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長期投資の成否は何を基準に判断すべきか

kage

2016/01/31 (Sun)

本エントリーはniraさんからいただいたコメントに対するお返事です。当ブログにおいて過去に何度か言及してきたとおり、私の持論は「長期投資においては例え運用成績がマイナスになっても結果的にある程度まとまった資産形成ができたのであれば成功と考える」です。この考え方に対してniraさんから下記のようなコメントをいただきました。

驚きです

「出口でマイナスでも成功とみなす」という考えには意表を突かれました。私も学資保険代わりにセゾン投信を積み立ててますが、実際取り崩し期にマイナスだった時に果たしてそのような気持ちになれるかどうかは甚だ疑問です。きっと定期預金にすら負けてしまったと後悔するのではと思っています。私の知る限り、こんな話を他のブログで見たことはありません。ここのところはもう少し詳しくお聞きしたいところです。 そしてこの記事、来るべきその日のために保存しておこうと思います。


「もう少し詳しく聞きたい」とのことですのでご要望にお応えしてこの件について思うところを改めて書いておきたいと思います。

niraさんは学資保険の代わりにセゾン投信の積み立てを実践されているとのことですが、なぜ学資保険ではなくセゾン投信を選ばれたのでしょうか?私自身学資保険については以前こちらのエントリーで下記のように書いておりましたが、もしかすると似たような認識なのかも知れませんね。

以前は教育資金の積み立てといえば学資保険が一般的でした。しかし、アベノミクスが始まってからその状況が一変してしまいました。すなわち皆さんご承知のとおり日銀が異次元緩和で長期金利の上昇を抑えつつ年2%のインフレ目標の達成を目指しているため、学資保険の魅力が一気に色あせてしまったのです。具体的には超低金利+年2%のインフレ+消費増税という条件下では今の学資保険の返戻率はまったくお話にならないレベルといえるのではないでしょうか?(筆者注:あくまでも私個人の感想です。)


ご承知のとおり金曜日の日銀金融政策決定会合で「マイナス金利導入」というサプライズがあり、日本の長期金利(=10年国債の利回り)は一段と低下しています。これにより住宅ローンやマイカーローンなどの利率はさらなる低下が見込めますが、同時に学資保険の返戻率もさらなる低下が予想されます。これではますます「お話しにならない」状態が鮮明になりますので、niraさんのようにリスクは承知の上で学資資金の運用を選ぶ人が増えてくるのかも知れません。

まずここで確認しておきたいのが投資の合理性です。投資が合理的である最大の理由は期待リターンがプラスであることに他なりません。すなわちこれまでの世界経済は一時的に大きな波はあるにせよ長期的には成長を続けてきたという紛れもない事実に裏打ちされているわけで、これからもさまざまな紆余曲折はあるにせよ世界経済の成長は続くと考えるのであれば投資を選択することは極めて合理的な判断であるといえます。反対に「今度こそ世界経済は崩壊して復活までには100年以上かかるだろう」と予想するのであれば今すぐ投資は止めるべきです。

次に投資におけるリスクについても確認しておきましょう。投資におけるリスクとは損をする危険性という意味ではなく、運用成績が事前に想定していた期待リターンから上下にブレる幅の大きさを指します。すなわち個別株投資などで高いリスクを取れば上ブレ(=大儲け)する可能性が高まり、それと同時に下ブレ(=大損)する可能性も高まります。反対に債券投資などでリスクを低く抑えれば上ブレ(=大儲け)できる可能性は低くなりますが、同時に下ブレ(=大損)する可能性も低減できるわけですね。このように投資におけるリスクは古時計の振り子やメトロノームのように利益側と損失側に同じように振れるわけですから、リスクを取るということは利益に期待すると同時に損失を覚悟することでもあるのです。niraさんが学資保険の代わりにセゾン投信の積み立てを選ばれたということは、「損失を覚悟した」ことも意味することを是非ご理解しておいてください。

niraさんは学資保険の代わりにセゾン投信の積み立てを選択されたのですから、その目的はお子様の将来の学費を賄うことですよね?それではもし仮に下記のような結果になった場合、セゾン投信の積み立ては成功と判断されますか?それとも失敗と判断されますか?

・お子様が大学に入学する時点でセゾン投信の運用成績は残念ながらマイナスだった。しかし必要な学費は十分に賄えた。

運用成績がマイナスだったということは投資などせずに学資保険を選択しておいた方がマシだったということを意味します。しかしそれはあくまでも結果論です。niraさんがリスクを取ったことでリターンを得られる可能性(=権利と読み替えても可)を間違いなく手にしていたのですから。これが宝くじなら例え外れても「夢を買った」として納得できるのに、投資になると一転して後悔するというのも考えてみればおかしいですよね。

私が「長期投資においては例え運用成績がマイナスになっても結果的にある程度まとまった資産形成ができたのであれば成功と考える」という考えに至ったきっかけは東日本大震災でした。このことは2011年10月14日付のこちらのエントリーに書いております。その該当部分を再掲して本エントリーの締め括りとさせていただきます。またタイトルに掲げた「長期投資の成否は何を基準に判断すべきか」についてはこちらのエントリーもご参照ください。今回ここに書いたことが少しでもniraさんのご参考になれば幸いです。

いくら投資対象を広げて分散投資しても大きな含み損を抱えてしまってはリスク分散の意味がない、とお考えの方もおられるかも知れません。しかし想像してみて下さい、もし自分の資産が不動産と家財道具と自動車だけだったならと。

東日本大震災や台風12号、15号の深刻な被害を目の当たりにした今ならこの比喩の意味をご理解いただけると思いますが、天変地異は私たちの大切な資産を情け容赦なく「がれき」という名の無価値なものに変えてしまいます。ですから預貯金もリスク分散になりますし、投資もリスク分散になるわけです。いくら含み損を抱えていても、価値が残っていることにこそ意味があるのです。

自分や家族の大切な資産を守るために重要なのは、いかに広くリスクを分散して全滅を防ぐかという観点です。実際に相次ぐ天災や日米欧の債務不安を経験すると、多額の住宅ローンを抱えてマイホームを持つリスクや、金融資産を全額日本円のまま銀行に預けるリスクを無視できないようになります。万が一の事態はそうたびたび起こるわけではありませんが、もし起こってしまった時に全滅だけは避けられるような資産運用を心がけたいものですね。


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この記事へのコメント

kage

早速ありがとうございます。

確かに、リスクを覚悟したんだから下がっても受け入れるべきだというのはわかりますが、それを成功だと言って納得できるかというと難しい。
なんだかんだ言って、元本割ってたらさすがにへこむかな。

しかし参照先も拝読いたしまして、長旅の想像しがたい終わり時に関して少し気持ちが楽になりました。

Posted at 18:23:28 2016/02/02 by nira

この記事へのコメント

kage

niraさん

コメントありがとうございます。

学資保険の代替投資で想定される10-20年程度の運用では実際のところ結果が運に左右される可能性が極めて高くなりますので、運が良ければバブルのピークが終着点となり、逆に運が悪ければリーマンショックのようなパニックの中で運用を終えなければなりません。ですから投資においても宝くじ同様に運を天に任せて損をしたら潔く諦めることも必要なのでは?と私は考えております。

よろしければ下記のエントリーもご参照ください(内容は本文中でご紹介したエントリーとほとんど同じですが)。

「腹を括る」
http://oyajidancer.blog22.fc2.com/blog-entry-1140.html

Posted at 07:45:17 2016/02/03 by おやじダンサー

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kage


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