2017 06 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. »  2017 08

山崎バズーカ第三弾炸裂

kage

2016/09/04 (Sun)

タイトルからお分かりのとおり、本エントリーは3月21日付の「山崎バズーカ炸裂」、6月12日付の「山崎バズーカ第二弾炸裂」の続編です。ブログネタに取り上げるのが遅くなってしまいましたが、8月27日(土)に経済評論家の山崎元さんがTOKYO MX(正式名称は東京メトロポリタンテレビジョン)の「週刊リテラシー」に出演されたのです。ただし続編とはいえその環境は前回から大きく変わりました。その理由はネタ元の番組名がいつの間にか変わってしまったこと。これは番組の公式サイトをご覧いただければ一目瞭然ですが、これまでの「淳と隆の週刊リテラシー」から単なる「週刊リテラシー」に変わっています。その経緯は公式サイトにもあるとおり、番組レギュラー出演者だった上杉隆さんが東京都知事選挙に立候補(桁は違いますが見事に主要3候補に次ぐ4番目の票を得ました)したことを理由に降板宣告を受けたためです。これを受けて番組の形が毎回ダブルゲスト方式に変わったため今回は山崎さんの独演会とはならなかったのですが、それはそれで面白く拝見することができました。なお毎回同じようなご注意になり恐縮ですが、以下に掲載する「山崎バズーカ」の数々は私の判断で多少言い回しを変えておりますので、ご本人の真意とズレてしまっている可能性のあることをあらかじめご承知置きください。また特に発言者の表記がないものはすべて山崎さんのご発言です。

最初の話題は「ベーシックインカム」でした。これは番組独自の視聴者アンケートである「半蔵門世論調査」がベーシックインカムの是非だったからです。なお番組で説明されたベーシックインカムの定義は「年金や生活保護など現在の社会保障の代替案とされている年齢や就労状況に関わらず国民一人一人に現金を給付する制度」でした。番組のVTRによるとフィンランドでは来年から1万人を対象に月々6万7,000円を2年間支給する実験的な計画が準備されているとのこと。しかしレギュラー出演者の鈴木奈々さんは働かない人が増えるデメリットが大きくなりそうだから反対のご意見でした。

・山崎さん:フィンランドの6万7,000円程度であればより働いて稼いだ方が使えるお金が増えるので勤労意欲を損なうことはないだろう。勤労意欲を損なうほどの高額に設定してしまえばそもそも実施不可能になるのでその心配(=働かない人が増える)は必要ない。

・(ベーシンクインカムは)再分配を変える仕組みだと思えばいい。理解のポイントは入ってくるお金(収入)と取られるお金(税金)の差額で計算すること。お金持ちにも5万円とか6万円を配るのはおかしいじゃないかとの話がよくあるが、そういう人からは税金をたくさん取ればいい。それで不公平を調整していると考えるべき。

・皆が確実にもらえるとなると計算できるお金なので安心。生活保護を申請してお金をもらう恥ずかしさもないし現金でもらえるので自由に使える。国が介入してきて「教育費じゃなきゃダメ」というようなお節介を焼かれない。

・社会保障の制度としては良いと思うが行政がスリムになり権限が減るため官僚が反対する。だから実現しないと私は思っているが制度自体は大賛成。経済的な議論ではなかなか反対は難しい。唯一の弱点は移民問題。ベーシックインカムを目当てに移民がドンドン入ってくるような環境だとやりにくいかも知れない。だから欧州では難しいが日本のような島国なら成功する可能性はあるが官僚が強い国だから実現はしないと思う。

・(現実的には)ベーシックインカム的な政策を次々に作っていけばいいんじゃないかと思う。じわじわと進もう(というイメージで)。10年か20年かけて例えば10%をベーシックインカム、90%は現状の社会保障に。翌年は15%をベーシックインカムにという風にジワジワと移行していけば実現は可能。マイナンバーで所得がすべて把握されるなら後は計算するだけ。技術的にはできる。

・番組MCの田村淳さん:でもどこかの国のように国民投票をしたら日本は逃げ切り世代(=現在年金をもらっている世代)の方が多いから現状維持になりそう。

・この日のもう一人のゲストだったジャーナリスト須田慎一郎さんの「2030年代には年金の財源が枯渇して支払えなくなる」という指摘に対して山崎さん:年金が枯渇してなくなることはない。運用利回り低下で例えば積立金が無くなった場合でも年金保険料を徴収して給付に充てるというフローはある。将来の年金支給額に占める積立金の割合は1割もない。(年金は)ものすごく大きな仕組みなので(簡単には破綻しない)。ただし現在年金をもらっている世代より3割から4割は減ると思っていた方がいい。

