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まだまだツッコミが甘い

kage

2014/11/23 (Sun)

タイトルからお察しのとおり、今回の内容もまたセゾン投信と日本郵便の資本提携へのツッコミです。いつものようにネットを漂流しながら情報収集していたところ、当ブログでも過去に何度かご紹介したことがあるファイナンシャル・ジャーナリスト竹川美奈子さんからの中野社長対談記事ご紹介が目に止まりましたので、早速ツッコミを入れさせていただくことにした次第です。



ツッコミを始める前にまずお断りしておきますが、私はセゾン投信設立時からの受益者であり、現時点で応援する立場を崩しておりません。しかし、今回の提携でセゾン投信が設立時の理念を失ってしまうのではないか?と少々心配しております。現在・過去・未来のツッコミは、セゾン投信の理念が変わっていないかどうかの確認作業であるとご理解いただければ幸いです。またこれまでの流れから、ツッコミを入れるのは私の義務だと勝手に思い込んでいることもありますので、今回もあえて重箱の隅をつついてあら探しをしてツッコミを入れさせていただきます。ファンド運営の苦労も知らないのにまた好き勝手なことを書かせていただきますが、これもブログネタのひとつと思って何卒ご容赦ください。

下記が竹川さんにご紹介いただいた記事の見出しです。「読んでみる」をクリックすると掲載記事がPDFファイルで閲覧できます。当エントリーはこの記事をお読みいただいていることを前提にして進めさせていただきます。

特集1 株主再編でどうなる、セゾン投信 そのチャンスと課題を語る

対談:中野 晴啓氏、岡本 和久

資本再編を迎えたセゾン投信。中野社長とじっくりチャンスと課題について語り合いました。たくさんの気づきがある、内容ある対談ができたと思います。セゾン投信には課題に取り組み、これをチャンスとして飛躍してもらいたいと思います。

読んでみる(注意:クリックするとPDFファイルが開きます)


それでは改めて今回の対談記事にツッコミを入れさせていただきたいと思いますが、最初の指摘はツッコミではありません。P.1で中野さんの口から、今回の提携話はまず親会社であるクレディセゾンに持ち込まれたこと、それに対してクレディセゾンは非常に前向きであったことが語られています。これは今回の提携を読み解く重要な鍵になる可能性もありますので、備忘録として書き留めておきます。

P.2の中野さんの言葉に「(日本郵便の目的は)若い人たちがセゾン投信をきっかけとして集えるような場を郵便局につくりたいということなのではないか」とありますが、郵便局の顧客層が完全に高齢者中心になった理由は、電子メールやSNSの急速な普及で若者が郵便を必要としなくなったことにあるのではないでしょうか?もしそうであればセゾン投信を取り込んだぐらいではこの大きな流れに逆らうことはできないと私には思えます。あるいは郵便局に同居しているゆうちょ銀行やかんぽ生命も含めてネットに押されているのでネット側のセゾン投信と提携したのだ、とも考えられないことはありませんが、それでもセゾン投信にとって郵便局に若者を集める役割は荷が重いと私は考えます。そういう意味で中野さんの説明は少々苦しいと感じます。

P.3では私自身過去のツッコミで問題視してきた「配当」について語られています。配当を支払うのか?という岡本さんの質問に対して中野さんは以下のように答えています。

中野:日本郵便は配当を払えという要請は今のところありません。私はむしろ配当ではなく、内部留保を積み増して株主価値を高めるところを重視しているのではないかという印象を持っています。キャッシュに困っている企業ではないので、セゾン投信の成長性を買ってくれているのであれば配当ではなく内部資金として活用した方が株主としてのメリットも大きいでしょう。


ここが今回の対談で最大のツッコミどころだったと私には思えます。内部留保といえば長く続いたデフレ時代に大企業が積み増して多方面から批判を浴びました。お金は貯めることに意義はなく、流通させてこそ意義があるのだ、ということは「預金バカ 賢い人は銀行預金をやめている (講談社+α新書)」を書いた中野さんご自身が一番よく分かっているはずです。具体的には、受益者のために信託報酬を引き下げたり、従業員のために給与を引き上げたりする方が、内部留保を積み増すよりよほど企業価値を高める効果があるはずです。もしセゾン投信が本気で日本のバンガードになることを目指すのであれば、重視するのは内部留保ではなくキャッシュ・フローでしょう。つまり、運用資産増加→信託報酬引き下げ→運用資産増加の好循環で手数料収入を増やすことを目指すべきなのではないでしょうか?配当にせよ内部留保の積み増しにせよ株主重視の姿勢に変わりはありません。だからこそ岡本さんにはぜひここで、「それは受益者のためになるのですか?」とツッコミを入れて欲しかったです。

P.3で中野さんは提携後に実際にどんなことをするのかを語っておられますが、私の正直な印象は「今から話し合うの?」でした。いまだに具体的なコラボレーション内容が出ていないということは、それは日本郵便が重要視している目的ではないということでしょう。口では「ぜひ郵便局でセミナーをやってください」と言っても、現場の郵便局にその受入体制が整っているとは思えませんしね。

