2017 05 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30. »  2017 07

手術の思い出

kage

2016/03/27 (Sun)

今週末私は前回に引き続いて治験のボランティアに参加するため都内某所にあるクリニックに入院しています。前回同様昨日の投薬日は合計で10回を超える採血があり大変でしたが、翌日の今日は朝食前にすべてのスケジュールが終了してその後はずっと暇を持て余しています(昨日のエントリーは実はそのような状況下で採血の合間を縫って書いたものなのでした)。午前中はベッドの上でパソコンに向き合っていたところ段々と眠くなってきたので思う存分「朝寝」を貪っておりましたが、あまり寝てばかりいては夜になって眠れなくなりそうですので午後は暇な時間をブログ更新に充てることにしました。前回の入院では「入院の思い出」を書きましたので今回は「手術の思い出」を書いてみたいと思います。

私が大腸切除の手術を受けたのは忘れもしない昨年3月30日のことでした。つまりもうすぐ満一年を迎えるということですね。あの時の心境は「入院の思い出」にも書いたとおり、手術に対する不安より一刻も早くお腹に抱えたガンを取り除いて欲しいという気持ちの方が上回っており、今にして思えば周囲の指示に従って淡々と手術当日を迎えたという印象です。

ただし手術となると患者にとっては間違いなく人生の一大事ですから、それなりの事前準備も必要です。まずは担当医から手術に関する詳細説明があります(このことは「リスク管理の弊害」でも触れております)。ここには家族の同席も求められ、説明終了後にそれぞれのサインを求められます。また必要があれば輸血をすることに対する同意のサインを別途求められました。この説明は病棟内にあるミーティングルームで行われたのですが、他に病室のベッドで聞いた説明もあります。手術の前日だったか前々日だったか今になっては記憶が曖昧なのですが、まずは麻酔科の医師が私の病室を訪れ手術で使う麻酔の説明をしてくれました(こちらも説明終了後に麻酔使用に同意するサインを求められました)。次に手術室担当の看護師さんが来て手術当日の流れを説明してくださいました(こちらはサインを求められた記憶がありません)。これらの説明は事前に渡されたパンフレットのような資料に書かれていたことばかりだったのですが、リスク管理や患者の不安解消の観点から念には念を入れてのことだったのでしょう。また私が入院していた消化器外科担当の看護師さんから事前に説明されたのは、手術前日には入浴すること、手術当日にはヒゲを剃って歯を磨くこと、手術室には専用の手術着を着て行くこと、などです。あと入院前の外科外来では手術に備えてあらかじめ病院の売店で「腹帯」と「T字帯」を購入しておくようにとも言われていました。ちなみに「腹帯」とはマジックテープ付の腹巻きのようなもので、お腹の手術跡をガッチリとガードするために使います。そして「T字帯」とはズバリ「ふんどし」のことです。手術当日には下着の代わりにこれを付けなければなりません。ですから皆さんも万が一のために一応「ふんどし」の装着方法を覚えておいた方がいいですよ。

私が入院した総合病院では手術前日の朝の回診でひとつの「儀式」がありました。それは担当医が看護師立ち会いの下で患者の手術する場所に油性のマジックでマークを付けるのです。これは肺や腎臓など2つある臓器で左右を間違えないための措置なのでしょう。私の場合は担当医によりおへその下に大きな×が書かれました。油性のマジックで書いたのに入浴時にシャツに×印が写っているのを発見して、「書かれた後、少し乾かせばよかった」と思ったことをよく覚えています。そして少々下世話な話題で恐縮ですが、お腹の手術前といえば陰毛の処理も必要です。私の場合はたまたまその日の担当だった若い男性の看護師さんが処理をしてくださいました。その看護師さんが「これは消毒薬をムラ無く塗るために必要なんですよ」と説明してくださったことを今でもよく覚えています。

そしていよいよ迎えた手術当日。私の予定は午後一番の13:00だったのでこれに合わせて手術着(健康ランドのムームーのようなイメージ)に着替え、足にはゴムのストッキングを履き(いわゆるエコノミークラス症候群を防ぐため)、ふんどし(T字帯)を締めて待ち受けていました。しかし午前中の手術が遅れたためかなかなかお呼びがかかりません。結局呼ばれたのは30分遅れだったと思います。テレビなどでよく見る手術室へ向かうシーンはベッドに寝たまま運ばれていくものですが、私の場合は違いました。付き添いの家族と担当の看護師さんと一緒に職員用のエレベータに乗り、歩いて手術室に向かったのです。手術室の前に着くとここで付き添いの家族とはしばしのお別れです。もしここで眼鏡、時計、貴重品ロッカーの鍵などを持っていたらすべて家族に預けます。担当の看護師さんと手術室の中に入ると、手術を担当してくださる看護師さんとの顔合わせがありました。これから自分の命を預けることになる皆さんに、普通に「よろしくお願いします」と言うことに何となく違和感を覚えた記憶があります。次にもうひとつの扉の向こうにある手術台に向かいます。そこは縦に長い部屋の左右が手術台ごとに区切られている構造になっていました。そして私が案内されたのは扉を入って右手の一番手前にある手術台でした。私は自分の足で手術台に向かい、自力でその上に横たわったのです。そして手術室担当の看護師さんがいろいろと準備をしている間に、消化器外科でその日私の担当だった看護師さんは必要事項の申し送りをして帰っていきました。この時、「なにか一声かけてくれてもいいのに」と思ったことを覚えています。手術の準備が済むといよいよ麻酔の導入となります。「これから眠くなる薬を入れていきますからね」と言われて「全然眠くならないじゃないか」と思ったのが手術前最後の記憶でした。

