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103万円の壁と130万円の壁

kage

2016/06/05 (Sun)

前々回のエントリー「専業主婦(主夫)は確定拠出年金に入ってはいけない?【訂正及び追記あり】」では恥ずかしながら私の勉強不足による勘違いがありました。ご指摘を受けて「訂正及び追記」を書いた後にふと「そういえば以前にも同じような失敗をしたような気がするな」と思い当たり、過去のエントリーを探してみたところありました。今から約7年半前に書いた下記のエントリーで、今回とまったく同じ扶養家族の判定に関する勘違いをご訪問者様にご指摘いただいておりました。

ETF乗り換え時に注意すべきこと(2008/11/14)

過去と同じ過ちを性懲りもなくまた繰り返してしまうとは、自分自身の学習能力の欠如を今さらながらに深く恥じ入るばかりです。そこで今後二度と同じ過ちを繰り返さないよう(もしまた繰り返してしまった時にはそれはそれでブログネタになるよう)、備忘録として今回の勘違いに関する一連の流れを記録しておきたいと思います。

それではまず103万円の壁に関する勘違いから始めましょう。この103万円の壁とは配偶者控除及び扶養控除の認定要件のひとつである年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)に由来するもので、この壁を越えてしまうと専業主婦(主夫)は配偶者控除の対象から外れ、生計を一にしている親族なら扶養控除の対象から外れることになります。同時にこの103万円の壁は所得税課税のボーダーラインにもなっており、これを超えてしまうと所得税が発生することになります。ここで混乱しやすいのは配偶者控除及び扶養控除は家計を支える主たる納税者が使えるものであり、所得税は専業主婦(主夫)や親族に対して発生するもので、同じ103万円の壁であってもまったく別物と考えなければなりません。ところが私は「所得税の課税対象にさえならなければ扶養を外れることはないだろう」と両者を混同する勘違いをしておりました。具体的には専業主婦(主夫)が確定拠出年金へ加入すれば掛金が全額所得控除となり壁の上限(=所得税課税のボーダーライン)が上がり、それと連動して配偶者控除を受けるための103万円の壁も上がると思い込んでいたのです(前々回のエントリーの訂正に書いたとおり、前者は正で後者は誤です)。

言い訳になってしまいますが、私がこのような勘違いをしてしまった理由は103万円の算出方法である給与所得控除65万円+基礎控除38万円にありました。ここで給与所得控除が使えるのなら確定拠出年金の掛金が対象となる小規模企業共済等掛金控除も使えるのではないかと勝手に思い込んでしまったのです。ところが両者は同じ控除という名称でもその性格はまったく異なるものでした。前者はサラリーマンの必要経費的な位置付けで、支払われた給与から差し引いた残りが所得とみなされるのです。これに対して後者は課税所得を算出する際に差し引かれるもので、所得には影響を及ぼしません。こんな事ならいっそのこと「給与所得者必要経費」に名称変更してくれればいいのにと自分の勘違いを棚に上げて思わずにはいられませんでした。なお専業主婦(主夫)は所得が103万円を超えて配偶者控除の対象から外れても141万円未満であれば配偶者特別控除の対象となりますので(ただし適用には要件があり、控除額は所得増に応じて減額されます。詳しくは国税庁のサイト内のNo.1195 配偶者特別控除をご参照ください。)、103万円の壁は実際にはそれほど気にする必要はなさそうです。

それでは年間所得141万円未満まで働けばOKかというと、必ずしもそうではありません。何故ならその前に130万円の壁という大きなハードルが待ち受けているからです。この130万円とは国民年金の第3号被保険者と健康保険の被扶養者の認定要件となっており、所得がこれを超えると専業主婦(主夫)は自分自身で年金保険料と健康保険料を支払う必要が出てきます。ご承知のとおり現在の日本は本格的な少子高齢化時代を迎えて年金保険料や健康保険料の上昇が続いていますのでその負担はバカになりません。ある試算によると一旦130万円の壁を超えてしまうと約150万円までは給料が増えても手取りが減る「働き損」になってしまうとのことでしたので、この壁を超えるにはかなりの覚悟が必要になりそうです。ちなみに日本年金機構のサイト内にある「健康保険(協会けんぽ)の扶養にするときの手続き」を見ると、年間収入130万円とは過去の収入ではなく将来の年間の見込み収入額を指すとのことで結構曖昧なんですね。ただこれ以上深入りするとまた墓穴を掘りそうなので、130万円の壁の話題はこのあたりにしておきます。

このように103万円の壁と130万円の壁を正しく理解するだけでも大変なのに、今年の10月からは新たに106万円の壁が誕生するとのことで私の頭の中も大混乱です。これはある一定の要件(年収106万円以上もそのひとつです)を満たした短時間労働者(パートタイマー)に社会保険(健康保険・厚生年金)への加入を義務付けるというもので、単純に考えて130万円の壁が106万円にまで下がってくることになります。130万円の壁自体は変わらないのですが、会社の社会保険に加入すると自動的に国民年金の第3号被保険者と健康保険の被扶養者からは外れてしまいますので。ただしこちらもこれ以上深入りするとまた墓穴を掘りそうですので、関心のある方はお手数ですがご自身でお調べください。

ここまで書いてきて改めて痛感させられたのは、この○○万円の壁こそが今の日本の問題点を如実に反映しているということです。何故なら多くの専業主婦(主夫)が○○万円の壁を意識して労働時間をセーブしていることで収入が増えず(=消費も増えない)、また国民年金の第3号被保険者と健康保険の被扶養者に止まっていることで社会保険料収入も増えない(=社会保障費の収支が悪化する)という悪循環の一因になっているのですから。投資の世界では多くのアクティブ投資家が市場の歪みに付け込んで利益を得ようと鵜の目鷹の目になっていますが、専業主婦(主夫)が明らかに有利になる働き方が存在するというのもある意味で日本の税制と社会保障制度の歪みといえるのではないでしょうか?このまま抜本的な税と社会保障の一体改革が先送りされ続ければいずれ制度の維持は不可能になり、あの悪名高き「特別法人税(企業年金や確定拠出年金への資産課税)」が長い眠りから目を覚ますこともあり得るのではないか?と私は危惧しています。税と社会保障の一体改革は他ならぬ私たち自身の問題なのですから、将来に禍根を残さぬための解を一人ひとりが真剣に考えなければなりませんね。ただし誰もが納得できる「正解」はおそらく存在せず、最終的には政治家も国民も大きな痛みを受け入れる覚悟が求められることになるでしょうが。

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