も放送時間も以前とまったく同じです。変わったのは番組名とオープニング映像と視聴者参加型アンケートの名称(半蔵門世論調査から訊きたい!世論調査)と鈴木奈々さんの「今日のソーカツ」コーナーが新設されたことくらいでしょうか?なお山崎さんがご出演されたのは10月8日(土)で、相棒(もう一人のゲストコメンテーター)は前回同様ジャーナリストの須田慎一郎さんでした。2回目ということでお二人の息もバッチリ合っており、今回も大変興味深い内容となりました。なお毎回同じようなご注意になり恐縮ですが、以下に掲載する「山崎バズーカ」の数々は私の判断で多少言い回しを変えておりますので、ご本人の真意とズレてしまっている可能性のあることをあらかじめご承知置きください。また今回は須田さんのご発言もできるだけご紹介します(そうしないと話の流れが切れてしまいますので)。

「年金、強制徴収を強化」の話題受けて山崎さん:年金は税金と一緒にまとめて取ってしまえばいい。(現状は)あまりにも能率の悪いシステムだと思う。会計は1つでいい。

須田慎一郎さん:国税庁と社会保険庁を一緒にして歳入庁を作ろうという議論がある。これができれば徴収漏れが減るはず。しかし方や財務省、方や厚生労働省と管轄する役所が違うのでお互いが「それは困る」と言い出した。

山崎さん:それぞれが権限を持っていたいし、それぞれに天下り先があるので。

須田さん:2つを1つにすると役人の数も減ってしまうし。でも何のためにマイナンバー制度が導入されたのか。

「アベノミクスでデフレ脱却はできたのか?」というテーマに対して須田さん:まったくできていない。少なくとも日本銀行の金融政策ではデフレ脱却はできなかった。今日銀がやっていることは非常に難解。おそらく日銀総裁(黒田さん)でさえ自分が何をやっているのか理解できていない。現在マイナスの長期金利(10年物国債の金利)をゼロまで上げるというのは市中のお金を日銀が引き揚げる金融引き締め。しかし短期金利はマイナスでやっていることが支離滅裂。矛盾している。これはほとんど効果がないと思う。

山崎さん:私はそうでもないと思う。2%の物価上昇率は達成されていないがギリギリプラスにはなった。そういう意味ではまだ途中。長期金利も直近で見ればマイナス圏からゼロに上げるので金融引き締めになるが、政府がずっとゼロ金利で借金できるという意味でもある。政府がどれだけ借金するかで今後の財政政策のスケールが決まるので日銀の金融政策から政府の財政政策にバトンが渡されたと理解すべきだと思う。物価上昇率が2%を超えるまでずっと金融緩和を続けるというのはものすごく大胆な政策で「こんなことをしていて大丈夫か?」と思わないではないが、大丈夫か?と思われるくらいの内容でなければデフレマインドから脱却できない。(アベノミクスの成否は)財政がどうするかにかかっている。財政がもう少し上手にお金を使う。これはたくさん使うというよりむしろ減税するような政策で帳尻を赤字にすることが大切。財政を通じたお金の循環を使っていけばデフレ脱却にはいずれなる。

須田さん:ただ問題なのは大企業の内部留保。(筆者注:番組で2015年度の内部留保は377兆円で過去最高を更新。前年比で23兆円増。と紹介されました。)例えば日本を代表する企業であるトヨタ自動車は4年連続で最高益更新。しかもトヨタの正社員は3年連続でボーナスが対前年比30%以上増加している。加えてベースアップも3年連続で実現している。つまり大企業まではお金が行き渡っている。しかしそこから先の中小零細企業にはなかなか回らない。大企業の利益を中小零細企業に分配する方法としては、例えば購入する部品の単価や加工賃・手間賃を上げて取引単価を上げればよい。しかしここ数年上がるどころか下がっている。だから大企業にばかり内部留保が溜まる。大企業の利益が中小零細企業にまで回れば従業員の給与も上がってお金を使うようになりデフレ脱却もできる。

