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非課税は諸刃の剣

kage

2015/06/13 (Sat)

個人投資家にとって譲渡益や配当益に課税されない「非課税」は非常に魅力的であり、その耳に甘美な響きをもたらします。非課税の投資といえば最近でこそNISA(少額投資非課税制度)が真っ先に連想されると思いますが、少し前までは確定拠出年金(受け取り時には課税されますが運用益は非課税です)や外貨建てMMF(利息には課税されますが為替差益は非課税です。ただし来年1月1日より株式や投資信託の税制に統一されます。)が代表例でした。2013年末をもって証券優遇税制が終了して税率が本則の20%に戻り、さらに2037年までは復興特別所得税(所得税額×2.1%)が上乗せされることもあり、相対的に非課税の魅力は輝きを増しているように見えます。ただし当ブログでは過去に何度も指摘してきたとおり、非課税は税金が免除されるという大きなメリットがある一方で損失に対する救済が一切ないというデメリットも持つ、いわば諸刃の剣なのです。このように利点(メリット)と欠点(デメリット)を併せ持つ商品に対して意図的にメリットだけを強調してデメリットに言及しないという手法は販売戦略の常套手段であり、私たち消費者はその魔術に惑わされないよう眉に唾を付けて説明を聞く姿勢が大切になります。NISAの登場で非課税のメリットを享受できる個人投資家が一気に増えた今だからこそ、そのデメリットも正しく認識しておく必要があるといえるでしょう。そうしなければ後で「こんなはずではなかった!」とか「だまされた!」と激しく後悔することになりかねませんので。

非課税の本質を理解するためには、私たち個人投資家にとって馴染み深い「リスク」と「リターン」に置き換えて考えてみれば分かりやすいかも知れません。すなわちリターンは取ったリスクの報酬であるという投資の大原則になぞらえて、非課税は損失救済を放棄した報酬であると考えるわけです。しかし私個人の感覚では、この考え方は非課税の本質を正しく捉えていないような気がします。それでは私個人が最も腑に落ちる考え方はどのようなものかといいますと、「非課税とは損益を考慮しないことである」というものです。これだけでは分かりにくいと思いますので具体例を挙げてみましょう。あなたはNISA口座で1株100万円の株(100万円分の投資信託に置き換えても構いません)を買い付けました。するとその後はそのNISA口座の有効期限(最大5年間)が満了するまで損益の計算はまったく行われません。期限満了時にその株(あるいは投資信託の評価額)が200万円に値上がりしていようと50万円に値下がりしていようと税制上はまったく考慮されないのです。このように非課税期間中は損益計算がノーカウントになる、いわばモラトリアム(猶予)期間であると考えれば分かりやすいかも知れません。すなわち非課税は損失救済を放棄した代償などではなく、利益も損失もまったく考慮しないことである、というのが私個人が最も腑に落ちる理解なのです。

NISA口座でいえば、有効期限内に売却を行えばその損益はノーカウントのまま投資が完結します。しかし皆さんご承知のとおり、NISA口座の期限満了時には特定口座や一般口座に時価で払い出すという選択もできます。上記の例になぞらえれば、評価額が200万円に値上がりしていれば新たに200万円で買い付けたものとして、50万円に値下がりしていれば新たに50万円で買い付けたものとして課税口座に払い出されてそこから損益のカウントがスタートするわけです。そもそもの投資元本が100万円であったわけですから結果的に損得は発生しますが、税制上はノーカウントの期間だったことを思えばその結果に一喜一憂しても仕方がないことがご理解いただけると思います。

このように非課税はいわば証券税制の効果が及ばない治外法権の地のようなもので、そういう意味ではタックスヘイブン(租税回避地)に近い存在なのかも知れませんね。非課税が諸刃の剣であることを十分に理解した上で、そこに投資資金を振り向けるかどうかの決定は皆さんの判断に委ねられます。リスクを承知の上で使いこなそうと手に取ってみるのも、触らぬ神に祟りなしを決め込むのも、皆さんの自由です。

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