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激しく歪む国内債券市場

kage

2014/11/15 (Sat)

以前参加したあるセミナーで、元為替ディーラーの講師がこんなことを言われました。

国による為替介入は、トランプゲームの「大富豪」で革命が起こるようなものだ。

トランプゲームの「大富豪」は大変人気がありますので、皆さんご存じのことと思います。ただ人気があるゆえにローカルルールも多く、「革命?何それ」という方もおられるかも知れません。そこで念のために革命のルールをザックリと説明しておきますと、事前に決められたある一定の条件(同じ数字のカードを4枚以上出すなど)を満たせば革命が起こり、ジョーカーを除いたカードの強さが逆転する(最強だった2が最弱になり、最弱だった3が最強になる)というものです。つまり為替市場で為替介入が行われると、通貨の強さが逆転してしまうというわけです。(あと、蛇足ながら補足しておきますと、日本の為替介入は財務大臣が決定して日銀が実行します。)とはいえ、「大富豪」でも為替市場でも革命の効果は一時的なものなのですが、国内債券市場ではこのところずっと革命状態が続いているのです。

この革命状態とは、言うまでもなく日銀の異次元緩和(別名黒田バズーカ)により引き起こされたものであり、これにより日本国内の債券市場のルールは激しくねじ曲げられ続けています。具体的には、日銀が大きな口を開けて日本国債を筆頭に国内債券をガブガブと飲み込んでしまう(=買い漁ってしまう)ため、適正な値付けがされない状態が続いているのです。一般的には日銀が2年で2%のインフレ目標を掲げて金融政策を行えば、長期金利(=日本10年国債の金利)も2%を目指して上昇するはずなのですが、SBI証券からお借りしてきた下記の日本10年国債金利(=長期金利)の10年チャートをご覧いただければお分かりのとおり、日銀がジャンジャンバリバリ国債を購入しているため長期金利はむしろ低下しています。

日本10年国債金利

ちなみに2013年の乱高下は黒田日銀の異次元緩和(黒田バズーカ第1弾)の発動が要因です。さすがにこの時は市場参加者も判断に迷ったのでしょう。異次元緩和以前の長期金利低下はデフレのためと説明できるのですが、日銀が2%のインフレ目標を掲げてからも長期金利の低下が続いていることは一般的な常識に反しており、まさに異次元状態と言わざるを得ません。

このように日銀はジャンジャンバリバリ国債を購入していますので、当然のことながらその保有高は積み上がり続けています。その結果、国債残高に占める日銀の保有割合は今年3月末には2割を超え、6月末には21.2%まで上昇しています。このまま日銀が国債を買い続けるといったいどうなるのでしょうか?ニッセイ基礎研究所のレポート「日銀の長期国債買入れ動向-新発債ゾーンに偏る日銀保有シェア」には下記のように書かれています。

(日銀の異次元金融緩和開始から)たった1年半の期間で、日銀の国債残高及び保有シェアは急速に拡大した。このペースでの(日銀の)国債買入れをあと3年も続ければ、日銀の長期債の保有額は約330兆円に達し、50%近い保有シェアになってしまう。

日銀が国債残高の半分を持つような債券市場はもはや異次元ではなく異常です。少なくとも私は日銀により価格が高値に維持されている日本国債を買いたいとは思いません。またインデックス投資をするにしても、このように激しく歪められた市場の平均点にどれほどの意味(信頼性)があるのかはなはだ疑問です。

日本国債の保有率といえば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が減らす方針を打ち出したことが話題になっていますね。下記は「年金運用は辛いよ」で使用したGPIFの資産構成割合(昨年末時点)のグラフですが、国内債券の市場運用の大部分が日本国債であると思われます。

GPIF001

ハイリスク投機家を自認する私から見れば、価格形成が激しく歪められている日本国債の組入比率がこれほど高いことは将来の大きなリスク要因になるのでは?と感じます。もしかすると日銀がジャンジャンバリバリ国債を購入してくれる現状は、日本国債を売る絶好のチャンスなのかも知れません。実際にこれまで一貫して日本国債を買い続けてきた銀行は売りに転じていますしね。実際問題として日銀も永遠に国債を買い続けることはできませんので、いずれは米国のFRBのように量的緩和を終了する時が必ず来ます。その時の混乱を考えれば、日銀が買ってくれる今の内に国債の比率を下げておくことは、実は賢明な判断ではないのか?というのが私の考えです。

だからといって日本株の比率を増やして良い理由はならないだろう、というご意見もあろうかと思います。そのご指摘はごもっともではあるのですが、今は日銀が株(正確にはTOPIXやJPX日経インデックス400に連動するETF)も買ってくれるのです。債券市場と異なり金額ベースでの日銀の存在感は小さいのですが、日銀のETF買いが投資家心理に与える影響はかなり大きいのです。実際に昨日の日経平均株価が最後に上昇に転じたのは、日銀のETF買い効果が大きかったと解説されていますし。「国策に乗れ(国策に売りなし)」という相場格言があるように、日銀がETFを買ってくれる今の内に日本株の比率を上げておくことは、実は賢明な判断ではないのか?というのが私の考えです。

それで損をしては元も子もないだろう、というご意見もあろうかとは思います。そのご指摘はごもっともではあるのですが、「続・年金運用は辛いよ」にも書いたように、GPIFは結構こまめにリバランスを繰り返して確定利益を積み上げるしたたかな運用(決してBuy&Holdではない)を行っており、「年金運用=市場のカモ」という認識は過去のものである点は指摘しておきたいと思います。

こうして考えてみると、日本の株式市場も日銀やGPIFにより価格形成が歪められるわけで、こちらも市場の平均点にどれほどの意味(信頼性)があるのか?という話になってしまいますよね。それを言うなら世界経済自体が日米欧中銀の同時金融緩和で大きく歪められているわけで、歪みを心配するだけ無駄という結論になるのかも知れません。

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