・須田慎一郎さん:詐欺だよね。

・山崎さん:それでも年金保険料を払ってなければ将来1円ももらえない。国民年金の財源の半分は国が出しているので若い人が年金を離脱してしまうと後で損をする。将来は生活保護でいいと貧困ライフを覚悟するならもしかすると得になるかも知れないが。普通のサラリーマンのような人は年金を離脱すると結局損になる(筆者注:山崎さんにしては珍しい勇み足ですが、厚生年金に加入している普通のサラリーマンが年金を離脱することはほぼ不可能です。ですから実際には自営業・パート・アルバイトなどが注意の対象になるでしょう)。(現在の年金制度が)ものすごく不公平で腹が立つというのはその通りだし、それを一刻も早く変えないと年寄りがごっそり取っていた後で残ったものを分けなければならないという感覚にはなる。

・公共事業中心の経済対策に対して山崎さん:物で無駄遣いしてしまうと無駄な物が残ってしまうが先ほどのベーシックインカムのようにお金をばらまく政策ならばらまき過ぎたならまた増税すればいいわけで、そういう意味では素直にお金をばらまくべき。個人消費が足りないのは2014年に消費税を上げたことがものすごく効いている。だから一番素直にやるなら消費税を下げる。そうすれば個人も安心してもう少しお金を使うようになる。公共投資を減らしてもGDPの6割を占める個人消費が上がればいい。

・経済対策の財源も建設国債という名前にこだわる必要はない。政府が財政赤字を作ってお金をばらまいた時に一番問題になるのはインフレ。ところが現状はインフレになっていないことが問題だと言われているのだからインフレになるように均等にばらまけばいい。本当はばらまきバンザイ。ばらまきは報道でも印象が悪いが公平に分配しているのだと考えれば公共事業に重点的に配分してそこから循環するのを待つより消費者に直接お金を渡して日銀が金融緩和をする方がずっと素直。

・須田慎一郎さんの「日本の失業率は3.1%で先進国最低水準。本来なら賃金が上がるはずなのに上がらない。だから黒田さん(日銀総裁)は真っ青になっている。」という指摘に対して山崎さん:賃金が上がらない理由は(株主が)経営者を焚きつけているから。株価を上げるためにROE(自己資本利益率)を向上させろ(もっと効率よく利益を上げろ)と言っている。そうすると賃金を上げると利益が上がらないから賃上げは実現しない。賃金を上げろとROEを上げろという要求はブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようなもの。運転手(経営者)はROEを上げると自分の給料を上げることができる。だから日本の上場企業の社長の給料はドンドン上がっている。株主が経営者を買収する形の米国型マネジメントが拡大して経営者と株主が同時に利益を吸い上げる仕組みになっているので賃金が上がらない。

・田村淳さん:内部留保という話もよく聞くが。

・山崎さん:内部留保を配当や自社株買いという形で株主に渡すとROEが上がる。

・須田慎一郎さん:企業の内部留保が設備投資(工場建設や技術開発)に回ればお金が循環するのだが企業も将来が不安でお金を使わない。個人にも1,400兆円の金融資産という内部留保があるが(筆者注:日銀の資金循環統計によると現在は1,700兆円に増えています)ほとんど使わない。それで死ぬ間際になって飛鳥II(豪華クルーズ客船)とか乗っちゃうんだよね。それなら今使ってくれよ!みたいな。

・田村淳さん:鈴木さんも貯金ばかりして使わないと言っていましたもんね。

・山崎さん:貯金して変な保険とか入っているのでは?

・鈴木奈々さん:私はちゃんとした保険に入っていますよ!保険ダメですか?

・山崎さん:大体ダメです。金融庁長官が個人年金保険の手数料は問題だと言っているくらいボッタクリの商品だから。(鈴木奈々さんを指しながら)こういう小金持ちが入るような個人年金保険、銀行の窓口で売り付けられるようなヤツはダメですね。

・田村敦さんがアシスタントの阿部哲子アナウンサーに向かって:あれ?この問題にはあまり入ってきませんね。

・阿部哲子さん:保険会社さんのスポンサーも欲しいなと思って。

・須田慎一郎さん:最近は若い人だけでなくおじさん世代もお金を使わなくなっている。それを反映してか最近高級クラブばかりが並んでいる銀座の一等地に立ち飲み居酒屋ができた。

・山崎さん:高級クラブも顧客のお金持ちが高齢化してきて飲む力がなくなって高級介護施設のようになっているのでは?