次の記憶は私の名前を呼ぶ声です。目を開けると目の前に担当医の顔があり(マスクや帽子で目しか見えませんでしたが)、「無事に終わりましたよ」と告げられました。しばらくすると消化器外科病棟からお迎えが来ました。帰りはさすがに歩けませんのでここからはテレビでよく見るベッドでの移動となります。手術台からベッドへの移動はテレビで見るシーンでは何人かがかりで「1、2、3、ヨイショ」と持ち上げるものですが、私の場合は違いました。ベッドを手術台の横に付け、手術台が横に傾斜することで滑り台の要領でベッドに移る仕組みになっていたのです。病棟に戻るエレベーターの中で看護師さんが「今は午後7時15分です」と言って腕時計を見せてくれました。つまり私の手術は約5時間にも及んだのですね。病室に戻った私は酸素マスクを付け、何本もの管につながれ、足にはマッサージ器が装着されました(血流を良くするため)。一足早く手術を受けた隣のベッドの患者さんもこのマッサージ器を装着しており、一晩中その駆動音が聞こえていたことから、「今度は私が同室の皆さんにご迷惑をおかけして申し訳ない」と考えるくらいの余裕はありました。酸素マスクと足のマッサージ器は翌朝には取り外され、体につながった何本もの管も徐々に取り除かれていくのですが、その中で今でも強烈に印象に残っている「抜管」があります。それは(再び下世話な話題になり恐縮ですが)尿道に入れられた管を抜く時です。手術の際や直後はトイレに行けないため尿道に細い管を入れて尿を外のバッグに排出させるのですが、これを抜く時の感覚が言葉では表現できないほどの気持ち悪さだったのです。私の場合はその日の担当だったベテランの女性看護師さんが抜いてくださったのですが、意に反して「あぁぁぁ」と恥ずかしい声を上げてしまいましたので。男性の皆さんは万が一に備えて心しておいてください。

あと手術に関して書いておきたいことといえば、最近の縫合は糸を使わないということです。代わりに使われるのはホッチキスのような金具です。ですから「抜糸」も「抜鋲」と表現すべきなのかも知れませんね。ただ正直に告白しますと、私は手術後の自らの傷跡を直視する勇気がありませんでしたので、実際に手術跡がどのように縫合されていたのかを見ていません。「抜糸」は若い男性研修医がしてくださったのですが、金切りばさみのようなものでひとつひとつプチンプチンと切っていった記憶しかありません。その時の感覚は少しチクチクする程度のもので苦痛はありませんでした。

ここで研修医についても少し触れておきましょう。私が入院した総合病院では毎朝医師が研修医たちを引き連れて各ベッドを回る「回診」がありました。これはテレビなどでもよく見る光景ですね。そこで簡単な処置などは研修医に任されることもあり、さしずめ私の「抜糸」も研修の一環だったのでしょう。その研修医たちの中に一人だけ女性がいたのですが、彼女は女性らしい気配りの細やかさを持ち合わせており、時々回診前に私のベッドを訪れて「お加減はどうですか?」と聞いてくれたのです。手術後の私は「糖尿病は辛いよ」に書いたとおり激痛と闘う日々を送っており、「傷跡が痛いです」とか「まだ痛みが治まりません」と答えることしかできませんでしたが、そうやって愚痴をこぼせるだけでもずいぶん気が楽になったことだけは確かです。結局医療も人と人のつながりなのでコミュニケーションが重要なのですね。

以上、一周年を前にして手術に関する思い出を思い付くままに書き連ねてみました。誰しもできるこなら手術とは無縁でいたいものですが、万が一必要に迫られた時に私の経験が何かの参考になれば幸いです。

(Sponsored Link)

関連記事

コメントフォーム

kage


URL:




Comment:

Password:

Secret:

管理者にだけ表示を許可する

この記事へのトラックバック