山崎さん:とはいえもしトヨタ自動車でさえ儲からないような状況になれば内部留保は減り株価も下がる。給料も減りトヨタの社員もお金を使わなくなる。そうなるとますますデフレになる。内部留保が減るような状況になると経済はもっと悪くなる。だから内部留保を憎んでも仕方がない。企業の経営者に「もっと儲けろ」「ROE(自己資本利益率)を8%以上にしろ」と要求すれば賃金や部品単価を抑えたりすることになる。経営者はそうして利益を出していかなければならない。トヨタの車が良いかどうかは分からないが(筆者注:ここで番組MCの田村淳さんと隣に座っている須田さんから同時に「良いです」とツッコミが入りました。何でも言える番組でもさすがにこの表現はまずかったようですね。)マクロ経済にお金を回すためには消費者がもっと車を買えるようにお金を配分しなければならない。それで車が売れれば人手不足になり中小零細企業にも賃上げが波及していくことになる。

須田さん:経営者が(悪い意味で)サラリーマンなんだよ。大胆に賃金を上げましょうとか研究開発費をドンと投入して新製品を作りましょうとか考えない。前例踏襲で先輩のやってきたことを大事に守る。

山崎さん:しかし彼等は実際にサラリーマンなので大胆な決断を求めるのは「木に縁りて魚を求む」ようなもの。

須田さん:GDPの約6割は個人消費なので消費者がお金を使えばデフレから脱却できる。しかし肝心のお金がない。やはり実質賃金や所得・収入が上がっていかなければ消費は伸びない。

山崎さん:広く消費者にお金を回すためには例えば消費税を下げれば実質的に手元のお金が増えた状態になる。あるいは子ども手当のようなものを大胆に配るとか。企業を通じて賃金から、となれば企業に何かを強制しなければならなくなる。だから国がやるべき。

番組MCの田村淳さん:消費税はまた上がるのだろうという空気感の中で皆がお金を使わないが、この先下がるなんてことがある得るのか?

山崎さん:財務省官僚の考えではあり得ない。そこは政治家が考えなければならない。安倍総理も「日銀の黒田総裁は大胆な金融緩和をすれば消費税を上げても大丈夫だと言ったがだまされた。やはりあいつは財務省の人間だった。今度こそはだまされないぞ。」と覚悟を決めて下げるくらいの大胆な政策があってもよい。

須田さん:景気が良くなれば税収は増えるんだから。

田村淳さん:税収が増えれば財務省の方も嬉しいんですよね?

須田さん:税収が増えるころには自分は異動しているか退職しているので自分が担当している時に増えて欲しいのでは?

鈴木奈々さん:あと何年たったらデフレ脱却できるんですかね?

山崎さん:(両手を広げて)さあ?

須田さん:日銀ナンバー2の岩田副総裁は「金融緩和さえすれば2年でデフレ脱却できる。物価上昇率2%も達成できる。」と言ったが何年たっているのか。しかも「できなければ辞める」と言ったのにいまだに辞めていない。今のやり方では無理。違ったやり方をしないと。

山崎さん:あの人の立場だと「できる」と言い続けるしかない。「愛しているから2年以内に結婚する」と宣言して例えできなくても「できる、できる」と言い続けるしかない。

須田さん:それを詐欺と言う。

田村淳さん:結婚するする詐欺じゃないですか。日銀の政策は今は効いていても年月がたてばデフレ脱却するする詐欺になってしまうのでは?

山崎さん:言っていることが段々信用されなくなると効果も薄れてくるので財政政策を使うしかない。金融政策単独では無理だと思う。

須田さん:(デフレ脱却のためには)日本の企業がもっともっと頑張らなければならない。大企業が中小零細企業に利益を分配できるようになるためには世界中で売れる商品を作る必要がある。例えば電気掃除機。皆さんどこのメーカーを使っていますか?

田村淳さん:僕はダイソン…。

須田さん:僕もダイソン。

番組アシスタントの阿部哲子さん:家(うち)もダイソン。

須田さん:一昔前だったら日本のメーカー名が出てきたじゃないですか。スマートフォンだって日本製を使っているヤツなんてほとんどいない。

阿部哲子さん:そういうこともあってか1-9月期の外国人投資家の日本株売り越し額が過去最大の6兆1,870億円になったとの報道があった。

山崎さん:日銀が(日本株を)1年に買うと言っている額が大体それぐらい。でも日銀は株価に関係なく買うわけだからマーケットでいえば「カモ」。そういう人がいる時に売っておくというのは投資家のセオリーとしては正しい。日銀が買っているから外国人が売っても株価は大して下がらない。ただそれで正しい株価が分からなくなっているのは何となく気持ち悪い。

田村淳さん:報じられている日経平均株価が正しい株価じゃないんですか?

