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セゾン投信に望むこと

kage

2015/06/14 (Sun)

本エントリーはファイナンシャル・ジャーナリスト竹川美奈子さんのブログAbout Money,Todayの「セゾン投信の運用資産残高1000億円達成記念パーティー」を拝読して書いております。

本題に入る前にまずは軽い余談から始めさせていただきたいと思います。竹川さんとセゾン投信の関係といえば、私は今から6年前に開催されたセゾン投信のセミナー(こちらのエントリーでレポートしています)で竹川さんご自身の口から語られたエピソードを今でも鮮明に思い起こします。それはあたかもセゾン投信設立時のこと、セゾン投信に興味を持った竹川さんが取材を申し込むとあっさりと断られたそうです。これに対して中野社長は「いや、あの時は本当に忙しかったんですよ」と必死で釈明しておられました。素人考えではどんな企業でもまだ無名の創業時には知名度向上のためにどんな取材でも喜んで受けるはずだと思うのですが、これはまさに竹川さんのエントリーで紹介されているセゾン投信アドバイザー房前さんのお言葉にある「投信会社を立ち上げて軌道にのせるのは本当に大変だ」を如実に示しているエピソードといえるのではないでしょうか?

それでは引き続き本エントリーの主題である「セゾン投信に望むこと」を思い付くままに列挙してみたいと思います。まず始めは軽いところから。

先月の定期積み立て報告でも指摘したとおり、運用資産残高1,000億円達成にはセゾン投信の努力だけでなく、受益者の強い支持や相場環境の好転(基準価額の上昇が運用資産残高の増加に直結するため)が大きな役割を果たしていることは言うまでもありません。しかしそこは奥ゆかしさを尊ぶ日本文化に鑑み、もう少し謙虚な姿勢でパーティーのタイトルのどこかに受益者に向けた「感謝」という単語を入れて欲しかった、というのが私の偽らざる感想です。

続いては「セゾン投信運用資産総額1,000億円突破!へのツッコミ」にも書いた信託報酬の引き下げです。いつもいつもコストダウンばかり要求しているとまるで守銭奴のように思われるかも知れませんが、私に言わせればこれはセゾン投信と受益者の間の気持ちの問題です。中野社長は過去に何度も将来的な信託報酬の引き下げに言及しておられますので、私は勝手にこれをセゾン投信から受益者に向けたコミットメントであると理解しております。日本郵便との資本業務提携があっても創業時の理念はいささかも変わらないというのであれば、信託報酬の引き下げを断固実現する姿勢を明確に示して欲しいと私は思っております。過去にブログ上で宣言したとおり、もしも信託報酬引き下げの前に日本郵便への配当支払いが行われたら、私はドライにセゾン投信とのお付き合いを解消させていただきますので。

次に望みたいのは「ツッコミが甘い」のコメント欄で言及されているキーマンリスクの解消です。具体的にはセゾン投信では中野社長の存在感が大き過ぎるがゆえに、中野社長の身に万が一の事態が起これば会社の存続さえ危うくなってしまうリスクを内包しています。上記コメント欄で私はキーマンリスクが存在する会社としてファーストリテイリングやソフトバンクを挙げていますが、今にして思えば中野社長はジャパネットたかた創業者の高田明さんに近いイメージのように感じます。すなわち、会社のトップであると同時に強力な広告塔の役割も果たす存在であるということです。今はまだ辛うじて中野社長がセミナーで全国行脚を繰り返しても会社が回る状態にありますが、このままセゾン投信の運用資産が増え続ければそれもいずれ限界に達するでしょう。現状では「セゾン投信といえば誰を想像する?」と問われれば100人中100人が中野社長と答えるでしょう。同じ問いに対して近い将来3人くらいの名前が挙がる状態になることを私は望みます。これはまさに竹川さんからセゾン投信へのお願い(1)長期投資を標榜するのであれば、セゾン投信が長く存続する会社になってほしいの主旨と同じですね。とはいえ中野社長の圧倒的な存在感はセゾン投信にとって必要不可欠なものであることもまた事実です。これも過去にブログ上で宣言したことですが、私は中野社長が正当な理由なしに解任された時はドライにセゾン投信とのお付き合いを解消させていただくつもりです。

最後の望みは今回のお祝いムードに水を差すようで大変恐縮ではありますが、会社の幕引きも一応想定しておいて欲しいということです。今般のセゾン投信と日本郵便との資本業務提携や過去のレオス・キャピタルワークス(筆者注:ひふみ投信の運用元です)のISホールディングス傘下入りからも分かるとおり、いわゆる独立系投信の経営基盤は大手と比較して極めて脆弱です。あのリーマンショックを何とか耐え抜いたからといって、次回のショックに耐えられるという保証はどこにもありません。資産運用の世界は高い志や崇高な理念だけで継続できるほど甘くはないのです。またセゾン投信にとっては日本郵便が保有している4割の株式を意に沿わぬ相手に売却してしまうというリスクもあります。その結果設立当初の理念の維持が困難になったと判断した時には、受益者(顧客)の利益を最優先に考えて潔く会社の幕を引くという判断も必要でしょう。さらに個人的には「インデックス投資家にとっての理想型とは」に書いたとおり、日本のインデックス投資家の理想型はバンガード・インベストメンツ・ジャパンによる直販であると考えておりますので、もし仮にそうなった場合にセゾン投信はどうするのか?をリスク管理の一貫としてシミュレーションしておいて欲しいのです。例えばセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドを丸ごとバンガード社に引き取ってもらう(筆者注:償還するのではなくバンガード社の直販として存続させるということです)とか。もしセゾン投信が実現すべき理念の筆頭に日本における投資文化の定着を掲げるのであれば、もっと前向きな幕引きを考えても良いでしょう。すなわちセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの純資産総額が1兆円を超えた暁には、日本に投資文化が定着した(目標を達成した)証であるとしてセゾン・バンガード・グローバルバランスファンドを丸ごとバンガード社に引き取ってもらうとか(筆者注:セゾン投信側からバンガード社に対して積極的に直販開始を迫るということです)。もちろんセゾン投信自身が日本のバンガードになるという高い目標を掲げて、独自に優れたファンドの組成に取り組むのもそれはそれで十分にアリでしょう。その主旨は竹川さんからセゾン投信へのお願い(2)高品質の商品・サービスの提供をと同じです。

事業が拡大していくと企業は往々にして創業時の理念を忘れ、会社の存続自体が事業の目的となってしまいがちです。そういう意味では竹川さんがご指摘されているとおり、1000億円を契機に、改めて、「誰のために」「何のために」事業を行っていくのかをセゾン投信の従業員一人ひとりが自らの胸に問いかけてみて欲しいものです。

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