ダウ平均株価史上最高値更新の裏側にあるもの

2013/03/16 (Sat)
米国のダウ平均株価は順調に回復を続ける米国経済を背景に木曜日まで8日連続で史上最高値を更新し続けました。昨日はさすがに下げましたが、複数の投資信託を通じて米国株に資金を投じている私にとって最近のダウ平均株価の上昇は誠に喜ばしい限りです。ちなみに下記チャートはBigChartsからお借りしてきた1987年以降のダウ平均株価の推移です。リーマンショックによる大幅下落だけは余計でしたが、その後の力強い上昇で史上最高値を更新したのですから、結果的に現時点では米国株への投資は大正解であったといえるのではないでしょうか?
上記のダウ平均株価の値動きを見ていると、結局のところ国際分散投資なんて難しいことを考えずにダウ平均単独投資でも良かったんじゃないの?という声も聞こえてきそうです。しかし投資に関心のある方なら海外投資はそんなに単純なものではないことは十分に理解しておられると思います。
米国に投資する際にまず忘れてはならないのが為替です。当然のことながらダウ平均株価は米ドル建てで算出されますので、私たち日本の個人投資家が投資する際には為替のドル円の動向に大きな影響を受けることになります。下記チャートはWikipediaからお借りしてきた1950年以降のドル円チャートです。ご覧のとおり1ドル=360円の固定相場制は1971年のニクソンショックで崩れ去り、1985年のプラザ合意をきっかけに一気に円高ドル安が進行しました。

日本の個人投資家が円建てで米国投資の損益を測る際に円高ドル安はマイナス要因となります。つまり円建てで見たダウ平均株は史上最高値を更新した現在よりむしろ1ドル=125円前後だった2008年の方が高かったということになるわけです。私たちの海外投資の損益は常に為替というフィルターを通す必要があることを忘れないようにしたいものですね。
あと米国に投資をする上で忘れてはならない点は物価動向です。下記チャートは世界経済のネタ帳からお借りしてきた1980年以降の日米消費者物価指数推移です。ご覧のとおり米国はリーマンショック時に横ばいになった他はほぼ一貫して右肩上がりに上昇を続けています。つまりこれはインフレが進行していることを示しています。一方日本はバブル崩壊以降はずっと横ばいで、1990年代後半からは入ってからはジリジリと下落している(=デフレが続く失われた20年)ことが分かります。
為替の円高ドル安の進行は米ドルの価値が日本円と比較して相対的に下落していることを示しています。また消費者物価指数の上昇は米ドルの価値が絶対的に低下していることを示しています。つまりダウ平均株価史上最高値更新の裏側には米ドルの価値低下があることを頭の隅に止めて置きたいものです。通貨価値の下落=モノ(株を含む)の価値の上昇ですから、ダウ平均株価は上がるべくして上がったとも考えられます。米国の中央銀行に相当するFRBは依然としてジャンジャンバリバリ米ドル紙幣を刷る姿勢を崩していませんので、ダウ平均株価にはまだしばらく追い風が続くのではないでしょうか?同時にもしアベノミクス効果で日本の消費者物価指数が上昇に転じたら、日経平均株価も力強く復活を果たすことになるのか?ハイリスク投機家としては大いに興味があります。
最後に蛇足ながら一点付け加えておきますと、同じダウ平均株価でも時代によって構成銘柄が異なることにも注意が必要です。つまり冒頭でご紹介したダウ平均株価のチャートも年代ごとに異なる構成銘柄から算出した指数をつなぎ合わせているため、厳密には連続性に疑義が生じています。このように真実を映しているチャートの裏側にあるものにも常に注意を払いたいものですね。
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