2017 05 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30. »  2017 07

迫り来る106万円の壁

kage

2016/09/10 (Sat)

今回のタイトルに掲げた106万円の壁とは、以前「103万円の壁と130万円の壁」でも触れた働く専業主婦(主夫)が留意すべき新たな所得の分水嶺を指します。その内容をザックリとご説明しますと、働く専業主婦(主夫)が自分自身で年金保険料と健康保険料を支払わなければならなくなる所得水準が従来の130万円からある要件に該当した場合に106万円まで引き下げられるというものです。その「ある要件」とは、「勤務先企業の従業員数(社会保険加入者数)が501人以上+1週間の所定労働時間(残業を含まない)が20時間以上+1ヵ月の所定内賃金(残業代や諸手当を含まない)が88,000円以上」が代表的なものですがその他にも細かい要件がありますので、詳しくは下記の政府広報でご確認ください。

パート・アルバイトの皆さんへ 平成28年10月1日から社会保険の加入対象が広がります

ご承知のとおり公務員や会社員などの配偶者に扶養される専業主婦(主夫)は国民年金の第3号被保険者として年金保険料の支払いが免除されており、健康保険も配偶者の家族としてカバーされるため自分で保険料を支払う必要はありません。このサンクチュアリ(聖域)が130万円から106万円に縮小されるというのですから、働く専業主婦(主夫)にとっては由々しき問題です。その実施がいよいよ10月1日に迫って参りました。

実は本エントリーを書こうと思ったきっかけは知人からかかってきた電話でした。その知人は60歳で定年退職した後も同じ企業で嘱託として働き続けているのですが、「10月1日から社会保険の制度が変わるらしいので相談したい」というのです。なぜしがないハイリスク投機家に過ぎない私にそんな相談をしてくるのかと申しますと、常日頃からお金に関する小ネタを自慢げに披露することが多い(ブログに間違った情報を書いて恥ずかしい思いをすることもたびたびありますが)私はこの知人にも退職前に65歳より早く年金がもらえることを調べて教えてあげた経緯があったからです。しかし今回の相談の電話がかかってきた時、恥ずかしながら私はそれが何を指しているのかサッパリ分かりませんでした。そこでとりあえず「詳しくは知らないので調べて折り返します」と答えて電話を切り、速攻でネット検索してみたところ今回のタイトルに掲げた106万円の壁のことであることがすぐに判明しました。これも以前「103万円の壁と130万円の壁」を書いていたお陰で、あれがなければ「いったい何の事やら?」と一から調べ直す必要があったでしょう。

詳しく調べてみたところ、退職後も働き続けているこの知人のようなケースでは働く専業主婦(主夫)とはまた違った形で106万円の壁が大きな影響を及ぼすことが判明しました。ちなみにこの知人の勤務先は従業員数(社会保険加入者数)が501人以上の要件を満たしています。さらに現在は週休3日制で働いているので1日の所定労働時間:8時間×4日=1週間の所定労働時間:32時間となり2番目の要件も満たします。そして毎月の給与も3番目の要件を軽く超えているため間違いなく106万円の壁が適用になるわけです。この知人は現時点で会社の社会保険(厚生年金と健康保険)からは脱退しているのですが、10月1日以降は現在の労働時間を維持して会社の社会保険に加入するか労働時間を週20時間以下に抑えて会社の社会保険に加入しないかの選択を会社から求められていました。それを聞いて私は直感的に現状維持(=会社の社会保険に加入する)でいいのでは?と思いました。なぜなら社会保険料の負担で目先の給与手取額は減りますが、厚生年金は自分の負担額と同額を会社が負担してくれるため翌年以降の年金受給増額幅が大きくなりますし、健康保険も50%以上を会社が負担してくれますので場合によっては国民健康保険料より安くなる場合があるからです(ご承知のとおり少子高齢化の進行で国民健康保険料は上がる一方ですから)。

しかし知人と電話で話している内に、この考えにはある「落とし穴」があることに思い当たりました。それは厚生年金の受給者が厚生年金に加入すると、条件によっては年金受給額を減らされる制度が存在することです。そこで「改めて調べて、詳細はメールで送ります」と言って電話を切りました。そしてその後実際に送ったメールの内容がこれです。

調べてみたところ、厚生年金の支給額が減らされるのは以下の条件でした。

・基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円超。

基本月額とは厚生年金年間支給額÷12、総報酬月額相当額とは年収÷12です。ですから毎月の年金+給料+賞与の1/12が28万円以下なら減額はありません。逆に28万円を超えると条件により支給停止額が変わります。あと高年齢雇用継続給付を受けている場合も年金の一部が支給停止されます。減額幅は賃金額の0.18~6%ですが詳しくは会社の担当部署にお尋ねください。


上記文面にある「高年齢雇用継続給付」とは、雇用保険の加入期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて75%未満に低下した状態で働き続ける場合に支給されるものです。知人はこの給付を受けていましたので、すでにある程度の年金減額は受けていたようです。さらに上記の28万円も超えるようで、会社に問い合わせてみたところ少なからず年金が減額されるとのこと。このため知人は年金減額を受け入れてでも現在の労働時間を維持するか、労働時間を減らして給与減額を受け入れるかの究極の選択に悩むことになりました。結局どちらを知人が選んだのかはまだ聞いていませんが、降って湧いたような制度の変更でリタイア後のマネープランが変更を余儀なくされるのは困りものですね。

この事例は65歳以前に年金がもらえる恵まれた世代にのみ該当するもので、私を含む65歳からしかもらえない世代(こちらのエントリーでも触れたとおり男性:昭和36年4月2日以後生まれ、女性:昭和41年4月2日以後生まれの方)にはとりあえず関係ありません。しかし今回の106万円の壁のように制度変更によりマネープランの前提が変わってしまうことはこれからもたびたびあるはずですから常にアンテナを高く掲げて情報収集を怠らない努力も必要でしょう。実際に103万円の壁の根拠となっている配偶者控除については政府税調が見直しの議論をスタートしているようですから。

配偶者控除、見直しスタート=9日に議論再開-政府税調(時事通信)

政府9日、政府税制調査会(首相の諮問機関)を約4カ月ぶりに開き、所得税の見直しに着手する。専業主婦やパートタイムで働く妻がいる世帯の税負担を軽減する「配偶者控除」を廃止し、夫婦を対象に負担を一定額減らす「夫婦控除」の導入を検討することなどが主な議題。2017年度税制改正に向け、11月にも案をまとめる。実現すれば約20年ぶりの所得税の大改正となる。


また財政制度等審議会(財務相の諮問機関)では私自身が大腸ガンの治療で大変お世話になった高額療養費制度も見直しの対象になっているようです(制度の内容については2015年9月10日付のエントリー「高額療養費制度」をご参照ください)。

高額療養費制度見直しが焦点 財政審、29年度予算編成へ議論開始(産経新聞)

少子高齢化の急速な進行で日本の社会保障制度は否応なく変わらざるを得ませんので、これからも税制を含めてある程度の不利益を受け入れる覚悟を求められることになりそうです。同時に資産運用に関してもNISAや確定拠出年金の制度が少しずつ変わっていますので、臨機応変に対応できるよう情報収集と研究に努めたいものですね。

(Sponsored Link)

関連記事

コメントフォーム

kage


URL:




Comment:

Password:

Secret:

管理者にだけ表示を許可する

この記事へのトラックバック