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リスク管理の弊害

kage

2015/09/06 (Sun)

本エントリーのタイトルを見て、「久しぶりに投資の話題か」と思われた方。大変申し訳ございません。今回も引き続き病気の話題です。近ごろはどのような分野においてもリスク管理の重要性が広く認識されているため、病院や調剤薬局においてもたびたび「最悪のケース」を説明されることになります。これが軽い病気ならまだしも、ガンのような重い病気の場合は「最悪のケース」が極めて深刻な状況となるため説明を受ける患者側としてはただでさえ不安でいっぱいなのにその不安がなお一層煽られてしまうという弊害が生じます。私はこと投資においては少々のリスクなど笑い飛ばせるほどの楽天家(あるいは能天気か?)だと思っていますが、そんな私でも今回の「人生の転機」においては不安の重圧に押し潰されそうになる経験をしました。ですからもし極度に心配性の人が私と同じような経験をしたら不安が不安を呼ぶ悪循環に陥り、身体以前に精神が参ってしまう恐れもあるのではないか?と老婆心ながら心配しております。皆さんには是非そのような患者の不安をご理解いただきたく、私が感じた不安の実例をご紹介させていただこうと考えた次第です。

それは手術前に行われた担当医からの手術に関する詳細説明の場でのことでした。手術ではガンと一緒に大腸の一部を切除した後で前後の腸をつなぎ合わせるのですが、もし仮にこの接合が上手く行かなかった場合には人工肛門を付ける可能性があると言われたのです。ここで大腸の内視鏡検査時に続いて「人工肛門」という単語が飛び出し、私の心に緊張が走りました。そして実際に手術が終わった直後に担当医からかけられた言葉は「無事に終わりましたよ」の一言だけだったのです。その後病室に戻った私は自分の体から2本の管が出ていることに気付きました。1本は尿道から直接尿を排出するためのものだとすぐに分かりました(これは事前に書面で渡された手術説明書のようなものに買いてありましたので)。しかしもう1本は何のためのものなのか見当が付きませんでした。そこで私の脳裏をかすめたのが「もしかして人工肛門?」という不安でした。しかし翌日になって恐る恐るその管の先にある透明のバッグを確認してみるとその中にあったのは明らかに排泄物とは異なる少量の液体でした。後になって分かったのですが、この管は手術後の体内にしみ出した体液や血液を排出するための「ドレーン」だったのです。その後しばらくしてドレーンは私の体から抜かれ、私の心配は単なる勘違いで終わりました。

それではここでもう一度話を手術前の詳細説明の場に戻しましょう。この時担当医から手術前に受けた造影剤入りCTスキャンの結果、ガンの近くにある2つのリンパ節が腫れて見えると告げられました。そして「これはガン細胞がリンパ節に転移している可能性も考えられるが、風邪をひいた時にのどや鼻が炎症を起こすのと同じ(=転移はしておらずただ腫れてるだけ)の可能性もある。詳しくは手術後の病理検査の結果待ち。」との説明を受けました。実は2月下旬から3月上旬に受けた各種精密検査(造影剤入りCTスキャンも含む)の結果、転移は見つからなかったと消化器内科の担当医からは聞かされていたので、ここで改めてリンパ節転移の可能性を指摘されて私の不安は一気に高まりました。そして時間は流れて退院予定日の前日のこと。担当医が私の病室を訪れて、「明日は外来診療があるので挨拶できない。病理検査の結果は手術後1ヵ月検診の時にお知らせする。最悪の場合(=リンパ節に転移があった場合)、もう一度入院してもらって胸にポート(=抗ガン剤を点滴するための注入口)を埋め込む手術を受けてもらう。そのことを一応頭の片隅に置いておいて欲しい。」と言われました。もちろん担当医は故意に私の不安を煽ろうとしてこのような説明をしたわけではなく、実際に起こり得る可能性のひとつを話したに過ぎないのですが、いやが上にも私の不安は高まる結果となりました。

それから1ヵ月間は退院を喜ぶ暇もなく、「もしリンパ節に転移していたらどうしよう」という不安と闘う日々でした。そして迎えた運命の手術後1ヵ月検診の当日、「現実から逃げ隠れはできないのだからどんな結果が出ても冷静にそれを受け止めよう」と覚悟を決めて病院に向かったのです。そして聞かされた病理検査の結果は、幸いにも「リンパ節への転移はなし」でした。しかし前回のエントリーにも書いたとおりガンの進行度がステージ1からステージ2に変わったため、結局は再発予防のための抗ガン剤治療を推奨されることになったわけです。ただし胸にポートを埋め込む必要があるタイプではなく、比較的副作用が小さい飲み薬タイプとなりました。

私は約14年に及ぶ投資歴の間に、9.11同時多発テロ、リーマンショック、3.11東日本大震災などのパニックを経験してきました。だからこそ今の世界同時株安も現時点ではまだまだ本当のパニックではないと体感的に理解できるのですが、ガン治療に関しては何事も初体験であり、想定される最悪の事態がどれもこれも深刻なものばかりだったためなかなか自分の置かれた現状を冷静に受け止めることができませんでした。投資においても病気においてもあらかじめ最悪の事態を想定しておくことはもちろん大切なのですが、それにより不安のあまり精神的に参ってしまっては元も子もありません。最悪の事態が起こる確率が決して高くはないこともまた事実なのですから。

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