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JPX日経インデックス400に追い風?

kage

2014/05/31 (Sat)

当ブログをご訪問いただいた投資に関心の高い方ならすでにご承知のこととは思いますが、JPX日経インデックス400とは日本取引所グループと傘下の東京証券取引所、および日本経済新聞社が共同で開発した新しい株価指数のことで、今年の1月6日から公表が始まりました。その特徴をザックリとご説明すると、まず赤字企業や問題のある企業を排除し、過去3年間の営業利益の合計、ROE(自己資本利益率)、時価総額の3つの指標を元に成績の良い上位400銘柄を選出したものです。ちなみに組み入れ対象は東京証券取引所に上場している全銘柄(約3,400銘柄)です。すなわち、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)のように対象を東証一部に限定することなく、二部銘柄や新興市場銘柄も組み入れ可能にしているわけです(現時点で実際に二部銘柄や新興市場銘柄も組み入れられています)。なおJPX日経インデックス400の詳細については東証のサイトにある「JPX日経インデックス400」でご確認ください。

既存の代表的な株価指数である日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)にはそれぞれ一長一短が指摘されておりました。これについては以前「日本のインデックス指数はダメ?」で触れておりますのでよろしければご参照いただきたいのですが、そのエントリーの最後で私は「インデックス指数の問題よりゾンビ企業を排除できるシステムがないことの弊害の方が大きいような気がします」と書きました。具体的な企業名を挙げて誠に申し訳ありませんが、日経平均株価には事実上国有化されて何とか生き延びている東京電力や先日債務超過回避のために取引銀行に金融支援を求めたユニチカのような銘柄が組み入れられており、東証株価指数(TOPIX)には上記エントリーで取り上げた山水電気と同類のゾンビ企業が含まれています。これに対してJPX日経インデックス400には赤字企業やゾンビ企業を排除する仕組みが備わっている点が注目すべき特徴といえるでしょう。

そしてJPX日経インデックス400のもうひとつの注目すべき特徴がROE重視です。ROE(自己資本利益率)とは数ある株価指標のひとつで、当期純利益÷自己資本で算出します。これをザックリとご説明すると、自己資本を元手にいかに効率よく利益を上げたかを測る指標といえます。そしてここにきて、このROEを重視する方向に経営方針の舵を切る企業が増えているというのです。以下はダイヤモンドザイオンラインのJPX日経400指数登場で注目度アップ!「高ROE銘柄」を買うために必要な工夫とは?からの引用です。

昨今、ROE重視の経営が促される施策が打ち出されている。JPX日経インデックス400の算出開始、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による同指数銘柄の資産組み入れ、2月に金融庁が公表した日本版スチュワードシップコード(機関投資家が適切に受託者責任を果たすための原則)の導入決定などだ。

そもそもROE(自己資本利益率=純利益÷株主資本)とは、自己資本がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを見る指標だ。株主重視の効率経営をしている企業ほど、ROEのパーセンテージが高くなる。

日本では、これまでROEを重視する企業が少なかった。「欧米では15%程度か或いはそれ以上のROEを期待されるが、わが国では10%に届かない」ことが多いという(三菱経済研究所のレポート「経済の進路」2014.2。カブドットコム証券で閲覧可能)。

ROEを高める企業の財務戦略は「内部留保を有望な事業への投資(企業買収を含む)に充てることで利益額を増やす、或いは、配当や自社株買いを行ってROE計算上の分母となる自己資本額を減らす、といった2つの方法がある」(同レポート)。

たとえば、最近ではアマダ(6113)が増配や自社株買いを発表すると、株価が急騰した。ROE重視の姿勢を示すことで、投資家に好感されて買いが入ったのだ。


上記記事にあるとおり、日本企業は欧米企業に比べて総じてROEが低いことがかねてより問題視されていました。外国人投資家は数ある株価指標の中でも特にROEを重視するため、日本企業の低ROEが日本株の魅力を削いでいたともいえます。しかしそんな外国人投資家もアベノミクス相場では大挙して日本株を買ってきました。このため結果的に外国人株主が増えたため、日本企業もROE重視の方向に経営方針を転換せざるを得なくなったのかも知れませんね。

これまた上記記事にあるとおり、ROEを上げるためには設備投資・研究開発投資・企業買収(M&A)などの投資を積極的に行って利益を底上げするか、増配や自社株買いを行って自己資本額を減らすという2つの方法があります。4月から5月にかけて行われた企業の3月期決算を見ると、手っ取り早くROEを上げることができる増配と自社株買いが目立ったように思います。この結果、JPX日経インデックス400がどう動いたかを見てみましょう。下記はブルームバーグのサイトからお借りしてきたJPX日経インデックス400(黄)とTOPIX(緑)の比較チャートです。

JPX400
ご覧のとおり3月までは見事なまでに連動していた両者ですが、4月以降は明らかにJPX日経インデックス400がTOPIXを引き離しています。一部には「すでにROEが高い銘柄を組み入れるJPX日経インデックス400には投資妙味はない。これからROEが上がる企業にこそ投資妙味があるのだ。」との意見もありますが、結果的にJPX日経インデックス400は増配や自社株買いが増えた恩恵を受けているように見えます(業績の良い銘柄を集めているので好業績の恩恵ももちろんあったでしょうが)。私はその理由をこう考えます。もし日本企業がROE重視の方向に経営方針を転換して欧米並みを目指すのであれば、すでにROEが高い企業(=ROE重視の経営をしている企業)が引き続き先頭に立って牽引していくのではないかと。

このように企業のROE重視への方向転換はJPX日経インデックス400にとって大きな追い風になっているように見えます。さらにここにきて、また別の大きな追い風が吹いてきました。それは以前こちらのエントリーでもご紹介した、米国を筆頭とした先進国の不気味な長期金利低下です。長期金利が不気味な低下を続けていると新たな債券投資はしにくいため、結果的に高利回りのREITや高配当銘柄に人気が集まっているというのです。つまり現状は、ROE重視で増配すればROE重視の投資家だけでなく利回り重視の投資家も買ってくれるという好循環になっているわけですね。さらに付け加えるなら、日本のNISA制度の開始も追い風になっているかも知れません。NISA口座保有者の多数派を占める高齢者は高配当銘柄が大好きですから。

もし日本企業が本当にROE重視の方向に経営方針を転換していくのであれば、長期投資においてもJPX日経インデックス400が有力な選択肢になるのではないでしょうか?

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