P.5で岡本さんが過去のご自身の経験から複数の株主間で利益や考え方の違いが起こった時の苦労を語っておられます。ここに私は株主と受益者との利益相反が起こる懸念も付け加えさせていただきたいと思います。従来型の縦割り(=系列)運用会社の弊害はまさにそこにありましたので。

P.5では私がかねてから気にしていた、増資で手に入れた8億円の使い途について岡本さんが質問しています。これに対する中野さんの答えは意外にも「決して拙速には使わない」でした。例として挙げている内容も8億円の使い途としてはどれも小粒なものばかりです。これを読んで私は「使わないのではなく、使えないのでは?」と感じました。セゾン投信が公式サイトで公開している決算公告(平成25年4月1日~平成26年3月31日)(注意:クリックするとPDFファイルが開きます)を見ると、昨年度末時点でセゾン投信の繰越損失は10億円を超えていることが分かります。いくら今回の第三者割当増資で8億円が入ったとしても、これではおいそれと使うわけにはいかないのかも知れませんね。

P.6で岡本さんが「ゆうちょ銀行と日本郵便の間にはコンフリクト(筆者注:競合、衝突、対立などの意味)はないのでしょうか?」と問われています。この点は私も過去のエントリーで指摘しており、ずっと気になっていました。郵政民営化で日本郵便とゆうちょ銀行は別会社になったとはいえ、今でも同じ郵便局に同居する兄弟会社です。日本郵便がゆうちょ銀行では取り扱わないセゾン投信に肩入れすることで両社に波風は立たないのか?というのは素直な疑問ですよね。中野さんの言葉を借りると、日本郵便の姿勢は「お互いに切磋琢磨して行けばよい」とのこと。これについては私に邪推するところがありますが、本エントリーの最後に書きます。

P.7では受益者に対して今回の提携の説明が遅れた経緯が語られています。とりもなおさずこれは株主(クレディセゾンも含めて)が受益者第一の理念を理解していないことを示しているわけで、少々不安ですね。

この対談を読み終えて不安に感じたのは、「日本郵便は見返りなしにセゾン投信を助けてくれるいい会社」みたいな雰囲気になっていることです。そこで天の邪鬼の私はあえて憎まれ口を叩かせていただきますが、日本郵便といえば従業員に年賀はがき販売のノルマを課し、達成できなかった場合は自腹での買い取りを迫る通称「自爆営業」を強いるような会社ですよ。頭から信じていいのでしょうか?

今回の対談を読んで、私が邪推した日本郵便の目的は将来的なクレディセゾンとの提携です。先にも書いたとおり、郵政民営化で日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命は別会社になりました。現時点で3社の親会社である日本郵政の株式は100%国有ですが、将来的にはその2/3が売却されることが決まっています。またこれとは別に、日本郵政が保有するゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式も売却されることが決まっています。日本郵便にとっては将来的にも今のようにゆうちょ銀行、かんぽ生命と同居する営業形態が理想でしょうが、万が一何らかの理由でゆうちょ銀行とかんぽ生命が郵便局を出て行く事態になった時、クレディセゾンと提携して金融・保険事業を継続したいとの思惑があるのではないでしょうか?セゾン投信との提携はそのための布石であると考えれば、少なくとも私は納得できます。そうなると反対に心配になるのは、株式売却後も「万が一」の事態が起こらず、ゆうちょ銀行とかんぽ生命との同居が続く場合です。そうなるとセゾン投信との提携も無意味になってしまいます。そんな時に、セゾン投信の販売をしたいと考える証券会社が「その40%の株式を10億円で買いましょう!」と提案すれば、日本郵便はサッサと売却してしまうのではないでしょうか?

そうなると中野さんは本当に株主間の利益相反や株主と受益者の利益相反に悩まされることになります。そうなる前に中野さんにはぜひ相談に行って欲しい人物がいます。その人物とはズバリ松本大さん(マネックス証券社長)です。ご承知のとおり、マネックス証券は松本さんがソニーの出井社長(当時)に直談判してソニーの出資を半分受ける形で誕生しました。そしてソニーが手を引いた後は数々の合併や出資などで主要株主がたびたび入れ替わり、松本さんは株主対応で相当苦労されたはずです。マネックス証券は過去に旧セゾン証券と合併した経緯があり、クレディセゾンとの縁も浅からぬものがありますので、中野さんはぜひ一度相談に行ってみると何かと参考になるお話しが聞けるのではないかと思います。ついでに生涯の伴侶の探し方も聞いてくれば一石二鳥です。

少々長くなってしまいましたが、以上で今回のツッコミを終わらせていただきます。私はセゾン投信を応援しているからこそ設立当初の理念が失われないかを厳しい目で見ております。これからも思ったことは忌憚なく書かせていただく所存ですので何卒ご理解ください。

【追記】

事前に書こうと思っておりながら書き漏らしたことがありましたので追記します。受益者に対して今回の提携に関する説明が遅れたことに関連して、私からひとつ提案があります。今からでも遅くはありませんので「お客さまへのメッセージ セゾン投信NEWS LETTER 12月号」に日本郵便の髙橋亨社長からのメッセージを掲載してください。もし間に合わないのなら、新年号でも構いません。受益者の動揺や疑念を解消するには、提携先のトップから直接語りかけてもらうことが効果的であると思いますので。以上、ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

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