山崎さん:もし日銀の買いがなければいったいいくらなのか?がもはや分からなくなっている。

須田さん:一日の株価動向を見ていると、午前中下がっても午後になって日銀が買いに入って上がる。投資家はそれを期待して売買している。東京MXの解説で「そろそろ日銀の買いが入るかも知れませんね」なんて言っているのだから(筆者注:これは「若林栄四先生の為替&株式相場大予言」でおなじみのストックボイス「東京マーケットワイド」を指しているものと思われます)。日銀が買わないと株価が下がったままなので投資家が逆ギレして「何で日銀は買わないんだ!」と怒るような状況。

山崎さん:(今の株式市場は)八百長も計算に入れて馬券を買っている競馬のようなもの。

阿部哲子さん:今の株価は企業への評価ではないんですね。

須田さん:全然違います。

山崎さん:ちょっと違ってきていますね。正しい株価を分析できる人にはもしかするとチャンスがあるのかも知れない。しかしそれは「売る」ということかも知れない。

須田さん:昔バカラ賭博でスッカラカンになった大手製紙会社のバカ息子がいたでしょう?今の日銀なんてそれと同じですよ。

山崎さん:まあ自分の金じゃないしね。割と気楽にできるのかも知れない。でも(買うばかりでは)ギャンブルとしてはつまらない。バカラ賭博ならまだドキドキできる。黒田さんには苦労と打算はあるかも知れないが(一同爆笑)。

田村淳さん:上手いですね。オシャレな駄洒落だわ。さすがです山崎さん。

配偶者控除廃止論議を受けた「専業主婦って損なの?」とのテーマに対して山崎さん:専業主婦は得。働く女性と比べて税制上優遇されているので。その優遇を失いたくないために103万円の壁や130万円の壁(詳しくは「103万円の壁と130万円の壁」「迫り来る106万円の壁」をご参照ください)が問題になる。ただし専業主婦でやっていける家庭は少なくなっているので得だけどぜいたくだということ。専業主婦と働いている女性の不平等はものすごく大きいので、すべての壁をいったんリセットして、一方で6千億円(配偶者控除の減税額)の増税とならないよう例えば子ども手当を出すとか他の減税をするとかすればいい。(政府は)女性に働いて欲しいわけだし、女性も壁を気にせずに働けた方が好都合なので。そういう意味で差し引きゼロにして壁を撤廃することはトータルで見てプラスの政策だと思う。

須田さん:僕も専業主婦は得だと思う。配偶者控除は事実上の減税。専業主婦のいる家庭は特別扱いしましょうという特例措置。そもそも年金保険料や健康保険料は税金と同じで誰もが平等に払わなければならないもの。それを免除しているのは特例措置。このような特例措置をいくつもいくつも作っていくと制度を維持するのが難しくなる。よく日本の税制は熱海の旅館に例えられる。かつての新婚旅行ブームで熱海に観光客が押し寄せた時に、本館だけでは間に合わなくなった旅館は別館を造り、それでも間に合わなければ新館を造った。斜面に建物がある熱海でそれらを連絡通路で結んだものだから、宿泊客は今自分がどこにいるのか分からなくなってしまった。これが日本の税制。シンプルじゃない。

山崎さん:さらに日本の税制は毎年少しずつ変えてややこしくして税理士が食えるようにしているということですね。

須田さん:だからこそいったんすべてリセットしてシンプルにすべき。

山崎さん:端的に見てこれ(配偶者控除)は働いている女性から見てあまりにも不公平な制度ですよね?(阿部哲子さんに向かって)そう思いません?

阿部哲子さん:(苦笑しながらうなずく)(筆者注:公平・公正を求められる立場上、表だって肯定しにくかったのでしょうね。)

須田さん:ただし安倍政権の配偶者控除廃止議論は、人手不足を穴埋めするために優遇を撤廃して女性を働かせようという動機が不純。本来なら女性が働きやすいような環境作り、例えば待機児童問題の解消などが必要なのでは?

