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この世に無リスク資産は存在しない

kage

2014/12/03 (Wed)

今回のタイトルは何となく煽りっぽくなってしまいましたが、要は「どんな資産であっても大なり小なりリスクはあるものでしょう」という意味です。その「小なり」のリスクが最近無視できないレベルに高まっているのではないか?という私個人の印象が本エントリーを起こした動機です。一般的に無リスク資産といえば現金(キャッシュ)、預貯金、国内債券(主に国債を指す)などを連想します。これらの資産のリスクは株式に比べると圧倒的に低いことがこれまでの常識でした。しかしアベノミクスが始まってから、その常識は通用しなくなっているのではないか?というのが私の正直な感想です。

それではまず現金(キャッシュ)と預貯金について考えてみましょう。10年前の1万円札も、5年前の1万円札も、現在の1万円札もすべて同じ1万円の価値があるという意味では間違いなく無リスク資産ですが、通貨では相対的な価値も見逃すわけにはいきません。言うまでもなくこれは為替市場における日本円の相対的な価値を指すのですが、この場合では10年前、5年前、現在の1万円の価値は同じではありません。

これを分かりやすい事例で示すなら、やはり私たちに一番馴染みのあるドル円が最適でしょう。下記はSBI証券のサイトからお借りしてきたドル円の5年チャートです。ご覧のとおり、アベノミクスのスタートと同時に円安トレンドが始まり、今や1ドル=120円が目前です。

ドル円

キリのいい数字として1ドル=80円と1ドル=120円を比較すると、2年前の100万円は12,500ドルだったものが現在は8,333ドルになっており、米ドルに対する日本円の価値はピッタリ2/3に減価しています。つまりアベノミクススタート時の価値の実に1/3が、わずか2年間で吹き飛んでしまった計算になるわけです。現実に私たちは実生活において、さまざまな物品の値上がりにより、2年前に比べて1万円で買えるものが減ってしまったことを実感しています。それなのに日銀は2%のインフレを目標に掲げて異次元金融緩和政策を断行しています。すなわちこれは、日本円の価値を年に2%ずつ減らしていきますよと宣言しているのと同じことです。これでも現金(キャッシュ)と預貯金は無リスク資産といえるのでしょうか?

次に日本国債について考えてみましょう。日本国債といえば昨日米格付け大手のムーディーズが格下げをしたことで話題になりましたね。しかし日本国債10年物の金利は格下げのニュースが流れた後に一時的に上昇(=国債の本体価格は下落)したものの、その後はまたジリジリと低下しています。下記はSBI証券のサイトからお借りしてきた日本国債10年物金利の10年チャートですが、ご覧のとおり見事な右肩下がりなっています。

日本国債10年

すなわちこれは国債本体価格が値上がりしていることを意味するわけで、Yahoo!ファイナンスからお借りしてきたSMT国内債券インデックス・オープンの10年チャートを見ると、こちらは見事な右肩上がりになっています。

SMT国内債券インデックス・オープン

これらのチャートを見ると、2年4ヵ月前に書いた「侮ってはいけない国内債券」の状況がいまだに続いていることが分かります。日本国債も円建てである以上は円安の影響を免れませんが、本体価格の上昇で価値の毀損を一部相殺できるだけ、現金(キャッシュ)や預貯金よりまだマシかも知れませんね。

過去の常識に照らせば、消費増税の延期や格下げは日本国債にとって明らかなマイナス要因であり、金利の急騰(=本体価格の急落)を招いても不思議ではありません。しかしそうならないのは、「激しく歪む国内債券市場」で触れたように日銀がジャンジャンバリバリ国債の購入を続けているからです。しかしこの状態は永遠には続きません。いつか必ず日銀の国債購入は終わる時が来るのです。もしかするとその時に日本の債券市場は未曾有の大混乱に陥るかも知れません。もちろん米FRBのテーパリング(量的緩和縮小)のように、大きな波乱なく切り抜ける可能性もあります。しかし日本の債券市場が日銀によって激しく歪められていることは紛れもない事実ですので、日銀の介入終了をきっかけに未曾有の大混乱に陥るリスクは一応想定しておくべきでしょう。これでも日本国債は無リスク資産といえるのでしょうか?

現金(キャッシュ)には金利は付きませんし、預貯金や国債の金利は雀の涙ほどです。ですから本体の価値が大きく毀損してしまえば金利(インカムゲイン)でそれを補うことは事実上不可能なのです。世界経済が前人未踏の未知の領域に入る中で、私たち個人投資家も過去の常識を妄信せず、「何をもって無リスク資産とするか」を真剣に考えるべき時に来ているのではないでしょうか?

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