・山崎さん:社会保障と消費税をくっつけてセットのものだと言っているのはインチキ。社会保障に必要なお金は使えばいいし、財源は国債を発行してインフレになるまで引き受ければいい。社会保障と消費税をセットしたのは民主党政権時代の三党合意という奇妙なものを作るためのトリック。それに多くの人がまだ引っ掛かっている。この洗脳と言うと言葉が悪いが、この先入観をまず除外することが必要。社会保障は社会保障で充実させる。その上でベーシックインカムは無理にしてもそれに近い形でマイナンバーを活用した給付付き税額控除(負の所得税)などで消費者の元にお金を届ける。それも一時的ではなく恒常的な減税や給付という安心できる所得を作らないと安心できない。

・労働力人口は年間1%近くのペースで減っているのだから生産性が余程向上しなければGDPをプラスにすることはできない。それでも名目のGDPは上げられるはず。物価を上げればいいので。

・須田慎一郎さんの「日銀がいくら金融緩和しても目標どおりのインフレにはならず無駄ではないのか?」との問いに対して山崎さん:金融緩和で雇用が増えた、円安になったなどの効果はあったが、それと同時に財政で消費増税を行ったことは三本の矢の一本を自分に向けて放ったようなもの。これはかなり痛かった。また(黒田日銀総裁のような責任ある立場の人は)「いついつまでにいくらになります」と断言しなければならない。その情報を市場が真に受けてくれないと政策の効果が出ない。そういう意味では絶えず新しく信用してもらえるような嘘をつき続けなければならない。

・須田慎一郎さん:嘘だったんだ。

・山崎さん:(日銀の)金融政策だけでインフレが実現できるのではなく、(政府の)財政と両方使わなければならない。財政再建と金融緩和でデフレ脱却を一緒のプライオリティ(優先度)にしているのでいつまで経っても上手くいかない。デフレ脱却が先で、その方が財政再建にも良いわけだからこちらが先というプライオリティをはっきりさせればいい。

・東京五輪の経済効果について山崎さん:日本の景気は一時的に盛り上がるのだろう。お金と人と物が動くので。しかし私として東京五輪を素直に喜べないのは東北の復興が十分に終わっていない段階で公共工事の手が足りないところに五輪需要を持ってきてしまったこと。

・住宅ローンの低下と五輪期待で高い建築費で建てた不動産物件を買ってしまうと後で大変だろうなと思う。個人が投資を考える時にも五輪景気をあまり期待しない方がいいと思う。1964年の東京五輪や1974年の札幌五輪の時の日本はまだ成長期だったのでインフラ整備に役立ったが1998年の長野五輪の後の長野はむしろさびれた印象がある。そう考えると今の東京で大きなお金をかけて人手不足なのに人をかき集めて五輪を実施する意味が本当にあるのかな?とは思う。もっとコンパクトにやればいい。当初はそのはずだった。

・田村敦さん:いつの間にかコンパクトではなくなっている。この件に関してはいなくなったあの人がすごい調べていた。

・「10年後に無くなる仕事は?」との視聴者からの質問に対して須田慎一郎さん「金融業界は無くなるかも知れないね。すべてAI(人工知能)で。」山崎さん「そうなると良い世の中になるかも知れませんね。」

以上、山崎バズーカ第三弾の一端をご紹介させていただきましたがそのインパクトはいかがだったでしょうか?今回は投資系の話題はほとんどありませんでしたが私は十分に楽しませていただきました。日本の社会保障制度は事実上行き詰まっているわけですから、どこかで抜本的な改革が必要なことは誰の目にも明らかです。その過程では山崎さんがご指摘のように徐々に移行する案もアリですね。実際に年金支給開始65歳も今まさに徐々に移行している最中ですしね(年金が65歳からしかもらえないのは男性:昭和36年4月2日以後生まれ、女性:昭和41年4月2日以後生まれの方で、例えば今年60歳(昭和31年生まれ)の男性なら老齢厚生年金の報酬比例部分の支給を62歳から受けることができます)。いずれにせよ限界は刻一刻と近付きつつありますのでいつまでも先延ばしはできはいはずです。東京五輪についても思い切った発想の転換で、「日本の最先端の技術をフル活用すれば仮設でもここまでできます」というアピールの場にすればいいと私は安易に考えてしまうのですが、権益が複雑に絡み合って方針転換は難しいのでしょうね。今はまだ2020年という目標があるからいいのですが、それが終わった後の日本がいったいどうなってしまうのか?と考えた時に、私個人としてはネガティブなイメージしか浮かんでこないところが悲しい限りです。

(Sponsored Link)

関連記事

コメントフォーム

kage


URL:




Comment:

Password:

Secret:

管理者にだけ表示を許可する

この記事へのトラックバック