山崎さん:配偶者控除廃止で6千億円の増税になってしまってはアベノミクスにも逆行してマズイ。その分他のところで減税をするなり支出をするなりすればつじつまは合うのだからそれをやれということ。

田村淳さん:過去の小泉政権や鳩山政権も配偶者控除の減税分6千億円を他の予算に回そうとしていたのに、選挙で票が欲しいとなると実行に移せないんですね。

山崎さん:「選挙の壁」とか「財務省の壁」が出てくる。

阿部哲子さん:夫婦控除も選挙を見据えてやめようということは国民にとって得ではないということですか?

山崎さん:夫婦控除で損になるケースも出てくるので連立を組む公明党から反対が出ているというような報道もある。

須田さん:配偶者控除と夫婦控除はあまり変わりませんよ、と言われても変わらないわけがない。だって財務省がやりたがっているのだから。6千億円の増税の代わりに出てくる飴が今までより甘いわけがない。甘みが抑えられてカロリーダウンしちゃうんだよ。

山崎さん:税制は何よりも公平であるべき。専業主婦と働く女性でこれほど税金に差を付けるということが不公平。だから壁をなくす形で税制を設計し直さないといけない。壁を残しながら調整するという考え方では無理。

須田さん:配偶者控除だけでなく日本の税制全体が複雑怪奇なので全部見直したほうがいい。所得税も法人税も皆が公平・公正になるように。

田村淳さん:ただ優遇されている立場の人からは反発もあるでしょうがそこは政治手腕でしょうね。代わりになにをしてくれるのかをキチンと提示してくれれば有権者も納得する。

須田さん:そういう意味では安倍総理はものすごく頭がいいなと思う。(配偶者控除廃止のような)リベラル的な政策は本来なら民進党のお家芸。それを全部自分たちが取り込んでいる。だから蓮舫代表も今は稲田さん(防衛大臣)を泣かせるくらいしか手がない。

山崎さん:ましてや消費税を上げた野田さん(元総理)が幹事長でしょう?自民党は今の内に選挙をやりたいでしょうね。(野田さんは)まさに不景気の看板なわけだから。

田村淳さん:不景気の看板!どえらい言われようですね。山崎さんは優しいマスクですけどよくよく言葉を聞くとすごいトゲトゲしていますからね。

須田さん:ラジオ向きじゃないね。

以上、山崎バズーカ第四弾の一端をご紹介させていただきましたがそのインパクトはいかがだったでしょうか?今回は須田さんのバズーカもご紹介しましたので少々長くなってしまいましたが。個人的にはやはり投資に関連して日銀のETF買いで市場の価格形成が歪められているというご指摘や外国人投資家の売りが過去最大に膨らんでいるという話題が気になりました。もし本当に日銀の買いで適正株価が分からなくなっているのなら市場平均を示すインデックス指数の合理性も失われることになりますので、インデックス投資家にとっては由々しき問題ですよね。ただしどのような状況においてもアクティブ投資家は市場の歪みに目を付けて儲けの種にしようと目論むものですから、今は日銀の買いと外国人の売りが釣り合っておおむね適正な価格形成ができているのでは?と私は楽観視しています。実際に東証1部全銘柄のPER(株価収益率):15.77倍(前期基準)やPBR(純資産倍率):1.19倍は異常な数字ではありませんから(データはいずれも7日時点のもので出典は日本経済新聞社のサイトです)。あと日本の税制に対する須田さんの「熱海の旅館」という比喩や山崎さんの「わざとややこしくして税理士を食えるようにしている」という皮肉には私も大いに共感しました。実際に確定申告の準備をしていると日本の税制の複雑怪奇さを痛感しますし、生半可な理解でブログ記事を書いて間違いを指摘され恥をかくことも多々ありますので。配偶者控除についても古き良き高度成長時代の遺産のようなものですので、今の時代に合わせた改正は必要不可欠でしょう。何もこれは税制に限ったことではなく、年金や医療・介護保険などの社会保障制度にもいえることですよね。

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